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コンシェルジュ 坂下 信也

リスクマネジメント・ラボラトリー

坂下 信也

皆さま、こんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている坂下 信也です。 【1から学ぶ労働基準法】の第4回は「労働時間・休憩・休日」についてです。(前回の内容はこちら。)

医療機関においては、正社員・時短勤務・パート・嘱託職員など雇用形態は多岐にわたります。 また、2交代制・3交代制、早出・遅出など勤務形態も複雑ですので、勤怠管理は特に重要な仕事の一つとなっています。

複雑な雇用形態・勤務形態ですが、基本をしっかりと抑えておくことで、その応用の幅も広がると考えますので、今回は基本的な労働時間の考え方と休憩・休日の取得の注意点を考えてみます。

【1から学ぶ労働基準法】
第4回 労働時間・休憩・休日

【1から学ぶ労働基準法】

第4回 労働時間・休憩・休日

■ 法定労働時間と所定労働時間

労働時間には、「法定労働時間」と「所定労働時間」があり、これを混同してしまうと確実な勤怠管理ができなくなります。

法定労働時間

法律(労働基準法)によって定められている労働時間の上限になり、1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させることはできません。

なお、保健衛生の事業(病院・診療所など)は労働者数が10人未満の事業所は1週間に44時間まで労働することができます。 1日の法定労働時間の8時間は変わりません。

所定労働時間

個々の事業所で就業規則などによって定められている労働時間になります。 法定労働時間の要件を超えなければ自由に決めることができます。

所定労働時間は労働者が残業・休日出勤したときに支払われる割増賃金の計算の基に使用されますし、有給休暇を時間単位で取得できる事業所においては、有給休暇の1日分が何時間あるのかを把握するうえでとても重要になります。

A. 労働者10人未満の労働者を持つ診療所の法定労働時間と所定労働時間の例
 午前9時~13時 午後14時~18時  水曜日、土曜日午前勤務



B. 労働者10人以上の労働者を持つ診療所の法定労働時間と所定労働時間の例
 午前9時~13時 午後14時~18時  水曜日、土曜日午前勤務

 

■ 休憩

休憩は労働時間の長さによって与えなければならない時間が変わります。 注意しなければならないことは、それぞれ労働時間6時間、8時間を超えたときに、45分、60分の休憩が必要になります。

また、休憩は労働時間の途中で与えなければなりません。 継続した労働による心身の疲労を回復させる目的であることが考えられます。

 

■ 休日

労働者の労働能率を維持させるためには、リフレッシュが欠かせません。 労働基準法では、1週間に1回以上、もしくは4週間で4日以上の休日を義務付けています。

休日も労働時間と同様に、法定休日と所定休日に分けられます。 労働基準法上、週1回もしくは4週で4日の要件を満たすまでは、その休日は法定休日となり、それ以上の休日を所定休日といいます。

医療機関においては、日曜日など一般的に週1回以上の休日があると考えられますので、その日が法定休日となります。(下図参照)

A. 水曜日、土曜日が半日診療の場合の休日例


B. 水曜日が休診日、土曜日が終日診療日の場合の休日例


休日出勤する場合の注意点
休日を他の労働日に振り替えたときは、本来の休日は労働日に転換されますので、その日に労働させても休日労働とはなりません(休日の振り替え)。

しかし、下記の要件を満たさないで休日に労働させた場合は、その後で代わりの休日を与えたとしても「代休」の取り扱いとなり、休日労働に対する割増賃金を支払わなければならいないので注意が必要です。

休日を振り替えるための要件

  1. 就業規則などに、休日を振り替えることができる旨の定めがあること
  2. 振り替える前に、振り替える日を特定しておくこと
  3. 休日を振り替えたために、その週の労働時間が1週間の法定労働時間を超えるときは、その超えた時間は時間外労働となり割増賃金が必要となる
休日の振り替えの具体的な例
  • 労働者10人以上の事業所
  • 月曜日から金曜日までの1日8時間勤務
  • 週40時間の所定労働時間
 の場合



12日に休日出勤をする場合に休日労働に対しての割増賃金を発生させないようにするためには、

  1. 就業規則に休日を振り替えることができる旨を定めておく
  2. 11日までにあらかじめ振り替える日を特定しておく
  3. 13日から17日までの間に振り替える

下記図のように、19日以降の週に振り替えた場合、12日の週は48時間勤務(12日から17日までの6日間×8時間)となるので、40時間を超えた8時間分の割増賃金が発生する

 

■ 祝日は休日か?

祝日は当然に休日だと思われている方は多いと考えます。 実は、この祝日の扱いは、就業規則にどう規定がしてあるかによって取り扱いが異なります。

就業規則の休日の条文に祝日の規定がなければ、そもそもその事業所において祝日は休日でないと判断できますし、
就業規則の条文が

  1. 国民の祝日に関する法律第3条に規定する休日
  2. 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)

のどちらで規定されているかによって、その事業所にとって(祝日が日曜日のときに振り替えられる)振替休日が休日なのか勤務日なのかが変わってきます。

上記のI.とII.の規程はほぼ同じ文にも見えますが、I.の場合は、振替休日もその事業所の休日となり、II.の場合は、振替休日は必ずしもその事業所の休日とはなりません。

 参考: 2019年のゴールデンウイーク(過去の配信)

コンシェルジュ 坂下 信也

いかがでしたでしょうか?

勤怠管理はかなり複雑で、職員数や部署に比例して業務量もかなりのものになります。 そして、この勤怠管理という業務は、専門性の高い知識を要するために、労働基準法に精通した人でなければ問題に気づきにくい性質を持ち合わせています。

社会保険労務士や労働基準監督署などの外部の指摘によって間違いが発覚し、それまで何十年もその間違った方法で勤怠管理していたというケースもあり、さかのぼって訂正するには相当な労力と、給与額の相違によっては事業所と労働者に金銭的負担をしいる可能性もあります。

しかし最近はAIとIT技術の進歩によって、設定しておけば自動的に勤怠管理をしてくれるソフトも流通しています。

問題が発生した場合にはエラー告知してくれるなど未然に間違いを防ぐこともでき、結果として事務担当者の負担軽減にもつながり、生産性の向上も期待できますので導入される事業所も増えています。

働き方改革の取り組み支援として、そういったソフトの導入に利用できる助成金も出ていますのでお近くの社会保険労務士に相談するのもいいかもしれません。

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