■ ドル円相場の振り返り
下記の図は今年に入ってからのドル円の動きです。 為替変動には様々な要因が複雑に絡み合っていますが、現在アメリカの中央銀行にあたるFRBは物価上昇抑制のために政策金利を引き上げています。(10月11日現在3.25%今年3回利上げ)
10年国債等長期金利も上昇しており、日米の金利差が拡大しているのが円安の主な要因です。
今度は少し長い過去20年間のドル円の動きをみていきます。
過去の動きをみると現在と為替水準は違いますが、2012年から2015年まで約3年間で1ドル75円から125円となり、現在と同じように急ピッチで円安が進行しました。 為替の動きにはスピード感があること、今後も円安が進行していく可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
■ 円高円安による影響
為替の動きで経済や資産にどのような影響があるのでしょうか。 関心を持ち、経験することは非常に重要です。
筆者作成
一般的にドルを保有して円高に振れると、為替差損を被るということばかりにフォーカスしがちですが、もう一方で輸入品の価格が円高になって安くなります。 ドルを保有することで為替リスクをヘッジすることになります。
将来、メリットとデメリットが相殺されるように手当てすることになります。 今の資産価値を守るためにも円とドルの資産分散が効果的です。
■ 円安時によくある投資行動
保有しているドルを一旦円にして為替差益を取りたい
資金を使う予定がある場合や、もともと為替差益を取るという目的である場合を除いては、ドルのまま保有することをお勧めします。 この先さらに円安が進行した場合、一旦円に換金してしまうと、ドルを再度購入することは難しいと考えられます。 また、繰り返し売買することで手数料や税金がかかり案外資産は増えません。
今より円高水準になるまで、ドル購入を控える
さらなる円安が進行した場合、円のみの保有であればリスクヘッジすることができません。 為替の未来を予測し、購入するタイミングを計るよりは、一定金額を決めて、購入時期を分散する、ドルコスト平均法を活用して資産の一部をドルへシフトしていくことをお勧めいたします。
■ 為替の動きに翻弄されない投資行動とは
ドル資産を保有した目的を明確にする
現在多くのドルに関連する金融商品があります。 長期にわたる資産形成は短期の為替差益を狙う投機ではありません。 インフレ対策、老後資金の準備、利子収入を得るため等、ドル資産を保有した目的を明確にし、為替差益を得ることへ目的がすり替わらないよう注意が必要です。
アドバイザーに相談
今後為替がどのような動きをするのか、現在のようなネット社会ではまず、インターネットで検索し、情報を取りに行くのが一般的です。 しかし、為替の動きや情報は逐一変化していきます。
また発信する人の考えや予測であり、受け取る側の状況は全く把握していません。 鵜呑みにするのは大変危険です。 このような時こそ、知識、経験が豊富なアドバイザーの活用をお勧めいたします。
資産状況や家族構成、ライフプラン等を共有している、アドバイザーと相談しながら目的に合った取引をしていくことで失敗を防ぎ、安心に繋がります。
■ ドルを保有し続けるメリット
例えば資産の半分がドルであるという状態になると、為替の動きに一喜一憂することがなくなり、ストレスが軽減できます。 また、円もしくはドルでの支払い選択の自由が生まれ、資産を守るリスクヘッジとなります。 |