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コンシェルジュ 佐久間 洋

リスクマネジメント・ラボラトリー

佐久間 洋

皆さま、こんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている佐久間 洋です。

先生方は「お金のこと」「ライフプランのこと」など、医療以外の周辺知識についても様々なことで悩まれています。 特に開業されてからは「クリニックの経営のこと」、「税金のこと」、「職員のこと」など、そのお悩みは多岐にわたります。

今回、我々がコンサルティングの現場で先生方から「開業前にこの情報を知っていたらこんなに悩まなかったのに」とよく言われる内容について、コラムとセミナーでお伝えしています。

今月は番外編として、最近お問い合わせの多い「クリニックの承継開業」について、当社セミナーでも講師を担当するドクター総合支援センターの近藤隆二氏に聞きました。

【開業前に知っておきたいクリニックの作り方】
番外編 「クリニックの承継開業について」

【開業前に知っておきたいクリニックの作り方】

番外編 「クリニックの承継開業について」

ドクター総合支援センターの近藤隆二です。 クリニックを開院する時には大きく2つの方法があります。 全く新たなクリニックを開院する方法と、現在あるクリニックを承継する方法です。

私はこれまで、承継での開院はあまりお勧めしてきませんでした。 その理由は承継開院があまりうまくいっていない事例を数多く見てきたからです。 うまくいかないだけではなく、親族間の争いにつながるなど、トラブルも多いのです。

しかし、現在はクリニックの開院を検討されている先生には選択肢の一つとして承継開業をお伝えしています。

なぜならば、今後のクリニック経営を取り巻く環境は非常に厳しく、多額の設備投資をしなければならない新規開業は大きなリスクを抱えることになるからです。 思ったように患者さんが来院しないと、借入金の返済ができなくなる可能性もあるということです。

このところ当社にはクリニックの開院資金を融資した銀行から、融資先クリニックの経営が厳しく、立て直しのサポートを依頼したいという連絡がいくつも来ていることから現実の厳しさを感じています。

クリニック経営が厳しい理由は新型コロナウイルスの影響で患者さんの受診数が減り、今後もこの傾向が続くと考えられるからです。 コロナ収束後には患者さんが戻ってくると思うかもしれませんが、それは甘い考えです。 経済産業省は外来医療需要の推移を2025年がピークでその後5年間で10%ほど下がり、その後も下がり続けると予想しています。

その原因は団塊の世代の方々の高齢化に伴い外来受診ができなくなる方が増えること、人口そのものが減少し続けることです。 この傾向を止めることは現段階では不可能と考えざるを得ません。

このような厳しい時代には、初期投資を抑えられ、一定数の受診数が見込める承継開業が有効です。 まずは承継で安全に開業し、経営が軌道に乗ったら次の展開を考えるということも可能です。

しかし、先ほども書いたように承継開業はうまくいかないことも多くあります。 こうすればうまくいくという明確な答えはありませんが、いくつか気に留めていただきたいことをお伝えします。

承継開業は親子(親族)承継と第三者承継に分けることができます。 どちらも、重要なことは相手と早い段階からコミュニケーションを十分とり、信頼関係を築くということです。

信頼関係を築くにはお互いが隠し事なく経営などの情報を開示すること、本音で自分の要望を伝え合うことが欠かせません。 そして相手の意向にも耳を傾けて尊重し、お互いが納得できる着地点をじっくりと探していくことが大切です。

これは相手が親(親族)である場合の方が難しいかもしれません。 第三者の場合にはビジネスライクに話を進めやすいのですが、親(親族)ではなかなかそうはいきません。 日頃から率直に話し合いができる環境を整えておくことが重要です。

もう一つ重要なことは現実に基づいたリアルな事業計画を作り何度もシミュレーションしながら相談をしていくことです。 できれば承継開業と新規開業と2パターンを作ってみることをお勧めします。

承継開業の相談がうまくいかない時には新規開業の道を探る必要が出てくるかもしれないからです。 これまで経営の経験がない先生が長年経営をしてきた相手と承継の交渉をするのはなかなか困難なことです。

最低でもクリニック経営の基礎である財務諸表や事業計画の作り方を理解しておくことが必須です。 そして、事業計画を何度もシミュレーションすることで経営の疑似体験ができ、経営者の感覚が生まれ、相手との交渉・相談ができる力がついてくるのです。

あくまでも承継開業の主役は先生ご自身です。 そのことを強く心に留めていただき、第三者に任せきりにすることのないようにしてください。

コンシェルジュ 佐久間 洋

いかがでしたでしょうか?

承継開業はスタートから患者さんが見込めるから安心だ、という声も聞きますが、「親子(親族間)承継」、「第三者承継」」を問わず、十分検討し、事業計画をシミュレーションする必要があることがわかります。

もちろん、いくらシミュレーションを繰り返しても現実の経営を経験しないと想像もできない、わからないことが数多くあります。 また、利害関係のある当事者同士だとなかなか話が進みにくいこともあります。

承継開業を検討される時には、承継者・被承継者お互いの言い分を聴いて調整でき、先生と一緒にクリニックの開院、ライフプランの実現を考え行動してくれる信頼できるサポーターを探されることをお勧めします。

当社セミナー【開業前に知っておきたいクリニックの作り方】では開業される先生にもされない先生にも知っておいていただきたい、「お金のこと」、「クリニックの経営のこと」、「ライフプランのこと」、「税金のこと」、などをお伝えしています。

皆さまのご参加をお待ちいたしております。

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