ドクター総合支援センターの近藤です。 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が始まってから一年が経とうとしています。
医療業界も他の業種と同じように大きな影響を受けた一年でした。 新型コロナウイルスの患者を治療している病院はもちろん、クリニックもその例外ではありません。
診療科目によっては患者数が前年に比べて半分近くになるなど、一時は大変な状況になってしまいました。
これまで日本の医療業界が経験したことのない未曾有の状況だったことは間違いありません。 現在(2021年1月)に至ってもまだ患者数が回復せず、中には残念ながら閉院されたクリニックや、閉院を検討しているクリニックもあるようです。
しかし、このような厳しい状況の中でも前年と同等、あるいはそれ以上の患者さんを診ているクリニックも数多くあります。 以前にも増してクリニックの二極化が急激に進んでいるのです。
患者さんが戻ってきているクリニックとそうではないクリニックで行っている診療内容や様々な対策が大きく違っているのかと言うと、そうではありません。
では、何がこの大きな差を生んでいるのでしょうか。 それは、「患者さんが必要とする情報をわかりやすく伝え続けているかどうか」です。 ある地方都市の小児科クリニック(Aクリニック)の成功事例を紹介させていただきます。
Aクリニックの近隣には小児科クリニックが2件ありました。 Aクリニックは3年前に開院、Bクリニックは10年前の開院、Cクリニックは最近父親から承継したばかりです。 以前はどのクリニックにも同じように患者さんが受診されていましたが、コロナ禍でこのバランスが大きく変化しました。
昨年の春先には全てのクリニックが大幅に患者数を減らしましたが、しばらくするとAクリニックは前年よりも多くの患者数に、Bクリニックはほぼ同等の患者数に、Cクリニックは患者数が戻ってきませんでした。
Aクリニックの院長先生によると、この差がついた原因は感染対策の内容を積極的に情報発信していたかどうかだと思われるのこと。 どのクリニックも感染対策はしっかりしていたのに、その伝え方に違いがあったのです。
Aクリニックはホームページに感染対策専用のページを作り、空気清浄機や消毒液、サーモグラフィなどの写真を掲載、安心して受診いただけることを積極的に伝えていました。
Bクリニックはホームページのお知らせ欄で感染対策をしていることをアナウンスしていました。
Cクリニックは先代の考えもありしっかりしたホームページを作っておらず、感染対策をしていることをほとんど伝えることができていませんでした。
お母さん方はコロナ感染が心配で受診を控えていましたが、子供の具合が悪くなったときには受診せざるを得ず、感染対策をしっかりしていて安心して受診できるクリニックがどこかを探して受診した結果、このような差がついたようです。
今回は感染対策を例に説明しましたが、これからのクリニック経営では、様々な分野で患者さんが欲している情報、患者さんの役に立つ情報をわかりやすく発信していくことが最重要事項だということがわかります。
そして、患者さんに伝えたことはしっかりと実行しなければなりません。 有言実行しなければ患者さんの不信感を招いてしまうからです。 そのためには情報発信をするだけではなく、院長先生をはじめ、スタッフ全員が患者さんに伝えた通りの仕事ができる環境を整えておかなければなりません。
これからのクリニック経営はこれまでにも増して、患者さんに共感していただき、信頼していただき、継続して受診していただけるように組織を整え続けることが不可欠なのです。 |