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m3コンシェルジュ 米田 弘司

リスクマネジメント・ラボラトリー

米田 弘司

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの米田です。

2018年問題は18歳の人口が激減していく時をさし、大学受験事情が大きく変わる転換期とされています。 では、2025年問題はご存知でしょうか。

現在の日本の人口構成で最も人口数の多い団塊世代の方々が、すべて75歳以上になる。 いわゆる後期高齢者になる時期をさしています。

医療業界にあてはめると「外来医療需要は2025年にピークを迎え、その後、減少に転ずる時代に突入する」と言われています。

このような時代に開業をしても、他院と差別化を図れないスタイルでは大きく利益を伸ばすことが困難ではないでしょうか。

この問題と背景をお伝えし、何を思い、何を考えるべきかをこれから3回にわたってお伝えしていきます。

インタビューはm3.comより河村会計事務所、河村好夫税理士にお願いしています。

河村好夫税理士は大阪を中心に約250件の病医院の顧問先をお持ちであり、開業、事業継承に多くの実績と経験があります。

それでは、どうぞ。

失敗だらけの開業方法
これからの医療業界を見据えて

失敗だらけの開業方法

これからの医療業界を見据えて

【米田】
2025年問題でなぜ外来医療需要が減少するのか教えてください。

【河村 税理士】
人口構造が変化するからです。 以下の図をご覧ください。


1960年では、若者が老人を支える理想的なピラミッド型(緑色の多い部分が団塊の世代)でしたが、2025年では、団塊の世代が75歳以上になり、いびつな瓢箪型(青色の多い部分は団塊ジュニアと呼ばれる層)になっていることから、人口の多い年齢層が高齢になるにつれ、通院が困難になってしまい、同時に若年層の人口減少傾向を背景に、外来患者は減っていくと考えられています。

【米田】
厚生労働省の公表によると、2016年3月末で無床診療所数は93,396に対し、2017年3月末では、94,116とあるため1年間で720純増になります。 人口減少とは反比例関係にありますね。

引用 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html

【河村 税理士】
そうですね。 しかし、私の顧問先であるクリニックの平均を見ると、2016年度の診療報酬改定では大きなマイナス要素が少なかったものの、前年同月と比較して医業収益が下がった医院が多くありました。

その理由を突き詰めると、診療報酬単価が減少した事実は否めないのですが、顕著に表れたのが患者数の減少でした。 レセプト枚数が減っているのです。

この理由は、「診療圏内に競合医院が開業した」、「診療圏内の人口が減少している」この2つの要因が開業医の収益を圧迫している訳です。

【米田】
選ばれる医院になる。 これからの最も重要なことですね。

【河村 税理士】
クリニック経営では、開業地に合わせた戦略を立てることを忘れないでいただきたいですね。 今後、高齢化予測できる地域であれば、高齢者を確保するための施策を立てる。

マンションや大規模開発のある地域であれば、ファミリー層に支持されるシステムを導入するなど、他医院との差別化は考えていただきたいですね。

【米田】
開業の際には、開業地が成功のキーとも言われていますが、おおよその場所を特定したならばその地域の人口構成などを研究し経営戦略を立て、総合的に判断する必要があるように感じます。

また、2018年は診療報酬と介護報酬の二つの改定がありますから、その情報もキャッチする必要があるかも知れません。

【河村 税理士】
今後は、200床未満の中小病院は、外来医療や在宅医療に力を入れていく動きが見られます。

急性増悪した患者をそのまま病棟に受け入れる態勢を整えた囲い込みが始まります。

今までにない強力なライバルになるのではないかと考えられています。

m3コンシェルジュ 米田 弘司

いかがでしたでしょうか?

現在、開院されている先生方も手放しではいられない実情が迫っています。

ただ患者が減少することがあっても、医療が崩壊する訳ではありません。 社会保障費の抑制や診療単価減少など政策に左右されている部分も多くあります。

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