4月以降食品、日用品、電気ガソリン等様々な分野で軒並み値上がりをしています。 その原因は原油高や原材料の高騰といわれております。 恐ろしいのはすでに1月時点で値上げが予定されていたものであるということです。 現在、ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響による値上がりはこれからが本番となってきます。
■ インフレ対策のすゝめ
1. インフレの種類
日銀の黒田東彦総裁は3月の金融政策決定会合の後、原油や穀物価格高騰を受けた最近の物価上昇について「好ましくない」と述べ、景気回復を伴わない「悪い物価上昇」と懸念を示しました。 インフレには良いインフレと悪いインフレ(下図)があります。
インフレの種類
(筆者作成)
今回のインフレは悪いインフレの可能性があります。 日本以外の国では物価は上昇するものという認識があり、それに伴い賃金も上昇しています。 長らく日本はデフレ下にあり、低金利、賃金が増えなくても生活水準は保てました。
日本にとって今回のインフレが恐ろしいのは、急激な物価上昇が家計を圧迫する可能性があること、資産運用に慣れていないため物価上昇に対応できないこと等が理由として挙げられます。
2. インフレ下において資産価値が下がるもの
インフレ下で資産価値が下がるものは、現金(日本円)です。 このまま物価が上がってしまうと現金の価値はどんどん目減りしていきます。 インフレ率別に現金資産価値を表(下図)にしました。
インフレ率別30年後の現金資産価値
(筆者作成)
例えば、これから30年間インフレ率が2%だった場合、現金資産価値は約5割目減りします。 このようなことから、今後資産運用はインフレ対策に必須といえます。
3. インフレ対策に有効な資産
株式等の有価証券
株式は企業業績を反映したものなので、本来インフレ下ではモノやサービスの単価が上昇し、それに伴って収益も伸びます。 そのためインフレに強い資産といわれています。 オーソドックスな対策をとるならインデックス型の投資信託を積立投資するのがおすすめです。
不動産、地金等現物資産
現物資産はインフレ下になっても価値は下落しませんので、インフレ対策として手堅い選択肢といえます。 ただし、不動産は購入資金が大きくなること、流動性の問題もありますので、REITや投資信託を購入するのもひとつの手段です。
地金は価値が変わらない安全資産という認識があり、経済が不安定な局面で買われる傾向にあります。 ただし株式や不動産と違い、利息や配当を生みません。 現物で保有している場合、盗難や紛失のリスクもあります。 金価格に連動したETF(上場投資信託)を通じて保有することも可能です。
外貨
日本でインフレが起こると相対的に日本円の価値が下がります。 日本円だけを保有していることがリスクとなります。 日本円以外の外貨建て資産はインフレの影響を乗り切る助けとなるでしょう。
■ インフレ下の資産防衛まとめ
先ずはインフレに対応できるか、現在の資産状況を把握していただくことが大切です。 インフレに備えるためには、
- インフレに強いとされる資産を組み入れること。
- 円資産だけではなく外貨建て資産を組み入れること。
このような国際分散投資が有効です。
今後も現在のようなインフレ状況が続くのかは定かではありませんが、日本においては、中長期的に対策をとる必要があると考えられます。 毎月一定額を投資する、投信積立などを活用すると、日ごろからインフレに備えることができます。 |