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m3コンシェルジュ 米田 弘司

リスクマネジメント・ラボラトリー

米田 弘司

皆さまこんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている米田 弘司です。

日ごろ開業医の先生とお話をしていると、プライベートでは「所得税が高い」「お子さまの教育資金の準備」など、診療以外にも苦慮されています。

税引き前当期純利益で可能な貯蓄方法や、非課税で受け取れる等、有利な商品が用意されているにも関わらず、ご存じでない先生が多くいらっしゃいます。 そのような情報を日々お伝えし、開業前に知っておけば良かったと思われる内容を集結し、お伝えいたします。

今回は「患者から選ばれるクリニックとは、WITH・AFTERコロナと共存」について、セミナー講師の河村好夫税理士にインタビューしてまいりました。

それでは、どうぞ。

今だからこそ真剣に開業について学びませんか
「患者から選ばれるクリニックとは、
WITH・AFTERコロナと共存」

今だからこそ真剣に開業について学びませんか

「患者から選ばれるクリニックとは、
WITH・AFTERコロナと共存」

厚生労働省、社会保障審議会医療保険部会の「医療保険制度による新型コロナウイルス感染症の影響について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000682589.pdf
の報告書を読み取ると、レセプト件数 「2019年4月から6月」と「2020年4月から6月」を比較すると、医科、歯科、調剤とも減少しているが、6月には回復傾向にあります。

医科にフォーカスすると、4月、5月はどの科目も減少しています。 特に小児科、耳鼻咽喉科は50%強になり、7月には回復傾向ですが、70%程で頭打ちなのを見ると、他の科目が90%以上の回復と比較すると、非常に苦戦を強いられているのがわかります。

新型コロナウイルス感染症の影響はもちろんでしょうが、定期的な受診や検査をしている患者に、受診抑制が心理的に働いているのは事実です。 ますます新型コロナウイルス感染症との共存し強固なクリニック経営が必須となっています。

いままでのクリニック開業は、立地が成功を左右する重要な位置づけでした。 診療圏調査を実施し、受療率を予測した上で開業計画書を作成する。 銀行融資も問題なく決済されてきました。 これからの開業も「立地」は大変重要な位置にあるのは間違いありません。 しかし、それだけでは患者が来る時代は終わったように思います。

都市部やビジネス街ではテレワークの普及で通勤する人の数は減り、企業はビルからの撤去や縮小を進めています。 郊外では車で移動が可能なショッピングセンターと自宅の往復だけになり、駅前からも人が減少してきています。 いままででは利便性の高かった立地が、コロナ禍では様変わりをしてしまい、全く違った環境に変化してしまった地域もあります。

緊急事態宣言が解除になりワクチンが普及したとしてもコロナ禍の余韻は残り社会や文化が変化してしまったため、ニューノーマルな時代が到来することでしょう。 アフターコロナの戦略として考えられるのは患者の利便性を残しつつ、「ここでないと行きたくない」「この先生に診てもらいたい」というクリニックが選ばれる時代だと感じています。

ご盛業中のクリニックは変化に対応し、これから開業を考えている先生は現在のクリニックの生き残り戦略を是非参考にしていただければと思っています。 先輩開業医にコンタクトをとり、率直に聞くのもいいでしょう。

現在のクリニック経営の問題は患者減少に伴う収益の悪化です。 日本医師会のデータによると有床・無床診療所とも2020年5月が底で全体的に回復傾向ですが、世間が日本国政府による経済対策であるGoToキャンペーン事業で盛り上がりをみせている頃も以前のように患者がクリニックに戻ってきていないのがわかります。
https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20210203_3.pdf

よって、新型コロナウイルス感染症が終息後、患者がいままで通りに戻ってこない。 このような観測をしておくことはリスクマネジメントだと思います。

現在のクリニック経営に求められているのは経費の見直しです。 医業収益(売上)が減少している状況下で利益を出すのは難しいため、支出を減らすことが先決です。 ただ、固定費(人件費、家賃、リースなど)の見直しは難しいため、資金繰りに苦慮されているクリニックが多くあります。

キャッシュフローを正常化するために、政府や福祉医療機構が用意した融資制度等を緊急で利用するクリニックも多く現れています。 開業を考えている先生はこのような状況下だと肝に銘じ、慎重な開業を判断されることを望みます。 ただ、いままで通りの経営では成り立たないだけであり、医療がこの世から淘汰されるわけではありません。

クリニック経営では色々な問題が発生します。 理不尽なことも多くあります。 しかし、経営者としてネガティブにならず初心に戻り、基本に立ち返る「なぜ開業したのか」「クリニックの理念は」を思い出すことで、大切なものを見失っていたと気づいていただく。 この繰り返しです。

これから開業する先生はニューノーマル時代のクリニック経営になります。 だれも想像がつかない時代なわけですから、なるべくローコスト開業を目指していただきたい。 そう思っています。

素晴らしいクリニック空間と最新の医療器械を揃えているのが重要ではなく、「選ばれるドクター」「選ばれるスタッフ」「選ばれるクリニック」を目指していく必要があると感じています。 その答えはどこにあるのか、ご一緒に考えていければと思っています。
 

コンシェルジュ 米田 弘司

いかがでしたでしょうか?

いままでは厚生労働省が医療費の高騰を懸念し、診療報酬改定や薬価改定にメスを入れてきましたが、いまは新型コロナウイルス感染症による患者自身に受診抑制が働いています。 一日も早い終息を願うとともに、アフターコロナでの新規開業に、参考にしていただければと願っております。