皆さま、こんにちは。 TOMA税理士法人ヘルスケア事業部です。 今回は続・クリニック開業時の「しまった」事例の第3回「開業医の所得控除」について お伝えします。 開業後は事業から生じる所得がありますので、必ず確定申告をすることになります。 そこで、今回は確定申告における税額計算の中から、年末調整でもなじみのある所得控除について、間違えやすい点をピックアップしてお伝えいたします。 ご存知のとおり、事業に係る所得税は下記の算式により計算します。 事業所得 - 所得控除 = 課税所得 課税所得 × 税率 = 所得税額 課税所得を少なくする所得控除が大きいほど、支払う所得税額は少なくなりますので、所得控除を漏れなく計上することが節税への近道となります。 所得控除は扶養控除など人に関するものと、医療費控除など物(支払い)に関するものを併せて14種類ありますが、今回は代表的な所得控除をいくつかご紹介します。
1. 社会保険料控除
国民年金や健康保険などの支払った社会保険料を控除できる制度です。 場合により、家族の社会保険料を支払った場合にもその額を控除できる可能性があります。 また、過去の未納分を支払った場合にはその支払った年にまとめて控除することもできます。
2. 医療費控除
支払った医療費が足切控除額(※)以上である場合に、その超える金額を控除することができる制度です。 (最高控除額200万円) ※足切限度額10万円か所得金額合計の5%のいずれか小さい方 ただし、受け取った入院給付金や高額療養費、出産育児一時金などは控除しなければなりません。 また、健康診断費用や予防・健康増進のための健康食品や栄養ドリンク代など医療費として認められないものは対象となりません。 病院に支払った医療費のみならず、通常の経路で通る電車・バス代、および症状などから見て使わざるを得なかったタクシー代なども控除できます。 ただし、特別理由のないタクシー代やグリーン車代などは対象になりません。
3. 小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済や個人型の確定拠出年金などの支払った掛金を全額控除できる制度です。 小規模企業共済とは「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」が運営する小規模企業の経営者向けの退職金制度になります。 小規模企業共済の掛金は、月額千円から最大7万円までの間で設定できるため、資金繰りの状況などに応じて設定することが可能です。 また、1年以内の前納した金額は全額支払った年に控除を受けることができます。
4. 寄附金控除
国や地方公共団体、認定NPO法人などに寄附した場合に、寄附した金額から2千円の足切額を超える部分の金額を控除することができる制度です。 ※寄附の金額は所得合計の40%を限度 寄附金控除の対象となる寄附の中には、認定NPO法人に対する寄附など所得控除に代えて、税額控除を受けることができるものもあります。 以上、お伝えしましたように所得控除には様々なものがあります。 多くの先生方が確定申告には慣れていません。 本来控除できる支出が申告漏れとなり、「しまった」とならないよう、事前に専門家に相談されることをお勧めいたします。
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