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m3コンシェルジュ 宮腰 亜希子

リスクマネジメント・ラボラトリー

宮腰 亜希子

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー大阪支店の宮腰です。 今回は「集客に直結する人材教育」についてお伝えします。

解説は、大阪を中心に約150軒の病医院の顧問先があり、開業・事業継承に多くの実績と経験がある河村会計事務所、河村 好夫税理士にお願いしています。

それでは、どうぞ。

開業・「こんなはずでは・・・!」の前に知っておきたいこと
第3回 集患に直結、接遇研修!

開業・「こんなはずでは・・・!」
の前に知っておきたいこと

第3回 集患に直結、接遇研修!

■ 事例に学ぶ

私のお客様で大病院の要職を務めていた先生が、満を持して開業したものの上手くいかなかったケースがあります。

開業当初は、勤務医時代の患者さんが来院していたものの、次第に足が遠のいてしまう方が増え、結果閉院を余儀なくされてしまいました。

最近は、先生の腕が良いというだけでは満足しない患者さんが増えています。 クリニックの設備、快適さなどをトータルで評価しているのです。

とくに開院して間もないうちは、診断行為とか技術ではなく、先生のサービスマインドに惹かれて来院する患者さんも珍しくはありません。 「長い時間待たされたのに、先生はこちらの目も見ずに診断だけしてさっさと終わりにされてしまった。」などという患者さんの不満の声を耳にすることもあります。

集患が順調にいっているクリニックでは、「いかに先生が話す時間を最大にして、他の時間を短くするか?」を考えているものです。

ただ、当然ではありますが、先生お一人が患者さんへの対応をお気遣いされていても上手くはいきません。 スタッフ全員のサービスレベルが高いことが不可欠です。

いくら先生の腕が良い、笑顔も素敵だ、設備も良い、となったとしてもスタッフ一人の対応が悪いだけで、クリニックの評価は「良い」から「悪い」に変わってしまうのです。

最近はSNSでの評判や、クチコミサイトなどを参考に医院選びをされる方が増えましたが、クチコミサイトなどに書き込まれたコメントを消そうと思うと、2か月以上の月日と弁護士費用など膨大なリスクと経済損失を伴ってしまいます。

診療はもちろんのこと、スタッフとの会話を楽しみにして来院する患者さんもいらっしゃいます。 スタッフの接遇レベルが高ければ、「とくに良い」と評判のクリニックになります。

 

■ 患者さんからの評価を高めるためには

スタッフの接遇レベルを高めることがクリニックの評価に直結しますので、開業前の接遇研修は必須と考えておくと良いと思われます。

ポイントは次のことを踏まえて行うと良いです。

  • クリニックの方針を伝える
  • 基本的な接遇研修を行う
  • 実践を想定したシミュレーションを行う

開業に際して、先生はご自身の理念、診療方針をしっかり立てなければなりません。

クリニックの方針は、先生お一人だけのものではなく、クリニックに関わる全ての人に影響することになります。 スタッフには経営理念や診療方針を必ず伝え、みんなで共有しておく必要があります。

他の医院で働いた経験のあるスタッフは、前職での経験と先生の方針を鑑み、ここでは何をどうしたら良いのかを理解し、即戦力として働いてくれます。

初めて医療系の仕事をするというスタッフは、一から仕事を教えなければなりませんが、仕事について余計な知識がないだけに、素直に先生の方針を浸透させることができます。

スタッフにも個々に経験や能力の違いはありますが、まずは先生の考えや方針を直接伝えることにより、スタッフの働く意識を一つにできるのです。 ここで伝えるのは、経営理念、診療方針のほかに、患者さんに対する接遇の方針と、スタッフそれぞれに求める役割と仕事内容です。

自分の役割と仕事内容、先生の想いを理解したスタッフは、開業日からモチベーション高く仕事に取り組みます。

 

■ 接遇レベルを高める

クリニックの方針を伝えたら、接遇研修を行ってください。 「うちは経験者ばかりだから大丈夫」とは決して思わないことが大切です。

また、「自分は必要ない」とスタッフだけに受けさせる先生もいらっしゃいますが、接遇のノウハウは患者さんへのサービスレベルを高めるためには必須です。 先生のレベルが低く、スタッフより劣っているようでは困ったものです。 ぜひ先生もご一緒に接遇研修に参加してください。

接遇研修には「ビデオを鑑賞する」、「書籍を読む」、「講師から学ぶ」などいくつかの方法があります。 できれば医業の接遇を得意とする講師から学べば、「レベルの高いスキルと考え方」が身に付きます。

何かとお忙しい開業前でコストもかかりますが、自ら身体を動かし、身を以て学んでおくと実際の場で自然と身体が動き、ぎこちなさも解消されていきます。 ここはスタッフへの先行投資と考えて、相応の時間と費用をかけて実施することをお勧めします。

接遇のポイントとして、「不快にさせない」「好感と信頼を届ける」「人格を尊重する」ということがいえます。 なかでも、「あいさつ」と「笑顔」については、簡単にできるようで継続することが難しい接遇です。 意識して取り組んでみてください。

先生を含むスタッフ全員が揃って最高の接遇が実践できているクリニックであれば、患者さんも安心して来院してくれることとなります。

接遇の講師から基本的な接遇を学んでも、そこで安心していてはいけません。 開業日からしっかりと安定したサービスを届けるためには、実践さながらのシミュレーションをしてみてください。

シミュレーションを実践しておくことによって、次のようなメリットもあります。

  • 開業前に仕事の流れを整理できる
    一日の仕事の流れ、患者さん一名への応対の流れなど、スタッフそれぞれの立場での関わり方を整理しておけば、開業時に起こりがちな不行き届きも防げます。
  • 自分のクリニックにあった接遇にカスタマイズできる
    教わった接遇の基本をもとに、先生ご自身が望む接遇方針をスタッフに伝えられます。 できればクレームの応対もシミュレーションしておくと良いと思います。
  • 先生とスタッフ、スタッフ同士の距離を縮められる
    スタッフ同士まだ顔を合わせて間がないと、それぞれの性格などもわかりません。 開業前の研修やシミュレーションを通じて良好な関係を築ける環境を作り、お互いの距離を縮められます。

先生とスタッフ、スタッフ同士のコミュニケーションは円滑なクリニック運営には欠かせないものです。 患者さんに喜んでもらい、選ばれるクリニックであるためにも、ぜひ心に留めておいていただきたいと思います。

m3コンシェルジュ 宮腰 亜希子

いかがでしたでしょうか?

クリニック経営は、サービス業としての側面を併せ持っています。 多くの患者さんの救いとなり、笑顔をお届けするためにもぜひ参考になさってください。

さて、このたび河村会計事務所の河村税理士をメイン講師に迎え、 「クリニック開業塾 大阪 2017 - 今どきの開業・継承事情 ― 収支分岐点を知る -」を12月3日(日)に開催いたします。

多くの医院の開業と経営に関わってきた河村税理士から多くの事例を交えながらのセミナーは、たくさんのヒントを持って帰っていただけると思います。

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