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m3コンシェルジュ 宮地 孝郎

リスクマネジメント・ラボラトリー

宮地 孝郎

今回から2回シリーズで、「クリニックの開業準備」をお届けします。

執筆は、神奈川県最大規模会計事務所であるYMG林会計の医業部の皆さまにお願いしております。 医療機関の税務顧問も大変多く、経験豊富な会計事務所です。

第1回は「開業時の事業計画の重要性」について、YMG林会計の松嶋課長にお願いしました。

「クリニックの開業準備」
事業計画の重要性

「クリニックの開業準備」

事業計画の重要性

■ 事業計画の重要性と策定

先生が、自信を持って開業に踏み出すための準備の重要性についてお伝えいたします。 まず開業を志した時の、第一のステップは「事業計画の策定」です。

事業計画の準備は、できるだけ具体的にイメージして行います。

  • どのような医療を提供したいのか?
  • どの場所で開業するのか?
  • 戸建てで開業するのか、テナントで開業するのか?
  • どのような設備投資を行うのか?
  • 医療機器、備品、建物や内装の工事費用など
  • 資金調達はどうするのか?
    自己資金・親族からの借り入れ・金融機関からの借り入れ
  • どのような人材を募集するのか? また何名必要か?

    など

上記がイメージできれば、収支計画を具体化していきます。

 

■ 収支計画の策定

  • ご自身の生活も維持するためには、どれくらいの診療収入が必要なのか?
  • 外来患者数は一日にどれくらい必要か?
収支計画があまりにも現実的ではない場合は、下記も検討します。
  • 提供したい医療と求められる場所の整合性はどうなのか?
  • 設備の投資コストを削減できないか?
  • リースの活用や中古医療機器は検討できないか?

    など

最初に作成した事業計画に縛られることなく、何度も調整していく寛容さが必要です。

また、開業支援していると、以下のようなケースがよくあります。

  • 想定したテナント賃料より高い
  • 想定していた面積より広い

開業場所は、来院患者数に大きく影響するため、理想の物件に巡り合えた場合は、テナント賃料が高くなっても、その他にコスト削減できるところはないか事業資金が回るようにチェックし、事業計画に沿って進められるよう検討していくことです。 こうした機会を失うと、開業のタイミング自体を失うことになりかねません。

開業をスタートさせてからも、スタッフがもっと必要となり収支計画を見直す場面があります。 その場合でも、収支計画に増加した人件費を入れ直し、ほかのコストを削減するか、どのようにしたらよいか検討する必要があります。

このように事業計画は、決して金融機関の融資のためだけに作成するものではなく、健全に経営していくためにも優先順位をつけて調整・変更していくことが重要です。 事業計画を先生が常にイメージすることで不測の事態にも臨機応変に対応し、余裕を持って開業できることを願っています。

まずは事業計画を策定してみて下さい。

m3コンシェルジュ 宮地 孝郎

いかがでしたでしょうか?

今回は、「開業時の事業計画の重要性」をお届けしましたが、その後の長い経営の中でも設備や人材に投資する場面はあるものです。

今後、2025年に向けて取り巻く環境は変化していきます。 変化に対応できる資質を身に付けるためにも、すでに開業されている先生方も是非、習慣化してみてください。

次回はクリニックの開業準備「開業時の借り入れのポイント」をお届けします。


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