前回の社会保険適用の話を受けて、家族を扶養に入れる条件、医師国保・社会保険のメリット・デメリットについて解説したいと思います。
■ 適用単位と被扶養者
健康保険では被保険者(労働者)が適用単位ですが、一定の条件を満たす家族も被扶養者として加入することができ、この場合国保とは違い、家族に対して保険料は掛かりません。 ではどのような条件であれば被扶養者として認められるかといいますと、被扶養者となる対象者の年収が130万円未満かつ、被保険者の収入の2分の1未満であることが必要となります。 また、別居している場合については、被扶養者となる対象者の収入が130万円未満であって、その収入が被保険者からの送金額より少ないことが条件になります。 被扶養者となれるのは、下記のグループになります。
- 直系尊属・配偶者(事実婚を含む)・子・孫・兄弟姉妹
⇒ 同居要件無し
- 「1.」以外の3親等内の親族、事実婚関係の配偶者の連れ父母および子
⇒ 同居要件あり
- 「2.」の事実婚関係の配偶者死亡後における連れ父母および子
⇒ 同居要件あり
※いずれの場合も後期高齢者医療制度の対象者は除く 例えば3人家族で下記のようなご家庭の場合を考えてみます。 被保険者(労働者)Aさん 年収500万円 専業主婦Bさん パートで年間100万円 息子Cさん(高校生) Aさんは単身赴任中で家族に年間250万円送金している。 この場合、まず配偶者・子なので「グループ1」に該当するため同居していなくても可。 Bさんの収入よりも多い金額を送金しているため、収入要件も可。 息子Cさんは高校生であり収入0円なので可となります。
■ 医師国保と健康保険のメリット・デメリット
次によく聞かれる医師国保と健康保険のメリット・デメリットについて考えてみます。 まずは保険料についてですが、医師国保の場合、保険料は定額制で家族がいる場合、家族の増減で加算されていきますが、収入の多寡による変動はありません。 これに対して、社会保険の場合、保険料は収入に応じた額となりますが、家族が増えたとしても、保険料に変更はありません。 また、医師国保は国民健康保険のため、負担はあくまで個人負担のみですが、社会保険の場合、事業主負担が掛かり、その金額は被保険者負担の金額と同額になります。
■ 給付面
次に給付面についてですが、出産に対する一時金はありますが、社会保険と違い、出産前後の休業に対する所得補償である出産手当金や、傷病により休業する期間に対して支給される傷病手当金の支給もありません。 さらに、意外と大きいのが医師国保の場合、自家診療に対して請求ができないというデメリットもあります。 医師国保・社会保険どちらを選択するかは、単純に保険料の負担だけでなく、スタッフの募集を掛ける時に、医師国保だと敬遠されがちであることも事実ですので、福利厚生や採用面等、総合的な観点から検討されるのがよろしいかと思います。
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