■ いろいろな種類の医療法人
医療法人には、大きく分けて「財団」「社団」とあり、その中にも多くの医療法人がありますが、今回は、いわゆる「ひとり医師の社団医療法人」について、お話しします。
「ひとり医師の社団医療法人」にもいくつか種類があります。
- 「出資持ち分のない基金拠出型医療法人」
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「出資持ち分のある経過措置型医療法人」
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「経過措置型医療法人から基金拠出型医療法人へ変更するための認定医療法人」
などが代表的です。
この3つのうち現在、新規設立できるのは、「基金拠出型医療法人」のみです。
■ 経過措置型医療法人
経過措置型医療法人は、平成19年3月まで設立申請ができた従来の医療法人で、設立の際の出資金が、退社の際に、出資割合に応じて払い戻し請求ができる医療法人です。 出資の考え方は一般の株式会社に似た仕組みで、出資は財産価値(投資価値)を持つことになります。
例えば、1,000万円を出資して医療法人を設立、退任の際に医療法人が所有する純資産が1億円であった場合に、1億円を払い戻してもらえる仕組みです。 (純資産の額は税法上のルールに基づき決算書から計算します)
ただし、「退社時の払戻額の限度を出資額の範囲」と定款で定めた経過措置型医療法人も存在します。
■ 基金拠出型医療法人
基金拠出型医療法人は、医療法人設立の際に出資したお金は基金となり、定款に定めた期間を経過し、なおかつ、払い戻せる状態であれば、退職しなくとも出資した金額と同じ金額が払い戻しできる医療法人です。
つまり、医療法人に利息の付かない、お金を貸したのと同じで、どんなに医療法人が成長して財産が増えても、返ってくる金額に変わりはありません。
経過措置型医療法人と異なり、出資金額を超える財産価値にならないので、相続対策に適していると言われています。 例えば基金を払い戻した後に、医療法人の財産評価額が10億円あったとしても、医療法人に関わる相続財産価値はないものと評価されます。
■ 認定医療法人
経過措置型医療法人から基金拠出型医療法人に移行した場合は経過措置型医療法人の財産価値を基金拠出型医療法人がみなし贈与を受けたとされ贈与税を課税されます。
認定医療法人は、経過措置型医療法人が基金拠出型医療法人に移行する際に、一定の基準を満たし認定を受けた法人を言い、贈与税が非課税となるなど税務上の特例を受けることができます。 ただし、基金拠出型医療法人に移行した後も報告義務や各種制限が求められます。
前述のようにこれらの法人を承継し、理事長になることを検討される際には、それぞれの「医療法人の制度の違い」や、それぞれのメリット・デメリットを十分に検討すべきです。
医療法人の仕組みの詳しくは以前お伝えしたメールマガジン、【開業医の先生からの質問 医療法人化編】をご参照ください。
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