■ 2022年は金利上昇の1年
米国は今年3月のFOMCの会合で政策金利(FFレート)を0.25%引き上げたことを機に、5回連続利上げを行いました。 年初に0.00%~0.25%だった政策金利は、現在3.75%~4.00%まで上昇しています。 (下記図参照)
米国で発表される景気に関する指標は依然として強く、利上げしてもなかなかインフレを抑えられていないのが現状です。 一般的に金利が上昇していく局面では債券投資にとっては逆風です。 債券を保有したまま市場の金利が上がってくると保有債券の価格は下落します。
実際、昨年12月には1.5%台だった米長期金利(10年債利回り)も10月半ばから14年ぶりに4%を超える水準となり注目が集まっています。 (下記参照)
■ 金利上昇時の債券投資のメリット
- 高利回りのインカムゲイン(利子)を受け取れる
例えば米国債で4%台の金利が得られるようになってきたことで、一時期は投資先としての魅力がほとんどないと考えられた債券投資の魅力が増してきています。
- キャピタルゲインを得られる可能性がある
以前のように長期金利が1%を下回る水準では、金利の低下余地(債券価格の上昇余地)は限られているが、これが4%を超えるまで上昇してくると、十分な金利低下期待(債券価格の上昇期待)が持てるようになってきました。
■ 金利上昇時の債券投資のデメリット
- 債券価格が下落し、元本の欠損が生じる可能性がある
今後も大幅な金利上昇が続いた場合、債券価格がさらに下落する可能性があります。
- 途中売却すると期待していたリターンを得られないことがある
時価で売却することになり、元本の欠損、利子を受け取れない等、予定していた成果が得られない可能性があります。
■ 債券投資のリスク
- 価格変動リスク
途中で売却する場合、売却価格が当初の購入価格から下がっている可能性がある。
- 信用リスク
購入した債券の発行体が破たんする可能性がある。
- 為替変動リスク
換金時に為替レートの変動により為替差損が生じる可能性がある。
- カントリーリスク
発行体の所在する国・地域の政治・経済環境により価格変動等が発生する可能性がある。
■ まとめ
昨年までは米国の株式が大幅な値上がりをしており人気が集中していたこと、税制優遇のあるiDeCoやNISAの対象外であること、そもそも低金利で投資先として魅力が欠けていたことなどを理由に投資の選択肢ではなかったと考えられます。
債券のリスクに対応するためには、金利の動きや債券の格付けを確認することなどが有効です。 また、途中売却せず、償還まで保有できる余裕資金で投資すること、一度ドルにしたらドルのまま保有することで債券のリスクとうまく付き合うことができます。
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