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クリニック開業
パートナーとなる、配偶者様の役割が重要
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【米田】 開業を意識し始めた先生は、弊社の開業塾や他の開業セミナーなどに数多く足を運び、熱心に勉強をされています。 中には、先生以上に熱心にメモをされている奥様も目立つようになりました。 これには何か理由があるのでしょうか。
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【河村 税理士】 先生が奥様へ開業の意思があることを告げ、その夢に向かって話し合われたからでしょう。 今は診療圏の無い時代。 しかも人口が減っているので開業したら儲かると言う時代ではありません。 科目によりますが、立ち上がりに1年から2年かかることもあります。 もし奥様が開業後クリニックで一緒に働いていただけるようであれば、年間数百万円の他人に支払う給料がコストダウン可能ですからね。 あとは、病院や医局のお仲間にも内密で進められることが多いので、勤務中には奥様が業者などの窓口になっていらっしゃるケースもあります。
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【米田】 開業医は孤独と聞きます。 勤務医時代は医局の仲間と雑多な会話があり、病院内ではナースや薬剤師が常駐している環境から一転、開業医となれば「雇用者」としての存在です。 このようなことも関係しているのでしょうか。
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【河村 税理士】 そうですね。 一概には言えませんが、そのような要因もあると思います。 ただ、開業を意識した頃よりも、時間が経つにつれ、開業への覚悟が芽生えてみえるのではないでしょうか。 なぜなら、開業コンセプトである「理想の診療と治療方針」と「クリニック経営」はイコールにならないことが多くあることに気づき始められるからです。
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【米田】 たとえば、どのようなことか具体的に教えてください。
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【河村 税理士】 まず、こちらをご覧ください。
開業後の業務負担の変化について、労働時間が「過重になった」(かなり過重・やや過重)とする回答は41.6%となっています。 業務負担を感じている内容は開業医の収入源であるレセプトの作成・チェック(52.2%)が上位ですが、現在の開業では電子カルテの初期導入が当たり前になっていますから、この数字には変化があると思います。 しかし、自身の医療水準維持(49.5%)、レセプト以外の書類作成(38.3%)などと続き、決して開業医が楽であるとは思えません。
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【米田】 本来、診療に集中していただかないとならないのに、ストレスを多く感じていらっしゃいますね。
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【河村 税理士】 次にこちらをご覧ください。
管理面ではスタッフの採用(65.1%)、機器等のメンテナンス(48.5%)、スタッフの教育・育成(48.3%)と続きます。 特にスタッフの採用・教育・育成、いわゆる労務管理面にも労力を感じている先生が多い事実が浮かび上がります。 尚、この資料によると先生ご自身の医療水準への満足度は「高い」(かなり高い・やや高い)は24.0%に留まり、「低い」(かなり低い・やや低い)の38.6%を下回ったこともわかります。
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【米田】 開業の達成感は高いですが、業務面での負担を感じておられ、なおかつ、ご自身の医療水準の低さにストレスを感じていらっしゃることがわかります。
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【河村 税理士】 そのとおりです。 本来は患者と向き合い、診療に集中していただくべきなのですが、実情は違うようです。 そのような実情を知りパートナーである奥様にも手伝ってもらいたいとの欲求が生まれてくるのも自然なことかもしれません。 また、開業には多額の借入金が必要です。 その際に奥様が保証人になるケースも少なくありません。 突然、保証人になって欲しいなどと言われたら奥様も驚き、開業準備が中断してしまう恐れもあります。 やはり、奥様としっかり相談し、先生の情熱を伝えて欲しいと願います。
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【米田】 奥様が納得し、ご一緒に準備ができる環境からスタートできれば、クリニック開業の成功に1歩近づいたようにも思えます。 クリニックの労働環境は女性が大半を占めますので、奥様の役割は重要だと感じます。 開業後起こりうる問題を事前に知ることで回避できるトラブルも多くあります。 この開業塾に参加いただくと、ご参加いただいた奥様同士のネットワークができ、他には相談できないようなことも、もしかすると解決できる場になるかもしれません。 是非、奥様のご参加を勧めていただければと思います。 それでは、河村税理士ありがとうございました。
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