■ 待合室も標榜科目によって患者さんから求められるものが違う!
こんにちは。 ラカリテ株式会社 高橋邦光と申します。 今まで数多くのクリニックの設計に携わってきましたが、待合室の雰囲気や機能性の重要度が近年高まっていることを実感します。 今までは何かあれば特定のクリニックに行くというのが普通でした。 近年は競合医院も数多く出現し、患者さんがクリニックを選ぶ時代になりました。 待合室でお待ちになる患者さんはどのようなデザインを好み、どのような付帯設備を喜ばれるのでしょうか? ひとえに待合室と言いましても、標榜科目により設計上の工夫するポイントは異なります。 そこで、2つの例をご紹介します。
■ 小児科の待合室
小児科ではたくさんの乳幼児を含めたお子さんが親御さんと共に来院します。 最近のクリニックでは子供たちがなるべく静かに待てる環境と、親御さんが安心できる付帯設備を備える傾向が強くなっています。 一例として「キッズコーナー」においては、ただ待合室の隅にクッション材を敷いただけのクリニックもありますが、新規開業のクリニックでは怪我をしないように壁面にクッション材を貼り、アニメのDVDが見られるモニターを設置し、絵本やおもちゃが散乱しないような工夫を凝らすクリニックも多数見受けられます。 また、院内感染を気にする方々も増えていますので、隔離スペースを設けることが望ましいです。 できれば隔離室の入口は別に設け、一般患者動線と交わらない工夫ができれば良いです。 テナント開業の場合には難しいので、入口付近に隔離個室や隔離スペースを設置しておくと、親御さんに対するアピールにつながります。 そして、親御さんが頻繁に利用するオムツ替えベッドや授乳室もなるべくプライバシーを確保しながら設置されていると安心感が増します。
■ 眼科の待合室
眼科の場合、都心部と郊外では待合室の取り方や考え方が大きく異なりますが、どちらのスタイルの眼科でありましても患者さんにとって親切なのは、「表示や案内」の大型化です。 目に疾患のある患者さんが来院されるので、「受付・会計」「診察室 1」「検査室」などの表示を他の診療科目より、かなり大きくする必要があります。 小さめの表記の方がスタイリッシュに見えるのも事実ですが、眼科に関しては大きめの表記とした方が望ましいです。 興味深い事例では、病院のように床にラインを引き、それに沿って患者さんを誘導するクリニックもあります。 また糖尿病や加齢などの別の疾患から目に支障をきたす患者さんも多いので、バリアフリーは必須であり、高齢者の多い地域での開業では、手摺りなどを設置するクリニックも増えています。 眼科の場合はアメニティーに凝るよりは、実際の患者さんに対して「いかにストレスなく、わかりやすい表記や、レイアウトであるか」が重要視され、患者さんに喜ばれる結果となります。
|