■ 助成金、補助金、特別融資を検討
前文でもお話ししましたが、クリニックの経営されている先生の中には、新型コロナウイルスCOVID-19の影響で収益が減り、今後の経営に不安を感じられている先生も多くいらっしゃいますので、助成金、補助金、特別融資などについてお話しします。
既にご存じの方も多いと思いますが
- 助成金・補助金などで貰えるもの
- 借りられるもの
- 支払いを延ばすもの
などがあります。
社会保険労務士さんや行政書士さんにお願いするものが多く、税理士さんが全てに詳しいとは限りませんで、多くの専門家に相談することがお勧めです。
労働関係の助成金の申請は、「労働法関連の要件を満たしている就業規則を労働基準監督署に届けていること」など多くのことが条件になり、社会保険労務士さんによる就業規則の見直しが、必要になることが多いです。
しかし、社会保険労務士さんにとっても助成金の申請は複雑で、申請のための条件を就業規則に限らず多岐にわたり確認する必要があるので、助成金の申請を断る社会保険労務士さんは多いようです。
もし、社会保険労務士さんが申請を請け負ってもらえない場合には、専門家に紹介依頼をすることがお勧めです。 「○○さんの紹介ならば、請け負いましょう」と言ってもらえる可能があります。
助成金の申請は、社会保険労務士さん、司法書士さん、行政書士さん、税理士さんなどの資格を有する方のみが申請できますので、無資格の申請代行業者には注意が必要です。 一定の条件を満たせば、貰えるもので、「助成金は、申請してみないと貰えるか分からない」と言うのは、間違えです。
この様な時に慌てないためにも「少人数のクリニックだから就業規則は必要ない」と言わずに最新の就業規則を整えておくのがお勧めです。 助成金、補助金、特別融資は、国で行っているもの、都道府県でやっているものなど様々です。 ご自身の地域の情報をインターネットで収集されることをお勧めします。
参考までに、東京都の支援情報サイトのURLを掲載します。 各都道府県新型コロナウイルス感染症の影響でお困りの企業や都民のみなさんが利用できる、東京都および国の支援情報を探すことができるサイトです。
https://covid19.supportnavi.metro.tokyo.lg.jp/
■ 経営計画とマネープランの見直し
新型コロナウイルス感染症の影響で、開業したばかりの院長先生の中には、キャッシュフロー計画が甘かったことで、クリニックの経営に苦しんでいる先生も散見されます。 開業時には、無理な返済計画を立てずに余裕を持った計画を立てるのがお勧めです。
クリニックの経費の内、固定費の多くは、人件費、リース代、家賃、開業時の借入(設備資金、運転資金)、光熱費が多く占めると思います。
人件費に関しては、開業されている先生から、「スタッフさんは、パートが良いか?常勤が良いか?」と聞かれますが、常勤(正社員)を希望される方も多くいますので、常勤希望だから採用するしないを判断するのでは無く、その方の人間性で判断するのがお勧めです。
もちろん、面接だけで人間性を判断するのは難しいので、数カ月の見習い期間(試用期間)に十分なコミュニケーションを取ることが必要になります。
「常勤さんは新型コロナウイルス感染症の影響で経営が苦しくなっても解雇ができない」と思っている先生がいますが、その職員と十分な話し合いを持って、解雇の承諾を受ければ可能となります。
解雇をする際には、退職特別手当や給与の数カ月分の支払いが必要になる場合がありますので、雇用に関してもマネープランを考えておく必要があります。
■ ご自身の使えるお金を確認、そして整理
「経営が苦しくなった際に、使えるお金はいくらあるのか?」を確認、整理することをお勧めします。
これまでにコンサルティングさせていただいた開業医の先生の中には、お持ちのお金の大半を株や債券などの変動型の財産で運用されている先生もいらっしゃいました。
新型コロナウイルスCOVID-19発生、拡大時期の3月ごろには、株価が大きく下がりました。 もし、このお金をお子様の入学金に充当しようと思っていたら足りなかったかもしれません。
年金保険を多くかけて、すぐに使うことができないお金にされている先生もいらっしゃいました。 「金利の高い時の保険だから止められない。」と言われ借入をされている先生もいらっしゃいました。
状況によりますが、借入をするよりは、保険を解約する方が良い場合が多いと思います。
「個々の積み立てや運用は良いものでも、財産全体のバランスが取れているか?」、「十分な資金を確保できるか?」確認することをお勧めします。 |