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コンシェルジュ 佐久間 洋

リスクマネジメント・ラボラトリー

佐久間 洋

皆さま、こんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている佐久間 洋です。

先生方は「お金のこと」「ライフプランのこと」など、医療以外の周辺知識についても様々なことで悩まれています。 特に開業されてからは「クリニックの経営のこと」、「税金のこと」、「職員のこと」など、そのお悩みは多岐にわたります。

今回、我々がコンサルティングの現場で先生方から「開業前にこの情報を知っていたらこんなに悩まなかったのに」とよく言われる内容について、コラムとセミナーでお伝えしています。 セミナーは一旦10月に全6回を終了しましたが、今後も引き続きセミナーを企画してまいります。 開催確定次第ご案内いたしますので、内容ご期待ください。

今月は番外編として、「クリニックの経営改善に必要な経営分析」について、当社セミナーでも講師を担当するドクター総合支援センターの近藤隆二氏に聞きました。

【開業前に知っておきたいクリニックの作り方】
番外編 「クリニックの経営改善に必要な経営分析」

【開業前に知っておきたいクリニックの作り方】

番外編 「クリニックの経営改善に必要な経営分析」

ドクター総合支援センターの近藤です。 クリニックの診療報酬を増やすことは経営を継続するための最重要課題です。

当たり前ですが、診療報酬を増やし、利益を出さないとお金が不足して経営を継続することができなくなるからです。 そしてそのためには経営データの分析が欠かせません。

多くのクリニックが税理士や会計事務所に依頼して経営データを作成していますが、実は多くの場合このデータだけでは十分な分析はできません。

なぜならば、損益計算書や貸借対照表は経営の結果を現しているだけで、なぜ診療報酬が増えていないか、などの原因は書かれていないからです。 原因が明らかではないまま闇雲に対策を打っても、成果に結びつきにくく無駄な労力を使うことになりかねません。

ではどのようなデータを分析すれば良いのか、あるクリニックで診療報酬が不足したケースを考えてみます。 診療報酬を要素に分解するとその答えが見えてきます。

診療報酬はこのような計算式で表されます。
診療報酬 = 診療単価 × 患者数

この式から、診療報酬が減少する原因は診療単価の減少か、患者数の減少、あるいは両方かの3つに分けられることがわかります。

患者数が減少した場合でも、その原因は新患数が減少したのか、リピート患者が減少したのかによって対策は違いますので、まずはこの点を確認します。

もし、新患数が減少したとすれば、まずは「なぜだろう?」と考え、その原因となるデータを分析します。

例えば、来院する患者のうち、ホームページを見てくる人が減っているのであれば、なんらかの問題がホームページで発生していると考えられるので、さらに原因を探り対策を打てば良いのです。

このように、「なぜだろう?」という疑問を解消できるデータを取り続けて、時系列に見ていくと課題の原因がわかり、成果が出やすい対策を行うことができます。

データを継続して分析していると、診療単価が知らないうちに減少していることがあります。 先生ご自身は全く自覚がないのですが、多忙などの理由で本来行うべき検査が行えていなかったりすることがあるのです。

診療単価が10% 減少すると当然診療報酬も10% 減少しますので、利益は大幅に減少することになります。 場合によっては赤字になるようなことも発生します。

そして、それに気づかずにいると損失がどんどん増えてしまいますので、分析に必要なデータは毎月末、少なくとも翌月の初めのうちには分析し、課題があればすぐに対策を打つことが必要です。

税理士・会計事務所からの月次決算書は早くて1ヶ月後、遅いと2ヶ月以上後ですので、それを待つ前にまずは自分で速報をまとめることが重要です。

今回はいくつかの事例をお伝えしましたが、クリニックの経営をよくするためには他にも様々なデータを分析する必要があります。

データ分析をしない経営は、霧の中で羅針盤がない船を操っているのと同じような大変危険な状態です。 ぜひ自院に必要なデータは何かを考えて分析し続けていただければと思います。

コンシェルジュ 佐久間 洋

いかがでしたでしょうか?

税理士・会計事務所が作成する貸借対照表や損益計算書は過去の情報です。

もちろん過去の結果確認も重要ですが、経営改善には経営データを収集し、年次・月次の変化を感じ、未来に向けて分析することが必要なことがわかります。

このようなデータをまとめることは結構大変な業務で、スタッフの協力が欠かせません。 またレセコンや電子カルテの中には経営データをまとめる機能が存在する機種もありますし、その分析を行うアプリもあるようです。

スタッフの協力を得ること、これらのツールも必要に応じて活用すること、などで、経営状況が悪くなる前に、分析し対策を打ちたいものです。

経営データの分析をしてみたい、今回の内容を詳しく聞いてみたいという場合は当社までお問い合わせください。 筆者のドクター総合支援センターの近藤氏とともにお手伝いさせていただきます。

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