皆さま、こんにちは。 TOMA税理士法人ヘルスケア事業部です。 確定申告時期となりました。 今回は、ドクターのための確定申告トピックをご紹介いたします。 ドクターが陥りやすい失敗や最近の事例で注意しなければならない税金のお話をさせていただきます。
■ アルバイトの収入 ありますか?
ドクターの確定申告で、まずは、注意しなければならないのが、そもそも確定申告が必要かどうかということです。 勤務先の病院がひとつだけで、年収が2,000万円を超えない場合などでは基本的に確定申告の必要はありません。 しかし、多くのドクターがメインの病院勤務のほかに、当直アルバイトなど複数の病院や診療所でアルバイトをされています。 その場合はすべての所得を合計して、確定申告をする必要があります。
■ 【チェックポイント その1】 アルバイトを多数しているとき
確定申告は毎年3月15日までに行いますが、そこで、第1のチェックポイントです。 まずは、図表1をご覧ください。 ↑ 図をクリックすると、別画面に拡大画像を表示! この表は、勤務している病院から発行される源泉徴収票で、所得としては給与所得に該当します。 この源泉徴収票は、直接手渡されるか、年末から年明けにかけてご自宅に送られてきます。 この源泉徴収票は、アルバイトが多い方だと、十数枚にも及ぶ場合もありますので、漏れのないよう、そして、紛失のないよう、確認と保存をお願いします。 そうしないと、申告漏れとなってしまう可能性もありますし、逆に、確定申告することで、所得税の還付になるケースもあります。 今は国税庁のホームページから、簡単に確定申告書を作成することができます。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/index.htm
■ 【チェックポイント その2】 それって、給与?
次に、ドクターご自身は、給与だと思っていても、実際には、給与ではないケースがあります。 図表2をご覧ください。 ↑ 図をクリックすると、別画面に拡大画像を表示! これは、源泉徴収票ではなく、「支払調書」といわれる用紙で、給与ではなく、確定申告上は「雑所得」として、計上することになります。 内容は製薬会社から支払われる研究会での講師料や、専門誌などに寄稿したときに支払われる原稿料が該当します。 たとえば研究会で症例の報告をしたときや、新聞などに一般消費者に向けて治療Q&Aを掲載した場合などに謝礼を受け取ることがあるかと思います。 謝礼だから申告しなくても良いと勘違いして、そのままポケットに入れて申告をしないと申告漏れとなってしまいます。 年に何回もあるものではないため、現金で受け取ってそのまま忘れてしまうケースもあるようですので、要注意です。 ただし、2箇所以上から給与の支払いを受けている人で、メインの病院からの給与以外の給与収入とこの原稿料などの「雑所得」の合計額が20万円以下であれば確定申告は必要ありません。(細かい規定はありますので、このあたりの判断は、専門家にお尋ねください。)
■ 【チェックポイント その3】 「雑所得」なら、必要経費の計上がOK!
原稿料や講演料などの副収入による「雑所得」については、必要経費の計上が認められます。 これが、給与所得と最も違う点の一つです。 給与所得の場合、給与所得控除というものがもともとあるため、実際に支払った経費を給与収入から引くということはできません。 しかし、雑所得の場合は、その収入を得るために直接要した費用、業務上の費用を経費として申告することができます。 たとえば、原稿を執筆するために購入した文房具や医学書、研究会での講演を行うために支出した講演会場と自宅の往復交通費などが該当します。 また、実際支払っていなくてもその年の12月31日までに債務が確定していればよいので、未払いでも計上が可能です。 必要経費にするためには領収書の保存をきちんとしておき、 電車賃など、領収書がないものについては、メモ書き(日付、どこからどこへ、金額、どのような目的か)を残すくせをつけます。 ただし、生計を一にする奥様や親族に支払うものは必要経費とはなりません。 生計を一にするご家族へ給与の支払いも残念ながら必要経費にはなりませんのでご注意ください。
■ 【チェックポイント その4】 「金」の売却 税務調査を強化しています!要注意!
国税庁発表によると、全国で平成25事務年度において、金地金等(金、白金地金、金貨、白金貨)の売却による譲渡利益の申告漏れ件数が、前事務年度と比較して、なんと、1.76倍に増加したそうです。 これは、譲渡所得調査等で明らかになったことで、1件あたりの申告漏れ額は、502万円という高額でした。 皆様の中にも、金やプラチナを売却して、儲かったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。 金地金等を売却して、利益がでたときは原則として、総合課税の譲渡所得として、税務申告が必要となります。 金地金等を売却し、利益がでていたとしても、税理士へ報告するのを失念したり、そもそも申告するという意識がなかったりするケースがあります。 弊社に先日ご相談にいらしたドクターも申告が必要だとは思っていなかったようでした。 しかし、1回の取引金額が200万円を超える場合、その買取り業者は、内容を記載した「支払調書」を税務署に提出しなければならないことになっています。 したがって、売却の情報について税務署は把握していますので、きちんと申告が必要です。 後から申告漏れを指摘されると延滞税や加算税の対象になることがありますので、注意が必要となります。 国税庁は、申告漏れのケースが増えていることを把握していますので、税務調査を強化する方向です。 このほかにも確定申告で注意すべき点は多岐にわたりますし、判断には注意が必要です。 不明点や不安がある場合は最寄の税務署や税理士などの専門家にご相談されることをお勧めします。
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