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リスクマネジメント・ラボラトリー
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皆さま、こんにちは。m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの高橋 和宏です。 個人の年金作りの制度としてメリットが大きい確定拠出年金。 今回は、このたび改正が行われた内容の確認とともに、現在の年金制度が置かれている状況について整理してみたいと思います。
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自分の身を守る投資 第13回 「確定拠出年金改正法成立!」 その背景は? |
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自分の身を守る投資 第13回
「確定拠出年金改正法成立!」 その背景は?
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■ 確定拠出年金のメリットの確認
確定拠出年金とは2001年10月から始まった制度で、個人の私的年金を確保する目的で作られました。米国の確定拠出年金制度に倣った制度であり、米国の内国歳入法401条K項をもとにしているため、(日本版)401kと呼ばれたり、Defined Contribution Planの頭文字をとってDCと呼ばれたりしています。 自身の所得のうち、定められた一定の上限額までを確定拠出年金で積み立てを行い、積み立てた資金を運用し、最終的に運用成果を自身の年金として受け取れるしくみとなっています。 単純な老後資金の積み立てや資産運用とは違い、以下の大きなメリットがあります。
- 積み立てのために拠出した金額が全額所得控除となる
- 運用によって利益が出た場合、利益は非課税となる
- 受取時に退職所得控除または公的年金等控除を活用できる
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■ 今回の改正のポイント
2016年5月24日、「確定拠出年金等の一部を改正する法律」が成立しました。 これまでの確定拠出年金は自営業者、もしくは勤務先に企業型確定拠出年金がない会社員のみが対象でした。 しかし今回の改正では加入対象者が大幅に拡大し、今まで加入資格がなかった人達も加入できるようになりました。
新しく加入資格がある人
- 公務員
- 専業主婦(主夫)
- 勤務先に企業年金がある会社員
もしご自身がまだ加入されていない、あるいはご家族に新しく加入資格を持たれた方がいらっしゃったら、この機会にご検討されると良いかと思います。
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■ 今回の制度変更の背景
確定拠出年金は私的年金の話ですが、今回の制度改正は公的年金の現状が大きく影響していると考えられます。 よく公的年金では「現役世代○人で年金受給者1人を支えている」という表現が用いられます。 この○に入る数字が2009年では2.6人、2030年には1.7人程度であると推測されています。 (日本年金機構 公的年金制度の役割 http://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/yakuwari/20120614.html) 「2人で1人を支えるなんて、かなり大変だな。」と思われるのですが、この表現には注意しなければならないことがあります。 それはこの「2人で1人」という表現はあくまで65歳以上の人口を分子、20歳から64歳までの人口を分母として計算されている人口比を表したものであり、金銭面において2人で1人を支えているという意味ではありません。 現在の公的年金は賦課方式と言い、現役世代が払った保険料を、今の高齢者が受け取るという方法を採用しています。 「2人で1人」という表現をそのまま受け取ると2人分の保険料で1人分の年金が支払われていると感じてしまいますが、実はそうではありません。 実際には現役世代から集める保険料に国庫負担と呼ばれる国が税金で負担している金額を加えて、年金が支払われるようになっているのです。 国民年金に限って言えば年金支払額に対する国庫負担の割合は50%となっています。 つまり現役世代が負担している保険料では半分程度しか賄えていないため、不足分を国が税金で補填し、ようやく今の年金制度が成り立っているという状況なのです。 (日本年金機構 保険料負担のしくみ http://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/hokenryo-futan/20140710.html) 日本の年金の将来は危ないと思われている方は非常に多いのですが、具体的にどの程度危ないのかという認識と、しっかりとした対策をされている方は案外多くないと思われます。 きびしい状況ですが、目を背けずに現実を見る必要がありそうですね。
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