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クリニック開業時の『しまった』事例 3/6回目

クリニックの消費税

m3コンシェルジュ 佐久間 洋

リスクマネジメント・ラボラトリー

佐久間 洋

皆さま、こんにちは。m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの佐久間です

今回は「クリニック開業時の『しまった』事例」の3回目をお届けします。

執筆は「TOMA税理士法人」のヘルスケア事業部の皆様にお願いしました。

TOMA税理士法人のヘルスケア事業部は「医療・介護の経営支援」に特化した部署を設けて25年以上、病院・医院、施設を取り巻くあらゆる問題に対応した経営&税務のコンサルティングを提供されております。

今回は、「クリニックの消費税」についてです。  それでは、どうぞ。

  皆さま、こんにちは。 TOMA税理士法人ヘルスケア事業部です。

  開業時には様々な届出が必要になります。 今回は、開業時に税務署に提出する消費税の届出についてお伝えします。(今回は個人事業主として開業することを前提としています。)


■ 消費税の還付金が戻ってこない!?

  クリニックの開業1年目には多額の設備投資や開業後に伴う突発的な支出があります。 またクリニックの収入源として、保険診療だけでなく自費診療による収入も大事になってきます。

   ある院長先生は、開業1年目の確定申告の間近になって申告を税理士に依頼しました。そのときに消費税について、ふと次のように思いました。

   「消費税は患者様から預かって支払う税金ということを聞いたが、1年目は多額の設備投資に伴い多くの消費税を支払った。預かった消費税よりも支払った消費税が大きいから、この分の消費税は戻ってこないのか?」。

   この点を税理士に聞いてみました。 すると税理士からは、

   「先生の場合は開業1年目であり、そもそも消費税の免税事業者に該当しますので、消費税の申告書を提出する必要がありません。 またこの場合は還付金を受けること自体も免除になりますので、還付金を受けとることはできません。」

   という答えが返ってきました。 では、この場合はどうすればよかったのでしょうか。

■ 消費税の課税事業者選択届出書

  医院・歯科医院を開業した年には、診療所の建築、医療機器の購入など多額の資産を取得することになります。 この資産を取得するためには、多額の消費税を支払っていることになります。

   開業した年の末日までに消費税の課税事業者選択届出書を税務署長に提出すると、資産の価額に含まれている支払消費税のうち、課税売上(いわゆる、自由診療収入、物品販売収入など)に対応する部分の金額を超える部分の金額については、還付を受けることができます。

  医院・歯科医院では、通常社会保険診療報酬を除く自由診療収入等が1,000万円を超えない限り、消費税の申告をする必要はありません。 還付を受けようとしてこの届出書を提出した場合、2年間(それらの資産に調整対象固定資産が含まれている場合は、3年間)は免税事業者に戻ることができません。

  したがって、この届出書の提出に当たっては、消費税について綿密にシミュレーションし、提出するか否か検討することをお勧めします。


■ 消費税について開業時に必要な届出等

  消費税は平成29年4月1日に税率が10%となることが決まりました。 ほとんどの商品に課されている消費税は、国民にとってなじみの深い税金であるといえます。 開業した場合、届出次第で、納付金額がまったく違ったり、還付されるはずの消費税が還付されなかったりと気をつけなければならない点があります。

  次回は、開業に関する届出のうち、消費税以外についてお伝えしたいと思います。 最近は、承継物件による開業も有効です。 開業を検討中で、「承継を考えないと・・・」、「開業したいな・・・」、「親のクリニックを継ごうか・・・」、「病医院の後継者がいない・・・」、こんなお悩みをかかえているドクターからの相談も増えています。

  ぜひ、TOMA税理士法人ヘルスケア事業部 まで、お気軽にご相談ください。

m3コンシェルジュ 佐久間 洋

いかがでしたでしょうか?

消費税など判り難い税についても、知らないことでの機会損失はできるだけ避けたいものです。

ご開業を検討される際は税務面での相談先を早めに決められると良いかもしれません

 ⇒ TOMA税理士法人 へのご相談