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クリニック経営

クリニック経営に必要なセンス

m3コンシェルジュ 米田 弘司

リスクマネジメント・ラボラトリー

米田 弘司

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの米田です。 今回は「クリニック経営に必要なセンス」についてお伝えします。

クリニック経営の成否を大きく左右する、院長先生自身に必要なものは、「営業力」「人事力」「財務力」「決断力」「人間力」と考えられています。 実際、勤務医時代では、自分の仕事がどれだけ病院に利益をもたらしているのか、病院がどれだけの利益を基に先生やスタッフの報酬を設定しているのか、そして資金の流れがどうなっているのかなど、細かいところまでは把握しなくても、問題なく仕事を進められます。

しかし、開業すると院長先生には、数字を読み取るセンスが必須となります。 今回は、クリニックの院長に必要な「センス」についてお伝えします。

そのあたりを森田税理士にインタビューしてまいりました。

森田税理士は、現在ご盛業中のクリニックをいくつも顧問税理士として日々活躍され、新規開業はもちろん、事業継承など多くの実績と経験があります。 実情を踏まえながら、わかりやすく話しを伺えました。

それでは、どうそ。

【米田】
「数字を読み取る」と言うと、経理について勉強する、あるいは簿記の資格を取得するなどのイメージを持たれ、難しく考える先生もいると思います。 今回は開業後に必要な院長の「センス」についてお話しください。

【森田 税理士】
わかりました。 米田さんが言われるように、財務諸表を読むため専門用語を覚えたいなどと身構えてしまう先生もいらっしゃいます。 しかし、そのような心配は無用です。 院長に必要なのは簿記ではなく、「経営力のある数字のセンス」を持っていただくことだと常に感じています。 やはり経営手腕の高い院長は、数字を読み取るセンスを持っています。

たとえば、私たちが作成した会計の資料をお渡ししたとき、院長が思っていた数字と若干違っていたとしましょう。 このようなとき、数字に強い先生なら必ず「何かこの数字はおかしくないでしょうか?」と、指摘をされます。 具体的にどこがどうと言うのではなく、見ている数字に違和感を持つのです。 私が言う「センス」とは、まさにこういう感覚を意味しています。

【米田】
「センス」とは、感覚になると思います。 この感覚が大切という意味ですね。

【森田 税理士】
まさしく、そのとおりです。 たとえば、「その月に診察してきた患者さんの数、体感的な忙しさ、毎日入ってくる現金などを見た感覚」と「資料上の数字」との間にギャップを感じて指摘をするわけです。 経営者に必要なのは、そういう嗅覚のようなものです。 財務諸表を読み解くだけなら、専門知識は不要です。

【米田】
では、数字のセンスを身につけるためには、どのようにすればいいのでしょうか。

【森田 税理士】
まずは、開業当時から開業サポートをしてくれる税理士との面談を有効的に使うことです。 事業継承であれば、決算書の見方やクリニックの健康状態指標を詳しく聞き、その理由を知ることです。 新規開業であれば、事業計画書を税理士へ一任するのではなく、一緒に作成されるのが良いでしょう。

【米田】
なるほど、そのように身につければ、自然と開業後のイメージが湧く気がしますね。 予測していたより、患者さんが少ないなどと、慌てふためくこともなさそうです。 しかも、開業への自信にも繋がるように感じます。 開業後も同じように、月次報告を受け取るだけでなく、疑問に思うことは何でも質問するべきですね。

【森田 税理士】
そのとおりです。 クリニックに精通している税理士であれば、守秘義務の範囲内で他のクリニックの事例を踏まえ、適切なアドバイスをしてもらえるでしょう。 アドバイスにより、おおよその傾向はつかめるはずです。 このような情報を基に周囲のクリニックを把握し、おおよその平均値を予測できると、先生自身がどのポジションにあるか「センス」で感じ取れます。

【米田】
開業準備の頃から、数字に対する「センス」を身につけておくことの重要性が理解できました。 常に数字に敏感になることが、開業後の経営にも生かせるわけですね。

【森田 税理士】
そのとおりです。 税理士とコミュニケーションを持つことで、先生の数字へのセンスは磨かれるとともに、その税理士の力量も測れるかも知れません。

【米田】
森田税理士ありがとうございました。

m3コンシェルジュ 米田 弘司

いかがでしたでしょうか?

開業後における「クリニック経営に求められる、必要なセンス」ご参考いただけましたでしょうか。

一つ一つ決断するのは先生方ご自身ですが、それを先生方ご自身で正確に判断するための物差しを、中立な立場、かつ必要なタイミングでアドバイスしてくれる専門家選びも重要事項と言えるのではないでしょうか。

 

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