開業後間もない先生や、10年以上経過しているベテランの先生まで、「なぜ、どこで目標がブレ始めたのだろうか?」といった素朴な疑問を口にすることが多くあると感じています。 医院経営を安定するためには、患者への満足度向上が不可欠だと考えています。 そのためには、院内環境をよくすることですが、先生とスタッフとの間に少しのズレや溝があると、診療を始めとする医院経営を円滑に進めることができません。 そこで、計画(Plan)→ 実行(Do)→ 点検・評価(Check)→ 改善・行動(Action)のプロセスを繰り返し行っていくことで、医療サービスの質の維持・向上が可能となり、継続的な業務改善を実現し、自院の目標達成が可能となります。 また、このPDCAサイクルを表などにすることで、いわゆる「見える化」にて、常に意識を持ち接遇やスタッフ同士の人間関係も良くなると考えられています。 実行(Do)は、先生とスタッフがする行動であり、点検・評価(Check)は先生を含めスタッフ全員で行う会議や委員会で協議され、そして改善・行動(Action)に繋がります。 このPDCAの中で、計画(Plan)を考えるのに、テーマに沿った「税理士」「社労士」「接遇コンサルタント」などのプロフェッショナルが必要だと思っています。 では、科目別にみた計画(Plan)とはどのようなものでしょうか。
■ 内科
特徴: 全診療科数の半数を占め、全医師数の約30%が従事 ⇒ 競合医院が多い。 医業収益の向上と増患対策の一例
- ホームドクターとして地域に親しまれ、信頼される医療機関を目指す
- 病院や他の診療所、介護施設などとの連携強化
- 診療時間帯の利便性を図ることや休診日の見直し
- デイケアやリハビリなど高齢者の生活を支える取り組みや、増加傾向にある在宅医療への参入
- 専門クリニックとして、内視鏡検査や生活習慣病などの専門性を一層高める
■ 整形外科
特徴: 筋骨格系の疾病は加齢により増加、患者1人当たり医業収益が低い傾向にある。 医業収益の向上と増患対策の一例
- 高齢者の患者割合が圧倒的に高い診療科のため、高齢者の立場に立った患者接遇の訓練・教育
- リハビリへの積極的な取り組み
- 入所・居宅施設との連携 ⇒ 介護福祉施設やケアハウスには、慢性疼痛を訴える患者が多いため、訪問リハビリを実施
■ 眼科
特徴: 眼科系疾患のうち白内障が約70%弱を占める。 高齢者は遠方での治療を好まない傾向にあるため、診療圏が狭い。 医業収益の向上と増患対策の一例
- 他の診療所から紹介を受けられる体制を構築
- 最新の検査設備を整え、検査能力を向上することで、患者への負担が軽減される
- 外来オペ体制を充実させるため、オペ設備・スタッフレベルの向上
ただし、上記2つ(2、3)は、必ず投資回収期間を試算し計画性を持って実行。
■ 耳鼻咽喉科
特徴: 診療所の数が少ないため、診療圏が広い傾向がある。 高齢化で補聴器の相談に乗る機会増大。 医業収益の向上と増患対策の一例
- 専門診療(アレルギー・花粉症等)に特化
- 診療時間帯(夜、休日)を工夫
- 予約システム(ホームページ予約等)を導入し、待ち時間を短縮
- 補聴器販売店と連携
■ 皮膚科
特徴: 女性医師を中心に新規開業が増加。 保険診療では、アトピー・アレルギーなどの慢性疾患、自費診療では、美容を目的とした女性患者が多い傾向。 医業収益の向上と増患対策の一例
- 人口が非常に多い地域ではアトピー・アレルギー・脱毛症等の専門診療に特化
- プライバシーを重視した診察室の設置や清潔管理の徹底
- ケミカルピーリング・レーザー脱毛等、美容関係のウェイト向上
- メイクアップ指導への取り組み
ほんの一例ですが、科目別にみるとこのようになります。 開業をされる先生は、開業候補地が決まると診療圏調査を必ず実施します。 その結果の見込み来院患者数に満足・安心するだけでなく、診療圏内の競合医院を下見する、もしくはホームページなどで下調べしてください。 既存医院では、PDCAサイクルを活用し医院経営を向上させているはずです。 後発である新規開業医院が、既存医院より設備や接遇が劣っていてはならないと考えます。 次回は、開業医に必要な「保障と補償」についてお伝えします。
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