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m3コンシェルジュ 米田 弘司

リスクマネジメント・ラボラトリー

米田 弘司

先日、ある勤務医の先生よりご相談を受けました。 『家を買いたいと思うけど、住宅ローン組んでも大丈夫かな?』

ご相談に来られた先生は、30代でご結婚され、2人のお子様がいらっしゃり、現在は賃貸マンションで生活されています。 医師であれば住宅ローンを組むのは、一般の方よりも容易です。 ただし、先生は3年後に開業を考えていらっしゃいます。

そこで今回は、『知って得する 開業前のお金の話(全3回)』シリーズ 第1回『その住宅ローン! 借入れ診査で悪影響です』について、税理士法人森田事務所(神戸)の森田税理士にインタビューしてまいりました。

税理士法人森田事務所は、400件以上の医療機関の顧問税理士として日々活躍され、新規開業はもちろん、事業継承など多くの実績と経験があります。 実情を踏まえながら、わかりやすくお話を伺いました。

知って得する 開業前のお金の話 第1回
その住宅ローン! 借入れ審査で悪影響です

知って得する 開業前のお金の話 第1回

その住宅ローン! 借入れ審査で悪影響です


■ 住宅ローンで開業資金の借入れが不利に!?

【米田】
開業を考えていらっしゃる先生が住宅ローンを組むことについて、どのように考えますか?

【森田税理士】
開業を成功させることを優先するのであれば、家を買うこと、住宅ローンを組むことはおすすめできません。 理由は、開業資金の借入れで不利になるからです。 とりわけ好ましくないケースだと借入れできないということも何度かありました。 クリニックの開業には、設備投資や当面の運転資金など数千万円~数億円の多額の資金を要すため、金融機関からの借入れが必要になります。

【米田】
借入れができないケースだと、開業もできないということですね。 それでは、どのようなことに気をつければ良いでしょうか?

【森田税理士】
まず開業を目指すにあたり、「現金は減らさないこと」が原則です。 家を購入すると一般的には頭金を入れることになります。 また、住宅ローンを組むということは、「借金をつくる」ということです。

【米田】
つまり住宅ローンを組むということは、持っている現金が減り、借入金が増えるということですね。 住宅ローンを組むことによって、借入れに悪影響がでるのであれば、やはり、開業前に自宅を買うべきではないですね。

 

■ 既に住宅ローンを組んでいる場合は?

【米田】
しかし、開業を検討されている先生が、既に住宅ローンを組まれている場合、どのようにすれば良いのでしょうか?

【森田税理士】
少しでも返済を済ませることと手元にお金を残しておくことです。 金融機関の借入れ審査判断基準の1つは、借入金の総額です。 自宅はご自身の財産だと考える方もいらっしゃるかも知れませんが、住宅ローンの返済が残っている状況では、金融機関にとっては単なる負債でしかないのが現実です。

【米田】
既に住宅ローンを組まれている先生も開業資金の借入れをするためには、

  • 住宅ローンなどの借入金をできるだけ少なくしておくこと
  • 手元にできるだけ多くのお金を用意しておくこと

が必要ということですね。 クリニックの経営に成功すれば、開業前に考えていたよりも、さらに素敵な家を買えますしね。

【森田税理士】
そのとおりです。 開業が成功すれば、通常5年~10年以内には返済することができるでしょう。 今まで開業をお手伝いさせていただいた先生の中で、開業されて5年程で立派なご自宅を買われた先生も多くいらっしゃいます。 人生で一番の大きな買い物は、成功してからでも遅くはありません。

ただし、開業したからといって必ずうまくいくかどうかは難しいのが現在の実情です。 だからこそ、開業前には十分な計画が大切です。

m3コンシェルジュ 米田 弘司

いかがでしたでしょうか?

開業後の成功まで考えた計画と準備が重要であり、情報を事前に知っておくことにより、余計なリスクを排除することができるということですね。

ただし、借入金については、上記以外にも『借入金は、どれくらいが適正なのか?』『固定金利と変動金利どちらが良いのか?』など様々なことを考え、一つ一つ決断していかなければいけません。

決断するのは先生方ご自身ですが、それを先生方ご自身で正確に判断するための物差しを、中立な立場かつ必要なタイミングで的確なアドバイスをしてくれる、森田税理士のような医業に詳しい税理士などの専門家選びも重要ではないでしょうか。

次回は、『知って得する 開業前のお金の話(全3回)』シリーズ 第2回、『利益を早く出す! 低コスト開業のコツについてお届けします。

⇒ 税理士法人森田事務所へのご相談はこちら