こんにちは。 「TOMA税理士法人」、「TOMA医療コンサルタンツグループ」の西條 玲子です。 6回目は、クリニックの開業前から重要な担い手であり人生のパートナーでもある「奥様の関わり方」について、どのようなことに留意したら良いか、ご紹介したいと思います。
■ 事例 その1
開業目前のA医院。 Aドクターの奥様a夫人は、Aドクターがまだ勤務医であることもあり、開業準備について全面的にバックアップをしていました。 特に看護師等の資格もなかったa夫人は、開業に関して右も左もわかりませんでしたが、夫のためになればと自分なりに一生懸命奔走しました。 日中の銀行との話し合い、コンサルタントとの打ち合わせ、日程調整、スタッフの面談同席やスタッフ接遇対応など、Aドクターが動けない分を自分がフォローしようと努力し、やっと開業までたどり着きました。 その後、a夫人は看護師ではないので、いわゆる「事務長」としてそのまま開業後も医院で働いています。
■ 事例 その2
開業目前のBクリニック。 Bドクターと奥様b夫人との出会いは、職場でした。 b夫人は看護師で、同じ病棟で勤務していました。 Bドクターよりも先に退職していた夫人は、日中勤務で動けないBドクターの代わりとなって、開業準備にあたりました。 一緒に働いていた期間も長かったこともあり、Bドクターの右腕となってテキパキと準備をこなし、ほどなく開業することができました。 その後、b夫人は看護師としてそのまま開業後もクリニックで働いています。
■ 事例 その3
開業目前のC診療所。 Cドクターと奥様c夫人との出会いは、知人の紹介でした。 c夫人は有名女子大卒業後は就職することもなく、いわゆるお嬢様教育を受けてこられた方です。 経理やお金のことなどは全く関知せずに育ってきましたが、夫の一助になればと会計や財務について学び、開業に関するお金まわりの面をサポートしました。 c夫人の実家にも融資に協力してもらうことができ、無事開業にいたりました。 その後、c夫人は開業後も経理まわりや税理士とのやり取りに努め、診療所には顔を出さないスタンスで自宅においてCドクターのサポートをしています。
■ さて、ソレダメ失敗事例はいったい何番でしょうか?
結論は、どれもが成功事例でもありますし、ソレダメ失敗事例でもあります。 ただし、ソレダメ失敗事例のケースとしてトラブルが散見されるのは、事例 その1の「事務長」としてクリニックでスタッフと顔を合わせていくケースだといえます。 クリニックはとても小さな職場であり、女性が多い職場でもあります。 開業当初でいえば多くは院長先生 1名、看護師などの有資格者 1~2名、事務職員 1~3名ほどではないでしょうか。 つまり、男性 1名、女性 1~5名ほど、という小さな組織の中で、女性に配慮が必要な職場ということになります。 そこに加えて、看護師などの有資格者は自身に対してプライドもありますので、特に奥様が有資格者ではなくクリニックにおいて勤務する場合には対応に気をつけねばなりません。 ときには、看護師と奥様との折り合いがつかず、職員全員が看護師側についてしまい全員一斉に退職してしまうという一大事を経験したクリニックの数は少なくないはずです。 しかし、開業当初は少しでも開業資金を少なくし、人件費を抑えたいものです。 それでは、どのように「奥様の関わり方」をもてば、良いのでしょうか?
■ 奥様を大きく2つのタイプに分けて、考えてみます
1. リーダータイプ このタイプの方は看護師との衝突の可能性はありますが、経営力はあるかもしれません。 経理財務担当として、クリニックには顔を出さないほうが穏便にすみそうです。 ただし、奥様が看護師などの有資格者の場合は、クリニックの現場で女性陣をとりまとめる役割を担える可能性もあると思います。 2. フォロアータイプ 女性職員と奥様のもめごとは「1. リーダータイプ」よりは少ないかと思いますが、現場をまとめる院長先生の人材把握、管理力が重要になってくるでしょう。
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