2020年10月に外来患者満足度アンケートを集計した市立大津市民病院の結果に、当医院を選んだ理由が、対前年比と比較し「自宅や職場に近いから」の利便性はマイナスになった半面、「受診したい医師がいるから」が増加した結果がでています。
このような現象が病院でも顕著に表れ始めたと感じました。 医療機関で最も不満とある、待ち時間に対しては、「やや長いから非常に長い」を合計すると、前年対比マイナス18.1%になり、待ち時間が気にならない患者が59%に増加しました。
https://och.or.jp/j4sd25mt/wp-content/uploads/08c25ede2c4fbaae7e0e7d275c1b20c4.pdf
病院という特性上、クリニックと単純比較はできませんが、非常に興味ある資料だと感じています。
小児科では子どもが発熱したからと来院する患者は「早く診て欲しい」との気持ちが先行しますが、慢性疾患の患者は「じっくり話を聞いて診て欲しい」とのニーズがあります。 これは相反するニーズであるため、科目と先生の専門を考慮し、患者のニーズを的確に把握し、どのように応えていくかを真剣に考えなければならないでしょう。
これまでコンビニ診療の医療提供をしていたクリニックは苦境になり、逆に的を絞った患者ニーズに応える診療体制が可能なクリニックは専門的要素が増えた分、スタッフのスキルも恒常的に上がり、患者満足度が上がる傾向があります。
新規開業の場合、まずコンセプトマップを作成します。 経営理念や開業理念、先生の強みや弱みを整理し洗い出す事業コンセプトを文字にて表します。 イメージを具現化するわけです。
そこに、患者ニーズも忘れずに入れてください。
これからの患者ニーズは
- 安心安全であるクリニック
- 魅力ある医師である
- オンライン診療、電話診療の利便性
- 長期処方箋の提供
- 待ち時間が短い
- じっくり診てもらえる
等々です。 これらを開業後の診療スタイルや理念、専門性と照らし合わせてどのような広告媒体を考えていく必要があります。
患者への周知方法で最も効果的なのは口コミだと言われています。 しかし、新規開業の場合はすべてが新患です。 また、口コミされ難い科目もあります。 人に言いづらい疾患は期待できないでしょう。 そこで、広告宣伝はクリニックを周知する重要なファクターとして位置づけられています。
医療機関は医療法等により厳しい広告規制を受けています。 各地の医師会からの規制もあります。 現在はホームページも同様の考え方です。 ただ、ホームページに関しては、特定の医療機関の情報を伝える媒体との位置づけもあり、医療法上6つの禁止事項に違反しない限り許容されています。
- 治療内容または治療効果に関する体験談の禁止
- 詳しい説明を付けない治療前、治療後写真の掲載
- 他の医療機関と比較する広告の禁止
- 誇大広告
- 虚偽の広告
- 合理的な根拠なく、効果・効能を表示する広告の禁止
この6つの禁止行為と先に述べた患者ニーズとは一致していませんので、クリニックのホームページには、「新患が見た時に行きたい、診て欲しい、先生に会いたい」等、興味をそそる内容になっている必要があります。
効果的なホームページ作成の秘訣は作成したコンセプトマップを出し、同じ科目のクリニックや同僚先輩が開業されているホームページを見て比較してください。 先生が作成したコンセプトマップが網羅されているホームページがあるかもしれません。
内容も重要ですが、写真や字体、カラーなどでクリニックのイメージを表現します。 比較をしながら感じ取った感想を記載し何が違うのかなどをチェックしていきます。 時間を許せば、パートナーやお子さまなどにも率直な意見を聞いてみてください。
また、理想のホームページにたどり着いた時は必ず直観で思った感想を書き留めておいてください。 そのことで理念に沿った、理想のホームページが先生の頭の中で構築されます。
それからホームページ作成業者を探します。 開業コンサルからの一方的な推薦で決めるのは危険です。 できるだけ多くのデザイナーと面接をします。 ホームページは先生が診療中も寝ているときも24時間クリニックを世に知らしめてくれている大切な広告塔です。
また、ホームページは定期的に更新していかなければならないため、フィーリングの合うデザイナーを探すことは非常に重要です。 先生にとって、今後付き合っていく経営のパートナーになりますので。
あとは、医療法などの広告規制に詳しい人を選ぶことは大前提にありますのでご注意ください。
|