m3QOL君m3.com QOL君 メルマガ

m3コンシェルジュ 高橋 和宏

リスクマネジメント・ラボラトリー

高橋 和宏

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの高橋 和宏です。

日本の財政は大丈夫なのか?

単純なようで深い意味のあるこの問いかけに対して、以前からさまざまな議論が交わされています。

今回は財政のお話について触れていきたいと思います。

自分の身を守る投資 第16回
日本の財政について

自分の身を守る投資 第16回

日本の財政について

■ 日本の財政状況のおさらい

日本の国債残高は平成28年度末に約838兆円、その他の債務と合わせると合計約1,200兆円となっており、今後さらにこの金額が加速度的に増加すると見込まれています。 国の経済規模を示す指標であるGDPと比べると、GDPに対する債務残高の合計の比率は約232%となっており、アメリカの約111%や、ギリシャの約200%と比較しても突出した数字となっています。

債務残高の国債比較(対GDP比)

財務省ホームページ 債務残高の国債比較(対GDP比)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary
/condition/007.htm


この金額は「国民ひとりあたり○○万円の借金がある」というような形式で毎年のように報道されています。 あくまで国債残高は「政府の借金」であり、「国民の借金」ではないためこの報道のされ方には非常に違和感を覚えますが、日本で暮らしていて、公共設備や社会保障を受けている以上、全く無関係とはいかないのも現実です。

今後も、国債残高の増加や日本の高齢化はほぼ確実な状況となってしまっていますが、日本の財政の将来については「日本は破綻しない派」と「日本は破綻してしまう派」と対極的な見解が存在します。

■ 日本は破綻しない派の意見

  • 日本の国債は円建てで発行されており、95%は国内投資家が保有している
  • 日本は国債発行による「借金」があるが、その反面、資産を保有しているうえに、外国への「貸付金」もある。 借金よりも多い貸付金があるのに、破綻するわけがない
  • いざとなれば円紙幣を発行すれば良い
  • 日銀が保有している国債は返済義務があるというのは経済学的に間違っており、将来的に借り換えをしていけば実質的に借金としてカウントしなくても良い

財務省ホームページ 平成26年度「国の財務書類」のポイント 資料より
http://www.mof.go.jp/budget/report
/public_finance_fact_sheet /fy2014/national
/hy2014_point.pdf

■ 日本は破綻する派の意見

  • 現在約1,200兆円の国債残高は毎年約24兆円増加しており、これは日本の個人金融資産である1,600兆円を近い将来越えてしまう
  • 政府が保有する資産も大半は換金性の乏しい資産であり、国債の返済に充てることは実質的に不可能
  • 新たに紙幣を発行して財政を支えるという行為自体が財政破綻と同義である
  • 国債消化が正常に行われなくなってしまうと国債の暴落が起こり、金利が跳ねあがる
  • 日本の通貨の信頼が失われてしまい、為替の大暴落(=大幅な円安)が起こる

財務省ホームページ 日本の財政関係資料(平成28年4月)より
http://www.mof.go.jp/budget
/fiscal_condition/ related_data
/201604_01.pdf

■ どちらの意見が正しいのか?

日本の財政が将来的に大丈夫であるともダメであるとも結論付けることはできません。 ただ破綻しない派の意見も「債務残高は増えるが問題ない」という見識であり、「債務残高が減っていく」という見込みは持っていないことがうかがえます。

現政権もさまざまな対策によって、景気浮揚による税収増加、インフレに誘導して実質債務残高を減少させようとするなど財政への対策を急務としています。

どんなことでもそうですが、備えあれば憂いなしの気持ちを持っておくことが大切なのではないでしょうか。

m3コンシェルジュ 高橋 和宏

いかがでしたでしょうか?

世界中を揺るがせたギリシャにあっても、全国民がいきなり路頭に迷い衣食住に困ってしまうような事態にはなっていないのが現実です。

しかしながら、豊かな生活ができる人数や生活水準が徐々に下がってしまっていることもまた現実です。

もしもの事態があった場合に備えて、自己防衛策を考えておくことが賢明かも知れません。


 ⇒ 資産運用の相談はこちら

※ この内容は、メールマガジン配信日の情報に基づいています。