「学びが受け身(詰込み型)」「理系が弱い」等、他の先進国と比べて後れをとっていると言われている日本の教育状況を打破すべく、文部科学省では新たな学習指導要領を定め、2020年から導入を進めています。 その考え方の中心にあるのが、「アクティブ・ラーニング」と「STEAM教育」、そして「EQ」です。
■ 「アクティブ・ラーニング」
アクティブ・ラーニングとは学びへの能動的な参加を取り入れた授業・学習法の総称で、新学習指導要領により一方向的な受け身の講義形式ではなく、能動的・主体的に学べるようなカリキュラムの導入が始まっています。
そのような中、文部科学省IB教育推進コンソーシアムで進められているのが、アクティブ・ラーニングの象徴とも言える「国際バカロレア教育」の導入推進です。
国際バカロレアとは、多様性・国際的な視野を持ち、グローバル化に対応できるスキルを身に付けた人材の育成を目的としている、国際的な教育システムです。
日本の教育機関(学校等)では、令和3年3月末現在で、延べ130校が認定されています。
国際バカロレア認定校等(令和3年3月30日時点)
- PYP(初等教育プログラム: 3-12歳)
認定校49校 候補校等11校
- MYP(中等教育プログラム: 11-16歳)
認定校24校 候補校等14校
- DP(ディプロマ資格プログラム: 16-19歳)
認定校57校 候補校等12校
DPによって国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を得ることができますが、ここ最近、国内の一部の医学部でも大学入学共通テストの代わりに国際バカロレア資格で受験できる大学が出てきています。
今後は医学部をめざすお子様にとっても、教育プランの選択肢の一つになるかもしれません。
■ 「STEAM教育」と「EQ」
AI(人工知能)社会の到来、さらには2040年前後に迎えると言われている「シンギュラリティ(=AI が人類の知能を超える転換点)」を考えると、これからの教育にはテクノロジーをコントロールしながら人間でなければできないスキルを身に付けていく必要性や、オリジナリティ(個性)の確立が求められます。
そこで近年、各国で重要視されているのが「STEAM教育」です。 「Science」 「Technology」 「Engineering」 「Art」 「Mathematics」の学習を実社会での課題解決に生かしていくために横断的におこなっていく教育のことですが、小学校からの英語やプログラミングの必須化はまさにその流れを汲んでいると言えます。
また、リーダーシップや協調性・非認知スキル等、人間でなければできないことを磨くためにIQだけでなく、「EQ(Emotional Intelligence Quotient) = 心の知能指数」の重要性が増しています。
EQは感情をうまく管理し、利用する能力の高さや人の気持ちに寄り添ったマネジメントができる能力の高さ等を示す指数で、AI社会が進むにつれ今後さらに注視していく必要があります。
■ 医師ご家庭が教育資金のプランニングをおこなう上での課題
教育資金の準備については定期積立・生命保険(学資保険)・積立運用等、どの商品でどのように準備するかということも大事ですが、もっと大事なのは、いつまでにいくら準備するのか、つまり、資金計画を「ゴールベース」で考えることです。
そのためには教育費のシミュレーションが不可欠なのですが、特に私立医学部も視野に入れた場合、実はゴールベースでの教育費シミュレーションは容易ではありません。
なぜかと言いますと学校ごとで学費が大きく(千万単位で)異なるにも関わらず、多くのシミュレーションソフトでは「医学部・歯学部」等と、ひとくくりでの選択肢になってしまっているためです。
ちなみに、各ライフプランシミュレーションソフトの教育費における、医学部の選択肢を確認してみたところ、下記の通りとなっています。
- シミュレーションソフトA
「医学部・歯学部」 (国公立と私立の区分無し)
- シミュレーションソフトB
「国立医科歯科」 「私立医科歯科」
- シミュレーションソフトC
「国公立」 「私立医歯系」 (国公立は他の学部と同じ)
このようなことから、ほとんどのシミュレーションソフトでは特に私立医学部を視野に入れる場合、現実的なシミュレーションはできないのが現状なのです。
今後ライフプランシミュレーションをおこなう際は、もちろん「仮」で構いませんので、将来ご検討の大学・学部まで反映させる(してもらう)ことをお勧めします。 |