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m3コンシェルジュ 宮地 孝郎

リスクマネジメント・ラボラトリー

宮地 孝郎

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの宮地と申します。

前回より2回シリーズでお届けしています「クリニックの開業準備」をお届けします。

執筆は、神奈川県最大規模会計事務所であるYMG林会計の医業部の皆様にお願いしております。 医療機関の税務顧問も大変多く、経験豊富な会計事務所です。

第2回は「借入れのポイント」として手続きの流れとポイントについて、YMG林会計の藤原さんにお願いしました。

クリニックの開業準備 第2回
借入れのポイント

クリニックの開業準備 第2回

借入れのポイント

開業しようと思った時に、まず問題になるのが資金調達の手立てではないでしょうか。 先生の夢を実現させるための、一番はじめのハードルかもしれません。

資金調達の方法は二つです。
 1. 自己資金
 2. 借入資金

通常は、自己資金と借入資金を組み合わせる先生がほとんどです。 なかには、自己資金で開業できるだけの預金をお持ちの先生もいらっしゃいますが、自己資金は開業後の不測の事態のための「保険」としてプールしておいていただくことも必要です。

そのため、今回は借入資金であるドクターローンについて、具体的な流れとポイントをご紹介したいと思います。


■ 予備審査

まずは、開業場所が決定後、前回のテーマにも取り上げた「事業計画」を作成し、借入れする金額を決定いたします。 ここから、銀行の本店に借入れに関する予備審査を依頼します。 銀行はひとつに絞られる必要はありません。 多様な銀行へ審査を申し込み、より良い条件を掲示してきた銀行を最終的に選んでください。

予備審査に必要な資料は、下記の3点です。

  1. 履歴書
  2. 事業計画書
  3. 既存の借入れ明細(住宅ローンなど)

予備審査は、1週間から10日程で結論が出ます。 ここで審査を通過しますと、次に具体的な借入れ申込書の作成となります。


■ 借入れ申込書の作成

実際に融資を受けるのは開業場所に近い支店となりますが、この段階では、融資を受ける銀行の支店、もしくは支店を管轄するブロックの店舗に出向いていただき、融資申込書の作成を行います。

この際に必要な資料は、下記の6点です。

  1. 運転免許などの身分証明書
  2. 医師免許証の写し
  3. 自己資金を証明する預金通帳などの写し
  4. 実印と印鑑証明(3カ月以内)
  5. 投資用の不動産所得などがある場合には、収支の明細がわかる確定申告書と、納税証明書が必要となります
  6. 設備資金の明細となる見積書や発注契約書の写し

■ 返済方法

借入れする資金の内容は、通常、設備資金と運転資金の2本立てになります。 設備資金の返済は通常10年まで、運転資金の返済は7年までの期間を選択できます。

ここで大切なことは、1年目の元金返済を据え置きにすることです。 開業初年度は、利息だけの返済にされた方がリスク回避となると思います。


■ 金利

金利は固定と変動のどちらでも選択できます。 変動の方が金利は安くなりますが、平成28年2月よりマイナス金利が導入されております。 どちらを選ばれるかは、その時の状況によりご判断ください。

ここから融資の最終審査に入ります。 最終審査を通過されますと、いよいよ借入れの契約書を締結することになります。


■ 借入れ契約書の締結

再度、支店に出向いて借入れの契約を実施しますが、契約に伴って改めて重要事項についての説明があります。 重要事項の具体例は下記のとおりです。

  1. ローン取扱手数料と、契約書に必要な印紙代金の支払いが必要であること
  2. 借入期間中は、毎年確定申告の提出義務があること
  3. 医院を法人化する場合には、事前に申し入れが必要であること
    借入金の内、設備資金は法人に引継ぎ、運転資金は一括返済となる場合があります
  4. 借入れに際して、団体生命保険への加入が必要となり、保険料は金利に含まれること
  5. 変動金利の場合、毎年4月1日と10月1日の2回、レートの変動に応じて、金利の見直しが行われること
  6. 融資を実施する支店に預金口座を開設し、診療報酬の振り込みをその口座に行うこと
  7. 設備資金に関しては、支払いの都度領収証の写しを提出すること
  8. 開設届けの写しを提出すること
  9. 開業後半年位してから、融資担当者が状況の確認に行くこと

以上のような手順で、融資が実行されます。

ちなみに、融資の振り込みを受けるために口座を開設すると同時に、ネットバンクの手続きを申し込んでいただくと、開業後のご多忙な時に便利です。 その際、振り込みの上限金額はなるべく限度額を上げておかれた方が事業用としては使い勝手が良いと思います。

m3コンシェルジュ 宮地 孝郎

いかがでしたでしょうか?

これがドクターローンの手順です。 何となくイメージをつかんでいただけましたでしょうか?

実際の資金調達時には会計事務所が全面的にバックアップいたしますが、事前に流れをつかんでいただくとスムーズかと思います。


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