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m3コンシェルジュ 内田 弘

リスクマネジメント・ラボラトリー

内田 弘

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの内田 弘です。

開業への道」では、開業を迎えるまでに、多くの選択の岐路に立たれたドクターが、どの道を歩まれ成功されたのか、また失敗されたのかをシリーズでお伝えしています。

今回は開業を検討しているドクターの多くが関わりをもつ「開業コンサルタント」の選び方を取り上げます。 勤務医として仕事をしながら、開業の準備を一人で行うことは、現実的に難しく、コンサルタントに頼らざるを得ないのも事実です。

執筆は病医院の経営支援に特化した部署を設けて25年以上の実績をもち、開業された先生方を強力にサポートしているTOMA税理士法人、TOMA医療コンサルタンツグループの西條 玲子税理士にお願いしました。

それでは、どうぞ。

開業への道 第4回
「コンサルタント選び」について
 

開業への道 第4回

「コンサルタント選び」について

こんにちは。 「TOMA税理士法人」、「TOMA医療コンサルタンツグループ」の西條 玲子です。

4回目の今回は、クリニックの開業時に、関わりをもつ場合が多い開業コンサルタントについて、どういう視点で捉えていたらよいか、紹介したいと思います。


■ ソレダメ失敗事例 『開業への道』1回目から3回目まで

これまでお伝えしてきたソレダメ失敗事例の共通項を探してみます。

まず、1回目の「診療理念、開業目的について」でのソレダメ事例は、「勤務医より開業医の方が、同じ時間働くなら手元にもっとキャッシュが残るはず」と考えていたドクターのお話です。 よく顔を出してくれていた医薬品卸の開業支援チームの担当者から医療モールの物件情報を聞き、すぐに決断をしたという内容でした。

開業後は追加融資を受ける必要があることやスタッフが辞めてしまったこと、さらには、想定していた以上に患者さんが来院しないという事態が発生しました。 これは、自分の診療理念や開業目的がはっきりしないまま開業したことが原因の失敗事例です。

2回目の「承継か、新規開業かについて」では、実家のクリニックの承継を先延ばしにしていたことにより、継ぐタイミングが遅れてしまった事例です。 継ぐ時点ではすでに財務状況が悪化していましたが、この財務内容をドクターにご理解いただき、打開策を共に考える人材がいなかったことがソレダメ事例となってしまった要因だと言えます。

3回目の「事業計画と融資について」では、自己資金ゼロの出発で融資関係の事業計画をコンサルタントにお任せにしてしまった事例です。 ドクターは、数字はプロに任せるものだと思っていて、軌道に乗るまで相当の時間がかかった典型例です。


■ コンサルタントにお任せ

これら3つの事例の共通点は、「自ら主体的に動くのではなくコンサルタントに任せきりになってしまったこと」が挙げられます。 コンサルタントはあくまでもサポートであり、ドクターの思いを形にするためのお手伝いという位置づけと認識するとよいでしょう。 いわゆるサポーター、アドバイザーです。


■ コンサルタントの種類

開業コンサルタントと言っても、その種類はさまざまです。 以下、大まかな種類を列挙します。

  1. 医薬品卸や医療機器、ドクター開業に力をいれている銀行・建築会社・住宅メーカーなどの開業チームによるコンサルタント
  2. 税理士・行政書士などの医業を得意とする士業系のコンサルタント
  3. 医業開業コンサルタントでも比較的大きい会社によるコンサルタント
  4. 数名、もしくは1名、2名体制によるコンサルタント

また、料金体系についても差があります。 無料の場合もあれば数百万円の場合もありますし、細かく料金体系が決まっている場合もあります。

開業を考える時、安定期に入るまでには多くのステップが必要です。 たとえば、理念の策定、事業計画、診療圏調査、場所選定、資金調達、集患戦略、採用、スタッフ教育、設計、医療機器・・・などがあり、長い時間とコストがかかります。

これらのことを無料や低価格で受注するコンサルタントは、ボランティアでは経営が成り立ちませんから、別の形で収入を得ることになります。 たとえば、税理士であれば開業後の税務顧問契約であったり、医薬品卸であれば自社から医薬品を購入してもらったり、または、業者を紹介することでバックマージンを受け取る、などがあります。

それでは、どのようなコンサルタントを選べばよいのでしょうか? 大規模なコンサルタント会社であれば会社に情報や開業案件が多く入ってきますからその組織にノウハウはたまりますが、もしかしたら、担当は若手の社員かもしれません。 個人のコンサルタントであれば属人的にノウハウがたまりますが、そもそもの業界動向や物件などの情報が少なく保障がない場合もあるかもしれません。

それぞれのコンサルタントの特性を理解して、必要なコンサルタントを選ぶことが必要です。

m3コンシェルジュ 内田 弘

いかがでしたでしょうか?

いずれのコンサルタントに依頼をする場合でも、「自身が主体的に動く、考える」というポイントが重要です。 ソレダメの3つの失敗事例を参考に、コンサルタント任せにしないということをぜひ念頭においてください。

コンサルタントはサポーターであり、アドバイザーであると認識して、開業準備をなさってみてはいかがでしょうか。

次回は、「スタッフの引き抜き注意点」に焦点を当てていきますので、次回も楽しみにお待ちください。

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