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コンシェルジュ 佐久間 洋

リスクマネジメント・ラボラトリー

佐久間 洋

皆さまこんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている佐久間 洋です。

先生方は「お金のこと」「ライフプランのこと」など、医療以外の周辺知識について様々なことで悩まれています。 特に開業されてからは「クリニックの経営のこと」、「税金のこと」、「職員のこと」など、そのお悩みは多岐にわたります。

我々がコンサルティングの現場で先生方から「開業前にこの情報を知っていたらこんなに悩まなかったのに」とよく言われる内容について、2019年からコラムとセミナーで継続的にお伝えしています。

今回は「勤務医の確定申告と税額軽減対策について」について、今年度のセミナーで講師を担当する税理士法人シリウスの米山憲子税理士に聞きました。

【開業前に知っておきたいクリニックの作り方】
「勤務医の確定申告と税額軽減対策について」

【開業前に知っておきたいクリニックの作り方】

「勤務医の確定申告と
税額軽減対策について」

税理士法人シリウス、代表税理士の米山憲子です。 年の瀬から年始にかけて、勤務医の先生方はお勤め先から源泉徴収票が届きはじめ、納税額が高いなあと感じられている先生も多くおられることと思います。

そこで、今回は正しく確定申告の制度を知り、ご自身にとって適切な対策を考えていただきけるよう、確定申告についてまとめてみました。

そもそも確定申告とは何か

毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の金額を計算して確定させる手続きのことを「所得税の確定申告」と言います。

所得には、利子所得、配当所得、事業所得、不動産所得、給与所得、退職所得、譲渡所得、山林所得、一時所得、雑所得の10種類あります。

先生方もご存知のとおり、日本の所得税の課税方式は「超過累進課税」と呼ばれ、所得額が高くなるに応じてその部分の税率が上がっていく仕組みがとられています。

(参考)所得税速算表
国税庁 所得税の税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm


このほかに復興所得税が所得税額の2.1%と住民税の所得割が前年所得の10%、計算されます

国税庁 復興特別所得税のあらまし
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/fukko_tokubetsu/index.htm
東京都 住民税について
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ju.html

ここで誤りやすいのが、「収入」と「所得」の違いです。 収入とは1年間に得たお金の総額です。 そしてその収入を得るために必要な費用(=必要経費)を差し引いた残りが所得となります。

例えば、「事業所得」であれば「事業収入」つまり「売上」から、その事業に必要な経費を差し引いた残りが事業所得になり、一般的には利益のことを指します。

複数の所得がある方の場合、前述の各種所得を合計します。 その合計金額から「所得控除」を引くと「課税所得」が求められます。

所得控除とは、配偶者控除や医療費控除、寄付金控除など所得から差し引くことができる金額のことです。 そして、「課税所得」に税率を乗じて「税額」が求められることになります。

簡単にまとめますと、

  1. 収入 - 経費 = 所得
  2. 所得 - 所得控除 = 課税所得
  3. 課税所得 × 税率 = 税額

これを計算して、既定の申告用紙に書いて提出するのが「確定申告」です。

税額軽減対策を考える場合、a.の収入(給与や事業の売上)の減少を望む方は少ないと思いますので、a.の経費を増やせないか、b.の所得控除を増やせないか、c.の税率を下げられないか、このいずれかを検討していくことになります。

「税額軽減対策の例」

  • 給与所得者の経費「特定支出控除」制度を利用する(資格取得費・書籍代・研修費等に対して控除される特定支出控除を申請する)
    その年の特定支出の合計額が、「その年の給与所得控除の1/2」を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度です。
    ただし、特定支出については勤務先の証明が必要になります。
  • 給与所得以外の副収入から必要経費を差し引く
    医師は給与所得以外に、書籍執筆の原稿料や講演の謝礼、あるいは医療コンサルティングや技術指導など、副収入を得ていることが多くあります。
    事業継続性のある所得は「事業所得」、その他スポットの収入は「雑所得」として申告をします。
  • 事業所得の必要経費を計上する
    事業活動に必要な経費を収入から差し引き、事業所得を算出します。
    確定申告書には所定の決算書を添付し、帳簿の作成や領収書の保管など細かな要件を満たせば、税制上のメリットを受けることが可能です。
    また、事業が赤字になった場合は、「損益通算」という制度があり、他の所得と相殺することができます。

    国税庁
  • 雑所得の必要経費を計上する
    スポット的な収入、例えば講演の依頼などを受けた際に、その収入の範囲内で経費を計上することができます。 事業所得と異なる点は、「雑所得」はマイナスになることがないため、損益通算をすることはできません。

このほかにも

  • 確定拠出年金・医療費控除・生命保険料控除などの公的制度を上手く活用する
  • セルフメディケーション税控除対象であるスイッチOTC医薬品を使う
  • 開業や一般法人を設立することで、親族に専従者給与や役員報酬を支払い、所得分散を図る
  • 収益不動産への投資を活用することで適切に経費を計上する

などの対策を行うことで、税額軽減が図れます。

コンシェルジュ 佐久間 洋

いかがでしたでしょうか?

ここで説明されているのは、あくまで確定申告の基本的な部分です。 実際には、例外や細かな適用要件がありますので、税理士など専門家の力を借りて、正しく効率的な税金対策をご検討されてはいかがでしょうか。

※ 本稿の内容は記事執筆時点(2020年12月)の税制に基づき作成されています。

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