皆さま、こんにちは。 税理士法人エイアール税理士事務所の原です。 クリニックの経営に役立つデータについてよくご質問を頂きます。 その時、必ず毎月、レセコンから出力されるデータを時系列管理してくださいとお伝えしております。 レセコンには、クリニックの経営に役立つデータが眠っています。 実患者数・延患者数の合計値を時系列で見れば、患者数の推移がはっきりとわかります。 また、「診察(指導・在宅)」「投薬」「検査」「リハビリ」など、各診療行為別の単価の推移と診療行為別の点数構成比率を確認すれば自院の診療スタイルがはっきりと認識できます。 これらのデータは、経営状況を客観的に把握する為の重要な指標となり、弊社ではクリニック経営の改善策を検討する上で、レセコンデータの分析は不可欠であると考えております。 下記にレセコンデータを見る上でのポイントをまとめさせて頂きました。
ポイント1. 実患者数と延患者数の推移を確認
レセコンから入手できる経営データの中で第1にチェックすべき項目は、実患者数(レセプト枚数)と延患者数(診療実日数)の推移です。 仮に患者数が減少傾向にあれば、実患者数と延患者数の推移を確認し、どちらの数値が減っているのかがわかれば、原因も想定しやすくなります。 この両者(実患者数と延患者数)のデータを同じグラフ上に表示すれば、相関関係もつかみやすくなります。
ポイント2. 実患者数減であれば診療圏調査を
実患者数の減少は、通常、初診患者の減少あるいは、リピート患者の減少のいずれかを示していると考えられます。 減少幅が顕著なのであれば、地域別のレセプト枚数の推移を確認頂きたいと思います。 例えば、新しいクリニックができれば、多少の影響は致し方ありませんが、特定エリア内で長期間通院していた患者が来院しなくなったら要注意です。 仮にそうした例が目立つようであれば、将来的にもその地域の患者を奪われてしまう可能性が高いと考え、卸の営業マンや診療圏内に住んでいる知り合い等を通じて競合施設に関する情報を入手し、患者減少を防ぐ為の対策を検討頂くことをお勧めしています。
ポイント3. 診療単価が低いようであれば過少請求の恐れも
レセプトと診療行為別の1枚当たりの診療単価については、提供している診療内容により同じ診療科目でも異なります。 ただし、同診療科目の平均的な数値より著しく低いのであれば、指導料や各種の加算など、過少請求の可能性もありますので、レセプトを綿密にチェックする必要があります。 指導料に関しては初診の翌月から算定できるものがほとんどですが初診時に算定できる指導料もあることを把握しておいて頂きたいと思います。 例えば、ウイルス疾患指導料については初診時に算定できないと思い込まれている院長、レセプト業務に従事するスタッフが多いですが、初診でも算定可能です。 定期的に自院で算定している指導料がどのような内容で自院が算定要件を満たしているか検証頂きたいと思います。 なお、患者負担が増えることを避ける為、指導料等の点数をあえて算定しないケースも多く見られます。 一概には言えませんが、診療時に十分な指導や説明を行い患者満足度の向上をさせる診療の提供ができれば自己負担増加に対する患者の不満もおさえられるのではないでしょうか。 指導料は医師としての技術料であり、必要な診療行為であるのなら、適正に算定して頂きたいと思います。
ポイント4. 一般的な平均診療実日数と比較する
平均診療実日数は、診療科目によって大きく異なります。 大まかには、整形外科は4日程度というのが普通であるし、内科は通常2日弱です。 自院の数値が一般的な数値データに比べて低いまま推移している場合にも、その理由を解明する為の検討を頂きたいと思います。 併せて保険別の患者割合や初診患者の比率を確認することで患者に合わせた診療時間帯の見直しを検討することができると思います。
ポイント5. 診療行為別の点数構成比率を確認
平均点数を見る際には、点数に占める各診療行為の比率もチェックし、一般的な比率と大きく異なるのであればその理由を考えて頂くことをお勧めします。自院の診療スタイルがよりはっきりと浮かび上がってくると思います。 これまで紹介したようなレセコンデータの分析は、クリニックではまだあまり行われていないのが現実です。 ぜひ、レセコンデータを上記のポイントで管理頂きクリニックの経営に役立てて頂きたいと思います。
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