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いまなら間に合う 確定申告対策(前編)

「確定申告」にまつわる事例

m3コンシェルジュ 佐久間 洋

リスクマネジメント・ラボラトリー

佐久間 洋

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの佐久間です。 今回は「いまなら間に合う 確定申告対策」(前編)をお届けします。

執筆は「TOMA税理士法人」のヘルスケア事業部の皆様にお願いしました。

TOMA税理士法人のヘルスケア事業部は「医療・介護の経営支援」に特化した部署を設けて25年以上、病院・医院、施設を取り巻くあらゆる問題に対応した経営&税務のコンサルティングを提供されております。

皆さま、こんにちは。 TOMA税理士法人ヘルスケア事業部です。 確定申告の時期も近づいてきましたので、今回は「確定申告」にまつわる3つの事例をお伝えいたします。


■ 事例1

以前購入していた金の値段が上がってきたので、貴金属店に売却したが、確定申告時には特に意識せずに毎年と同じように事業所得と給与所得のみで申告をした。 後日、税務署から金の売却をしていませんかとお尋ねがきた。 なぜ税務署は知っていたのだろうか。

【説 明】

1. 調査状況について

近年、金やプラチナの価格が歴史的な高値水準にあり、金地金等(金・白金地金、金貨・白金貨)の譲渡によって大きな譲渡益が生じやすい状況が継続しています。 この金地金等を売却して譲渡益が生じた場合は原則として、総合課税の譲渡所得として課税されます。 以下は近年の金地金等に係る譲渡所得の調査等状況になります。



(国税庁: 平成26事務年度 所得税及び消費税調査等の状況より)

2. 「金地金等の譲渡の対価の支払調書」とは??
国税局では平成24年1月から導入された「金地金等の譲渡の対価の支払調書」のほか、あらゆる機会を通じて資料情報を収集するなどして、積極的に調査を実施しています。 金やプラチナの価格が高値水準である傾向が続いていることから、引き続き、平成27事務年度においても積極的に調査を実施すると明記しています。

「金地金等の譲渡の対価の支払調書」とは平成24年1月1日以降、金地金等の売買業を行う事業者が、国内においてそれらの譲渡を受け、200万円超の対価を支払う場合に、税務署に対して支払調書を提出することが義務付けられたものです。

つまり本人の意思に関わらず、譲渡対価が200万円を超えた取引は税務署に把握されていることになります。

■ 事例2

消費税が上がることもあって今のうちに自宅を購入した。 住宅ローン控除が使えたのでその手続きはしっかりと行った。 後日、税務署から購入資金の件でお尋ねがあり、しかも生命保険を解約していませんかと聞かれた。

たしかに生命保険を解約して、解約払戻金を購入資金に充てていた。 しかも利率の良い生命保険であったため、受け取った額のほうが多かったのだが申告はしていなかった。 しかし、なぜ税務署は知っていたのだろうか。

【説 明】

生命保険会社は保険金等を支払う際に支払調書を税務署に提出するよう定められています(所得税法第225条、相続税法第59条)。 そのため下記の金額を超えた場合は税務署に把握されていることになります。

提出が必要な場合
  保険金: 保険金額が、100万円を超えるもの
  年金: 年金支払額が年20万円を超えるもの

  • 保険金、年金ともに支払金額であり、課税所得金額ではありません。
  • 契約者と年金受取人が異なる場合等は平成25年分から支払金額にかかわらず提出されます。

また今回のケースでは個人加入の保険の解約なので、一時所得(保険の解約金は一時所得)による修正申告で済みましたが、例えば親からの援助資金を住宅の購入資金に充てていた場合は、贈与税が課されるケースもあるので注意が必要です。

■ 事例3

本業である医院からの事業所得や給与所得の他に、大学で教鞭をとったり、他の医院の手伝いをしたり、出版や講演をしたりといくつかの収入がある。 確定申告時期は忙しいこともあって、源泉徴収票をどこまでもらっていて、どこまでもらっていないのかがわからなくなった。 後日、税務署からのお尋ねがあっていくつかの所得を申告していないことがわかった。 なぜ税務署は知っていたのだろうか。

【説 明】

毎年、企業はその年の1月31日(平成28年は2月1日)までに「法定調書合計表」を税務署に提出します。 「法定調書合計表」には主に下記の書類を添付しなければなりません。

  1. 給与所得の源泉徴収票
    年末調整をしたもの
    1. 法人の役員の給与等の支払金額が年150万円超のもの
    2. 給与等の支払金額が年500万円超のもの

    年末調整をしなかったもの
    1. 法人の役員の給与等の支払金額が年50万円超のもの
    2. 給与等の支払金額が年250万円超のもの
    3. 乙欄及び丙欄適用者で給与等の支払額が年50万円超のもの
  2. 退職所得の源泉徴収票
    法人の役員に対して支払う退職手当等
  3. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
    謝礼、印税、講義報酬等が年5万円超のもの
  4. 不動産の使用料等の支払調書
    個人の不動産業者に支払う金額が年15万円超のもの

このため上記の項目に該当した場合は、本人の意思に関わらず、各企業が税務署に源泉徴収票及び支払調書を提出しています。 ご自身の昨年の確定申告書と比較して、毎年届いているはずの源泉徴収票がなければ、給与をもらっていなかったかどうかの確認をする必要があります。

 
m3コンシェルジュ 佐久間 洋

いかがでしたでしょうか?

確定申告の際は前年の所得すべてを申告する必要がありますが、入院給付金など一部は申告不要のものもあります。

「わからないな」と思ったら税理士に相談してみるのも良いかもしれません。

 

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