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コンシェルジュ 佐久間 洋

リスクマネジメント・ラボラトリー

佐久間 洋

皆さま、こんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている佐久間 洋です。

先生方は「お金のこと」「ライフプランのこと」など、医療以外の周辺知識についても様々なことで悩まれています。 特に開業されてからは「クリニックの経営のこと」、「税金のこと」、「職員のこと」など、そのお悩みは多岐にわたります。

今回、我々がコンサルティングの現場で先生方から「開業前にこの情報を知っていたらこんなに悩まなかったのに」とよく言われる内容について、6回に分けてコラムとセミナーでお伝えしていきます。

今年度のセミナーは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況も鑑みてWEBセミナーとすることになりました。 今までより遠方の先生方にもご参加いただけると楽しみにしております。

コラム5回目は、「クリニック経営と医療法人」について、セミナーで講師を担当する当社コンサルタントの新井常夫に聞きました。

株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーで医業経営コンサルタントの活動もしている新井 常夫です。 開業をお考えの先生方の中には、「医療法人なんて、まだまだ、先の話」と思っている方もいるかもしれません。

一方では、「医療法人を承継しませんか?」「医療法人を買い取りませんか?」と言う話があり、メリットやデメリットがわからず迷っておられる先生もおられることと思います。

今回は医療法人について整理して考えていただくことができるよう、「開業前に知っておきたい医療法人のポイント」についてお伝えします

【開業前に知っておきたいクリニックの作り方】
その5 「クリニック経営と医療法人」

【開業前に知っておきたいクリニックの作り方】

その5 「クリニック経営と医療法人」

■ いろいろな種類の医療法人

医療法人には、大きく分けて「財団」「社団」とあり、その中にも多くの医療法人がありますが、今回は、いわゆる「ひとり医師の社団医療法人」について、お話しします。

「ひとり医師の社団医療法人」にもいくつか種類があります。

  1. 「出資持ち分のない基金拠出型医療法人」
  2. 「出資持ち分のある経過措置型医療法人」
  3. 「経過措置型医療法人から基金拠出型医療法人へ変更するための認定医療法人」

などが代表的です。

この3つのうち現在、新規設立できるのは、「基金拠出型医療法人」のみです。

 

■ 経過措置型医療法人

経過措置型医療法人は、平成19年3月まで設立申請ができた従来の医療法人で、設立の際の出資金が、退社の際に、出資割合に応じて払い戻し請求ができる医療法人です。 出資の考え方は一般の株式会社に似た仕組みで、出資は財産価値(投資価値)を持つことになります。

例えば、1,000万円を出資して医療法人を設立、退任の際に医療法人が所有する純資産が1億円であった場合に、1億円を払い戻してもらえる仕組みです。 (純資産の額は税法上のルールに基づき決算書から計算します)

ただし、「退社時の払戻額の限度を出資額の範囲」と定款で定めた経過措置型医療法人も存在します。

 

■ 基金拠出型医療法人

基金拠出型医療法人は、医療法人設立の際に出資したお金は基金となり、定款に定めた期間を経過し、なおかつ、払い戻せる状態であれば、退職しなくとも出資した金額と同じ金額が払い戻しできる医療法人です。

つまり、医療法人に利息の付かない、お金を貸したのと同じで、どんなに医療法人が成長して財産が増えても、返ってくる金額に変わりはありません。

経過措置型医療法人と異なり、出資金額を超える財産価値にならないので、相続対策に適していると言われています。 例えば基金を払い戻した後に、医療法人の財産評価額が10億円あったとしても、医療法人に関わる相続財産価値はないものと評価されます。

 

■ 認定医療法人

経過措置型医療法人から基金拠出型医療法人に移行した場合は経過措置型医療法人の財産価値を基金拠出型医療法人がみなし贈与を受けたとされ贈与税を課税されます。

認定医療法人は、経過措置型医療法人が基金拠出型医療法人に移行する際に、一定の基準を満たし認定を受けた法人を言い、贈与税が非課税となるなど税務上の特例を受けることができます。 ただし、基金拠出型医療法人に移行した後も報告義務や各種制限が求められます。

前述のようにこれらの法人を承継し、理事長になることを検討される際には、それぞれの「医療法人の制度の違い」や、それぞれのメリット・デメリットを十分に検討すべきです。

医療法人の仕組みの詳しくは以前お伝えしたメールマガジン、【開業医の先生からの質問 医療法人化編】をご参照ください。

コンシェルジュ 佐久間 洋

いかがでしたでしょうか?

医療法人と言っても、「どの種類の医療法人なのか、どのような特徴があるのか」を確認する必要があることがわかります。

医療法人については、既に開業されている先輩の先生方に医療法人のことを相談されても詳しい方は少ないと感じています。 かつての情報や誤った情報をそのままお話しされる先生もいらっしゃいます。

9月27日(日)には「クリニック経営と医療法人」についてのセミナーを開催します。 「これから開業し将来医療法人を検討する」「医療法人を承継するか迷っている」という先生方にはぜひ、セミナーにご参加いただき、医療法人の特徴やメリットを整理していただければと思います。

クリニック経営セミナー2020 「開業前に知っておきたいクリニックの作り方
講座5 クリニック経営と医療法人
2020年9月27日( 14:00~16:00

内容

  1. 医療法人化のメリット・デメリット
  2. 後悔しないために知っておきたい医療法人の仕組み
  3. 医療法人の活用で解決できる税務の問題
  4. 医療法人化の不安と疑問を解決する
  5. 医療法人の目的を決め、経営計画とライフプランニングをする

会場: 本シリーズは「ZOOM」利用の遠隔セミナーです。
ご自宅のパソコンやタブレットで参加いただけます。