株式会社ドクター総合支援センター代表の近藤です。 2020年初頭から感染が拡大し始めた新型コロナウイルスの影響でクリニックの経営はこれまで以上に厳しさを増しているようです。 しかし、全てのクリニックが厳しいわけではありません。 患者数が増えているクリニック、減っているクリニックの二極化が進んでいるのです。
では、なぜ二極化が進んでいるのか、それは患者さんの意識が変わったからだと感じています。
「感染のリスクがあるクリニックにはできるだけ行きたくない。 どうしても行かなければならないのなら、少しでも良い治療をしてくれるクリニック、早く治してくれるクリニックで診て欲しい。 そんなクリニックであれば少々遠くても構わない。」
このように考えてクリニックを探し受診する患者さんが増えたのではないでしょうか。 現代はインターネットを通じてクリニックの情報や口コミが簡単に得られますので、以前と比べクリニックの選別がしやすくなりました。
このことに気づきしっかり対応しながら開院したクリニックであれば、コロナ禍中であっても多くの患者さんに受診していただいています。 私のクライアントでも2020年の4月頃に開院したクリニックでは開院直後は患者さんがほとんど来院しませんでした。
このクリニックは諦めず、「患者さんが必要としている情報、役に立つ情報をしっかり発信し、発信した約束をきちんと守り、受診した患者さんにしっかりとした治療、対応をして自院の価値を感じていただく」というような地道な努力を積み重ねることで、今では多くの患者さんに選ばれ、継続受診や良い口コミ、紹介につながっています。
その結果、十分な売上・利益が得られ院長先生、クリニックとも良い状態になってきています。 このような好循環を作ることがこれからのクリニック経営には欠かせないことです。 このクリニックでは具体的な開院物件を決める前の早い段階からリアルな情報を元に詳細な開院事業計画を作りました。 具体的な計画を作るには以下のようなことを考えなければなりません。
自院をどんなクリニックにしたいのか、どんな治療をして、どんな患者さんに来ていただきたいのか、そのためにはどれぐらいの広さが必要でどのような医療機器がいるのか、どの職種のスタッフが何人必要でどのような人を採用したいのか、設備投資額はいくらで借入金、月々の返済額や経費はいくらになるのか、自分の生活費を賄うためには1日何人の患者さんを診なければならないのか・・・。
詳細な事業計画を作ると、いろいろなことが分かってきます。 もしかするとこの計画では経営が継続できないという結果になるかもしれません。 そんな時には、どうすれば経営が成り立つのかを繰り返し考えればいいのです。
開院前に経営のシミュレーションを何度も行います。 そうすることで先生に経営者意識が芽生え、自院の役割や対象となる患者さん、設備投資や集患対策、スタッフ採用やマネジメントなどについて今まで以上に深く考えることができるようになります。
開院する前にこのようなことをじっくりと考えて行動しているクリニックと、そうでないクリニックでは開院後の経営に大きな差がつくことは明らかです。 クリニック経営冬の時代とも言える今後は、できるだけリアルな事業計画を作り考えうる万全の体制を整えて開院に臨むことが大切です。 |