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成功へ導く開業準備
院外処方と院内処方どちらを選択
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【米田】 『クリニック開業塾 大阪 2018 冬』の内容を主にお聞きします。 前回は、損益分岐点についてお聞きしました。 経費には固定費と変動費があること。 固定費を下げれば、利益を出す医院への近道とお聞きしました。 今回は、薬局についてお聞きします。 近年、病院は門前に、クリニックは併設もしくは隣の薬局へと院外処方へ加速しています。 この院外処方、院内処方の選択はどちらがよいでしょうか。
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【河村 税理士】 医薬分業は昭和31年から本格的にスタートしています。 医師の指示した薬に対して、薬剤師がチェックすることで、患者の安全性を一層高めることが目的なのはご存じだと思います。 実際、開業医側からみても、院外処方の方が、利益が出しやすい構造となっています。
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【米田】 それは、固定費の負担が少ないからですか?
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【河村 税理士】 その通りです。 院内処方の場合は薬を管理する薬剤師やそのためのスタッフの賃金や薬を購入する費用、そして容器代など必然的にかかる費用が発生しますからね。 できるだけ身軽にし、1日でも早い安定を目指すのであれば、院外処方も1つの決断です。 また、近年では、薬価改定が行われるたびに引き下げられ、院内処方のメリットが見いだせなくなってきているのも無視できません。
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【米田】 薬価差益ですね。
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【河村 税理士】 その通りです。 以前は薬を安く仕入れ、患者支払いの薬価との差額は無視できないほどの大切なクリニックの収入源になっていました。 また、都市部を中心にクリニックの坪数が少なくなってきていることから、院内処方に対応できるスペース確保が難しい現実もあります。 そして、消費税の問題も無視できません。 薬や容器や処方箋袋を購入する際にはすべて消費税を支払わなければなりません。 本来は、次の購入者へその消費税を付加して支払ってもらう構図になっているのですが、医療だけは患者に転嫁できないようになっている問題が、消費税増税ごとに議論されています。
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【米田】 開業する先生にとっては、院外処方がベストだと思って間違いないでしょうか。
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【河村 税理士】 実は、そうばかりとも言えません。 患者側からみた場合、利便性を感じるのは院内処方に軍配が上がってしまいます。 体調が悪いうえに、処方箋でも待たされる。 しかも処方箋料が院内と比較して高額になっていることなどを考えると、患者からの支持は院内処方に軍配が上がります。
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【米田】 では、どうすればよいのでしょうか。
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【河村 税理士】 まず、開業する立地と先生の専門科目でどのような年齢層をターゲットとするか。 例えば、高齢の方が多くて、お一人で来られることが想定されるのであれば、院内処方も視野に入れるべきです。 まず、院外か院内かを考えてみてはいかがでしょうか。 あえて、院内処方を選択することで、他院との差別化が図れ、思わぬプラスの作用が働くかもしれません。 しかし、どうしても院外処方でされるのであれば、先生の診療方針にあった薬剤師がいる薬局を選択すべきだと思います。 先生の処方されたお薬に対して、違う考え方が患者の目の前で展開されると信用力低下につながります。
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【米田】 薬局を選ぶ際には、コンサルタントなどの紹介だけでなく、先生自ら担当の薬剤師と面談し、方針や考え方が合っているか確認すべきだと思います。 先生とスタッフそして薬局の連携が上手に作用し、集患に努めていただければと思います。 また、高齢化が加速する今後は、かかりつけ薬局の存在も忘れてはなりません。 そのため、薬局も大切なパートナーだということを肝に銘じておく必要性を感じました。 河村税理士、ありがとうございました。
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