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m3コンシェルジュ 高橋 睦

リスクマネジメント・ラボラトリー

高橋 睦

今回は、『M&Aによる開業(全5回)』シリーズ 第2回「M&A成功のポイント」をお届けしたいと思います。

執筆は、m3.comに掲載されており、医療機関・介護施設の税務・経営コンサルティングを専門としている 岡本雄三税理士事務所 尾関好子 氏にお願いしています。

それでは、どうぞ。

M&Aによる開業 第2回
M&A成功のポイント

M&Aによる開業 第2回

M&A成功のポイント

■ M&A成功のポイントとは

今回は、クリニックM&Aを成功させるポイントについて考えてみます。 ひとつは、「理想の<タイミング>を見計らい、逃さず実行する」ことです。 大事なことは、自分が理想とする開業のタイミングを前もって考えておくことです。

人生を先まで見通してライフプランを立て、それに合わせて<承継する時>を決めるのです。 そして、そこに照準を合わせて様々な準備をし、機を逃さずに実行することが、最も安全で確実かつ理想的なM&Aのやり方です。

 

■ 自分に合った承継パターンを知る!!

承継のパターンは、大きく分けて4つあります。
  1. 個人開業のままで承継
  2. 旧法の医療法人を承継
  3. 新法の医療法人を承継
  4. 個人開業を医療法人に組織変更して承継

どのパターンでM&Aをするかは、買い手側の立場によっても変わってきます。 将来設計をしっかりと考えた上で決断することが、後悔のないM&Aのやり方です。

 

■ 適正価格で買い取れますか?

売り手の相談相手である専門家の実務経験不足により、M&Aが成立しなかった事例を紹介します。

私どもの事務所は、買い手の医師側の代理人として交渉にあたっていました。 売り手の医師は65歳。 体調不良を理由に20年続けてきたクリニックを承継したいというご意向でした。 何度か改装工事し、医療機器もまだ十分に使用できる状態で、患者様も1日あたり40~50人来院していました。

買い手の医師は、1,000万円以上の対価で承継を希望しました。 しかし、売り手側の専門家に承継の経験がなく、私どもが提案したM&Aのスキームをご理解いただくことができず破談となりました。

ところがしばらくして、譲渡希望の医師から当事務所に連絡がありました。 内容は、医療法人を解散することにしたが、解散をするのに廃棄料等で400万円かかることを知り、無償でもいいので譲受を希望していた医師に使用していただきたいとのことだったのです! 買い手の医師は、この申し出をありがたくお受けし、今では以前と比べ、1.5倍の患者様を診ていらっしゃいます。

この例からもおわかりいただけるように、M&Aという手法をご選択いただいていれば、譲渡を希望していたクリニックには1,000万円という譲渡金が入り、双方にとって満足のいく承継をすることができていました。

しかし、売り手側の専門家がM&Aの経験が乏しかったために、自分の築き上げてきたクリニックを無償で譲ることになってしまったのです。 これは、売り手側の医師だけに言えることではなく、買い手側の医師にも同じことが言えるのです。 適正価格なのか、今後可能性のあるクリニックなのかは、担当する専門家の経験がとても大切になってくるのです。

 

■ 専門家の協力を得て、対策を早めに行う

先に述べたように承継にはいくつかのパターンがあります。 ベストなM&Aのタイミングを逃さないための客観的な目は、自分の中に持つことも必要ですが、上記の例のように、プロの目を使っていただくことも可能です。

クリニックM&Aにたけた専門家に、ベストのタイミングと承継の方法をご相談いただけましたら安心です。 専門家はM&Aというマラソンを完走するための伴走者となって、医師の皆さまを支える存在になるに違いありません。 (参考文献: 岡本雄三著(2015)「開業医のためのクリニックM&A」(P.102-103) 幻冬舎メディアコンサルティング)

m3コンシェルジュ 高橋 睦

いかがでしたでしょうか?

M&Aによる事業承継の開業は、年々増加しています。 いろいろな準備が必要ですね。

「いつかそのうち?」「きっとそのうち?」「何とかなるでしょう?」では、何も始まりません! 様々な情報と専門家のアドバイスが資金準備と出会いを生むと思います。

 

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