■ どんなことから始めるのが良いか?
開業を考え始めたドクターから、「まずはどんなことから始めるのが良いのでしょうか?」と聞かれますので、整理してみます。
- 自己資金の確保
- 資金計画と資金調達
- 開業地の選定
- 取引業者の選定
- スタッフの募集と採用
- 開業手続きに必要な開設届と保険医療機関申請
などが挙げられます。 これらのことをスムーズに進めていくためには、まずは「いつ開業するか」を決めることです。 突発的な事情などで予定が変わることもありますが、時期が決まらない限り具体的な準備にとりかかることができません。 開業予定時期から逆算してスケジュールをたて、ポイントを押さえていくことが大事です。 一般的には、場所探しから始めて、テナント開業では6か月~1年、戸建て開業では1~2年かかります。 それまでの期間は、先輩や後輩の開業している病医院をたずねてみて、クリニック設計の満足・不満足部分を聞き出すなど、実際に開業してみないとわからない生の声を1つでも多く情報収集することが重要です。 その他に、開業セミナーに行って話を聞く、開業希望地を調べる、などに時間を充てると良いでしょう。
■ 開業前からしておきたいおカネのこと
具体的に物件が決まると資金的なお話へと進みます。 診療科目によっても違いますが、少なくとも自己資金として2,000万円は準備しておきたいものです。 ですので、開業時期を決めたら、節約を心掛けて無駄遣いをやめ、少しでも自己資金を多くすることを考えてください。 開業後の税務調査では必ず自己資金の確認をされます。 開業資金を調達するのに、親御さんなどの親族から支援を受けられるケースも多く見受けられます。 特に親御さんの場合は「返済は出世払いで」と貸してくれることもあるのですが、この場合、贈与とみなされて贈与税が課税されてしまうこともありますので注意してください。 たとえ親族からの借り入れであっても、一般の借り入れと同じようにしておく必要があるのです。 例えば、市場金利を参考として利率が設定されている、契約書(金銭消費貸借契約書)を取り交わしている、期間は数年間にわたるものである、などが主な要件となります。 返済については、口座振替にして記録を残すようにする方が良いです。 そして、返済は滞りなく行ってください。 長い間返済が滞っていると、実質的な贈与ではないかとみなされて贈与課税される恐れが高くなります。 ただ、基本的に無金利で貸してもらえる(援助してもらえる)ので、その際は大いに甘えると良いでしょう。 その他に、開業前に知っておいていただきたいことは、開業の準備でかかった費用は、開業後に「開業費」として償却できるものもあるので、必ず領収書を保管しておくということです。 例えば、開業セミナーの会費、開業予定地の視察のための交通費、打合せのための飲食費、クリニック用物件の賃貸契約にかかる家賃や仲介手数料などです。 そして、領収書の裏には何に使ったのかがわかるように、裏書をしておくことです。 開業前であっても税金上の計算は既にスタートしていますので、領収書をしっかり保管してください。 開業に関わる費用であれば、期間の定めはありませんので、たとえ数年前のものであっても開業費とすることができます。 まずは領収書に裏書する、保管するということを習慣付けるようにしてください。 開業を決意した時からがスタートです。 その時から、相談できるパートナーを見つけることも忘れないでいていただきたいです。
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