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m3コンシェルジュ 森島 祥哉

リスクマネジメント・ラボラトリー

森島 祥哉

皆さま、こんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている森島です。

4月より、新人スタッフが入職されるクリニックも多いと思います。 この時期、「効果的な新人スタッフ教育はどんなことをすれば良い?」と院長先生や院長夫人からよくご質問をいただきます。

具体的な心得について、税理士法人エイアール税理士事務所 代表社員 原 知子税理士が、ポイントを解説します。

それでは、原 税理士お願いします。

「教わり上手」を育ててみよう!
最初が肝心! 新人スタッフ教育の勘所

「教わり上手」を育ててみよう!

最初が肝心! 新人スタッフ教育の勘所

■ 効果的な新人教育は何をすれば良い?

この質問への私の回答は、「多くのクリニックを見てきた感覚ですが、新人スタッフが早期に自立しているクリニックは、例外なく院長あるいは院長夫人が新人スタッフを『教わり上手』に仕立てていらっしゃいます。」とお伝えしております。

今回は、新人スタッフが「教わり上手」になっていただくための具体策をお伝えしたいと思います。

 

■ 労使双方の「当たり前」の差を認識

クリニックとしての正しい仕事の進め方を教えることがスタートとなります。 いわゆる、「社会人として当たり前のこと」をお伝えするわけです。

院長が考える「当たり前のこと」と、スタッフが考える「当たり前のこと」には認識のギャップがあることが多いので、クリニック内で「当たり前のこと」を定義化させ同じ物差しを持っていただくことは重要なポイントです。

弊社クライアント様が実践している「正しい仕事の進め方」の指導例の一部を掲載させていただきます。 ご参考にしていただければと思います。

(1) 仕事の指示の受け方

下記のようにクリニックの指示の受け方をマニュアル化しています。
(指示受けマニュアル)

  1. 呼ばれたらすぐに「ハイ」と返事をする。
  2. 顔を指示した人の方に向けメモをとる。
  3. 業務完了の形を確認する。 (例:書類をワードで作成して〇〇さんに提出する)
  4. 業務の期限を確認する。 (例:何日の何時までに業務を完了すれば良いか)
  5. 最後に指示内容を復唱して間違いがないか確認する

(2) 報告・連絡・相談

  1. 患者さんからのクレーム、書類作成ミスなど悪い情報をタイムリーに報告する。
  2. 報告は結論から先に述べる。
  3. ミスが起こった場合、今後の対応方法を必ず院長、リーダーに相談する。

(3) 指摘の受け入れ方

  1. まず「申し訳ございませんでした」と伝える。
  2. ふてくされない。 泣かない。 自分の失敗を認める。

 

■ 「教わり上手」になるためにやるべきこと

新人スタッフに必ず実践してもらうことは、「教わり上手」になってもらうことです。 私どものクライアント様が実践している事例をお伝えいたします。

1. 挨拶と感謝を先手必勝で伝えること

挨拶は先手必勝です。 新人スタッフは先輩より先に挨拶することを実践しましょう。

また、「おはようございます」「お先に失礼します」だけでなく、「よろしくお願いします」や「今日もありがとうございました」など、感謝を言葉で伝えることがポイントです(心で思っていても伝わりません)

2. 注意、指導を受けたことはすぐ行動にすること

例えば、電子カルテで新患登録の操作を習う場合、習った直後の新患登録を「やってみても良いですか?」と積極的に意欲を示し、すぐ行動することです。

このような行動が、先輩からすると「教えがいのある人」となり、仕事の習熟度も「見える化」することができます。

たとえ、仕事が間違っていたとしても、訂正を早い段階でできるので、教える側としては習熟度を把握でき、指導のやり方も検討できます。

3. 失敗したらひとまず受け入れる姿勢

「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えることは、子どもだけでなく、社会で働く大人にとっても重要です。 院長や先輩から注意を受けた事柄については、まずは受け入れ、謝辞を伝えることを教えましょう。

新人スタッフが入職して最初の1か月は上記1~3ができているかを確認していただきたいと思います。 スキルより教わり上手になることに徹してもらうよう指導いただくことをお勧めいたします。

 

■ 「やるべきこと」と「やってはいけないこと」

弊社の優秀なクライアント様のクリニックでは、新人スタッフが教わり上手になるために「やるべきこと」と「やってはいけないこと」をセットで伝えて成果を出しておられます。

1. 仲良くしようとし過ぎない

まだ、知り合ったばかりで人となりがよくわからない段階で、家族事情などプライベートのことはつっこんで聞かないようにする。 少しずつ、距離が縮まるのが理想です。

2. 納得のいかない顔はなるべく見せない心掛け

一所懸命指導する先輩スタッフからすると、納得のいかない顔はたまりません。 納得がいかないときは顔に出して口に出さないことがよくありますが、できる範囲でなるべく顔に出さないよう心掛けることを説き、納得のいかない顔をする前に建設的な質問をするように指導していただきたいと思います。

3. うそをつかない(ミスをなかったことにしない)

失敗は、ありのままを必ず報告する。

クリニックは女性の多い職場で女性特有の難しい人間関係も存在していますが、新人スタッフが教わり上手になれば、それだけでクリニックの雰囲気は良くなるように思います。

ぜひ、上記の教わり上手になるための「やるべきこと」「やってはいけないこと」を新人スタッフに伝えることから始めていただきたいと思います。

m3コンシェルジュ 森島 祥哉

いかがでしたでしょうか?

様々な経営効率改善策というものがありますが、スタッフ間の「教わり方の教育」や「教え方の心得の共有」という視点は、院内コミュニケーションの質の向上に直結し、ひいては定着率や採用コストという目に見える形で経営効率改善に寄与します。

自院の「教わり上手」と言えば誰を思い浮かべますか? そのスタッフが教わり上手であることで今までどんな効果があったのでしょう?

「教わり上手」というキーワードを切り口に、一度自院の新人教育環境を再検証してみてはいかがでしょうか?