皆さま、こんにちは。 TOMA税理士法人ヘルスケア事業部です。 給与所得者には給与所得控除という給与所得者としての概算の経費が認められており、過去には上限がありませんでしたが、現在では下表のように上限が設定され、所得の多い方々にとっては実質増税となりました。 これに対して特定支出控除は給与等の収入金額から経費を実額で差し引く制度で平成24年の税制改正により、平成25年分の所得税から見直されました。
A.特定支出控除額について
給与所得者の特定支出額の合計額が、その年中の給与所得控除額×1/2の金額を超えるとき(下表参照)は確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができます。 出典元: 国税庁のホームページ https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku /1415.htm
B.特定支出の種類と内容
特定支出控除の対象となる費用は以下の通りです。
- 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
- 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
- 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
- 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
- 平成25年分以後は、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も特定支出の対象となります。
- 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
- 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)
- 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
- 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
- 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)
※ いずれも給与の支払者が証明したものに限られます
ただし、給与の支払者から補填される部分があり、かつ、その補填される部分に所得税が課税されていないときは、その補填される部分は特定支出から除かれます。
C.実際の適用件数
もともと、この特定支出控除制度は昭和62年の税制改正で設けられましたが、給与所得控除額を上回ることがほとんどないことなどから、毎年10件程度の件数しかありませんでした。 (平成22年 第8回税制調査会資料より) http://www.cao.go.jp/zei-cho/history/ 2009-2012/gijiroku/zeicho/2010/__icsFiles/ afieldfile/2010/11/24/22zen8kai3-1.pdf ところが、平成24年に6人であった特定支出控除の適用者は、平成26年には適用者が約2,000人と大きく増えています。(主な内訳は資格取得者が約700人、研修費が約690人、通勤費が約680人。) 特定支出控除の適用者は改正前に比べずいぶん数が増えたようにみえますが、給与所得者の総数からするとまだまだ利用者は少ないのが現状です。 対象の皆さまにはぜひ有効に活用いただきたいものです。
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