■ 相続大増税時代から家族を守る!ドクターの相続対策
平成27年に相続税法が改正され、基礎控除や最高税率の見直しが行われ、基礎控除の額が引き下げられたことにより、今までは相続税とは無縁だった方々も、相続税を考慮しなくてはならない時代となりました。
国税庁相続税のしくみ https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/aramashi
/pdf/02.pdf
また、昨年は民法も改正され、相続を取り巻く環境は大きく変わってきています。
法務省民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律等の概要について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00236.html
このような状況下、このところ先生方から、相続に関するご相談がとても増えています。 ご勤務の先生、ご開業の先生など、置かれている状況によりご相談内容は多岐にわたりますが。相続のご相談の種類を大きく分けてみると
- 相続税の問題
- 相続財産の分割の問題
の二つにまとめることができます。
■ 1.相続税の問題
相続税の問題はさらに相続税額の問題と、相続税の納税資金の問題に分かれます。
税額の計算方法についての詳細は省略しますが、日本の相続税は被相続人の財産をすべて合算(課税価格の合計額)し基礎控除を引いたうえ(課税遺産総額)で、法定相続分で按分して相続税額を算出し、実際に相続した財産の割合で按分して相続人が納税するしくみになっています。
相続財産を合算する際にその財産をそれぞれ(不動産・医療法人の持分・有価証券など)相続税法により評価を行います。 保険金や退職金は非課税枠がありますし、不動産はその所在地はもちろんのこと、その状況(自己の居住・賃貸・事業用地など)によっても大きく評価が変わります。
ご自身の財産の評価について漠然と不安を抱えてご相談に見えるドクターが多いのですが、「相続税評価をしてみると思ったより評価額が低くて安心した」、という方と、「思っていた額の数倍に評価され、唖然とされる」方と、双方おられます。 相続税評価を行うことは慣れている税理士にとってはすごく負担なことではありませんので、まずは顧問税理士などに概算評価を依頼してみることをお勧めします。
その評価額や納税予想額を確認し、準備が不要であれば問題ありませんが、何らかの準備が必要ということであれば時間が必要です。 また、その準備に生命保険の活用などを考えるのであれば一定の年齢を超えると準備が難しくなりますので、50歳代60歳代など、相続を考慮するには早いと思われる年齢での確認も必要です。
■ 2.相続財産の分割の問題
国税庁の統計によると、平成28年度の「相続税納税者の相続財産」のうち、現金預金等の構成比は31.2%となっており、このことも相続財産の分割を行う際に大きな問題が起きる一因とされています。
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017
/sozoku_shinkoku/index.htm
また、裁判所の統計でも家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件数が平成12年度には8,889件だったところが平成29年度には12,166件まで増えています。 様々なメディアやセミナーで相続分割の問題が取り上げられているのにもかかわらず、相続財産の分割の問題は増え続けています。
ドクターの相続財産の分割も一般の相続と大きく変わることは無いのですが、診療所や病院を経営されている先生方には独特の問題をお持ちの方がおられます。 診療所や病院を経営されている先生方の相続財産のうち「医業に関わる資産」の構成率がとても高い場合があります。
「医業に関わる資産」には持分のある医療法人の持分や、診療所や病院の建物や土地、医療機器など多岐にわたり、必然的に「医業に関わる資産」が大きくなる傾向にあります。
相続で分割の問題が起きたとしても不動産や有価証券であれば売却しての分割も可能ですが、「医業に関わる資産」は簡単に売却もできず、また売却してしまうと医業の継続は難しく、さらに、相続しようとする場合、特定の場合を除いて相続人に医師免許が必須となります。
これらのことから診療所や病医院経営をされている先生方の場合、相続財産の分割の際に「医業に関わる資産」が大きな問題になることが多いのです。
また、「医業に関わる資産」は複数の相続人が相続することになると、経営に関わる問題も出ますので、一般的には相続人のうちの医師である一名が相続することになります。 「医業に関わる資産」の構成比が高く高額であり、一人で相続するとなると、他の相続人との不公平が生じることになります。
この他にも相続人毎にかかった教育費の額に大きな差があることなど、ドクター独特の問題もあります。 このようなケースで、相続する財産の不公平を解消するために、相続する財産の額が低い相続人を受取人にした生命保険に加入する先生方がおられますが、実はここで加入する生命保険の契約形態によっては相続財産の分割をさらに難しいものにしてしまう可能性があることに注意が必要です。
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