【開業時に必要な届出等】
1. 所得税の青色申告承認申請書
開業時から青色申告をする場合は、開業の日から2ヶ月以内に提出します。 青色申告のメリットとして 1. 青色申告特別控除を受けられる。 青色申告特別控除とは事業所得から最大65万円の控除をすることができます。 そのためには、
- 日々の取引を正規の簿記の原則(複式簿記)にしたがって記帳すること
- 確定申告期限内に確定申告書を提出すること
- 確定申告書に貸借対照表と損益計算書を添付し、控除を受けようとする青色申告特別控除額を記載すること
の3条件を満たす必要があります。これらの要件を満たさない場合でも10万円の控除を受けることができます。 2. 青色事業専従者給与を必要経費に算入できる。 青色申告者は、生計を一にする15歳以上の親族に給与を支払った場合で一定の要件を満たすときは、その金額を必要経費に算入できます。 青色専従者給与に関する届出書を提出する必要があります。 3. 設備投資に関する優遇税制を受けられる。 医療機器等の設備投資を行った場合、特別償却や税額控除などの優遇制度が受けられます。 4. 純損失の繰越控除、繰り戻し還付が可能になる。 事業所得が赤字になり、損失が生じたときにはその損失額を翌年以後3年間、繰り越すことができます。 また前年も青色申告していれば、純損失の繰越しに代えて損失額を前年の所得から差引き、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
2.個人事業の開業届
個人の開業届には
- 開業者の氏名及び住所
- 開業した旨及び開業年月日
- 医院・歯科医院の所在地
- 事業の概要
- 青色申告承認申請書の提出の有無等を記載。
提出期限は開業の日から1ヶ月以内です。
3.給与支払事務所等の開設届出書
看護師、薬剤師、歯科技工士、事務員などの従業員を雇用したときに提出します。 提出期限は給与の支払開始の日から1ヶ月以内です。
4.所得税の棚卸資産の評価方法の届出書
医薬品や消耗材料費などの棚卸資産の評価方法は、原価法、低価法(青色申告者のみ選択ができます。)、総平均法などいくつかの評価方法があります。 どの評価方法を選択するかは、税務署への届出が必要になります。 届出がない場合は、最終仕入原価法で評価されます。 医院や歯科医院では、この最終仕入原価法がもっとも多く使われています。 棚卸資産の評価方法の提出期限は、開業年の所得税の確定申告期限までとなります。
5.所得税の減価償却資産の償却方法の届出書
減価償却資産の償却方法は、定額法と定率法があります。定率法を選択するには、開業年分の所得税の確定申告期限までに税務署への届出が必要になります。 ただし、建物の減価償却の方法については定率法を選択する届出書を提出しても、定額法になります。
6.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員(青色事業専従者を含みます。)の給与などに対する源泉徴収額は、当月分を翌月10日までに納付することになっていますが、従業員が常時10人未満のときは、税務署長に納期の特例の承認を受けますと、1月から6月までに徴収した税額の納期限は7月10日に、7月から12月までに徴収した税額の納期限は1月20日になり、それぞれ6か月分をまとめて納付することができます。 この申請書の提出期限は、特例の適用を受ける月の前月末日までです。
■ まとめ
開業に伴って提出する届出にはたくさんの種類があります。届出の提出を怠ったために、損失が繰り越せなかったりするケースが見受けられます。 資産の評価方法や償却方法は事前に試算をしたほうがいいでしょう。 知らず知らずのうちに無駄な税金を払っていることもありますので、一度専門家にご確認されてはいかがでしょうか。
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