■ 死亡時の保障(家族を守る保障)
万が一の際に必要な資金を大別すると、「1.生活費、2. 教育費、3. 住宅費」に分類されます。
1. 生活費
収入から教育費・住宅費・貯蓄費などを引いた残りを生活費とします。 世帯主死亡時の残された家族の生活費は、一般的には現在の生活費のおおよそ70%程度と考えます。
またその保障が「いつまで必要なのか?」ですが、配偶者が死亡するまでの期間を備えられるに越したことはないですが、そうすると相当な保険料負担になってしまいます。
そこで世帯主が仕事で所得を得る期間、例えば会社員であれば65歳あたり、勤務医の場合は70歳あたりに期間を設定し必要保障額を算定するのが、一つの考え方になります。
2. 教育費
世帯主の死亡時に残された家族が教育費のすべてを準備することは容易ではなく、医学部を目指す場合はなおさらです。
生命保険文化センターの調査によると、大学生にかかる教育費は私立医学部であれば自宅通学で約2,563万円、下宿で約2,965万円、高校卒業までの費用(下表参照)を加えると一人の子供が大学を卒業するまでにかかる費用は多大で、家計への影響は相当な額になります。
さらに近年は「高額化」だけでなく、中学受験、小学校・幼稚園のお受験を視野に入れた塾や習い事など、教育費負担増が「前倒し」の傾向にあります。
出典: 公益財団法人生命保険文化センター ライフイベントから見る生活設計
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/index.html
3. 住宅費
住宅の状況により異なりますが、住宅ローンには「団体信用生命保険(団信)」が付帯されていることが多く、加入していれば心配はありません。 しかし団信では、固定資産税や管理費・修繕費などの住宅関連費は考慮されておらず、特に都市部や大型の住宅は住宅関連費が高額になるため注意が必要です。
一方、賃貸住宅にお住まいの場合は毎月の家賃・共益費などを含めます。
以上のことから死亡時の必要保障額を算出し、
- 保有の金融資産
- 遺族基礎年金や遺族厚生年金、その他賃貸収入等の収入分
を差し引いて、生命保険の必要保障額や期間を設定します。
これらを踏まえて必要保障額を時系列で「見える化」するのがライフプラン・シミュレーションソフトで、現在多くのソフトやアプリが存在しますが、どのシステムを使うにしても、その際に重要なポイントが2つあります。
- 今後を考えてインフレを考慮したシミュレーション
- 幼稚園から大学まで、学校ごと・進学コースごとに教育プランのシミュレーションができること
一般社団法人教育プラン診断士協会
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■ 長期就業不能時の保障(自分を守る保障)
死亡保障や医療保障、所得補償の陰に隠れがちですが、実は特にドクターが入る優先順位が高い保険があります。 それは、長期で働けなくなった時に給付金を受け取れる「就業不能保険」や「長期所得補償保険」です。
ドクターとお話していると、「一番困るのは生きていて寝たきりになる状態だよね。」とよく耳にします。 通常大けがや重病などで働けなくなった場合、例えば健康保険加入者は1年6か月は傷病手当金(働いていた時の給与の2/3程度)が受け取れますが、実際に困るのはこの後です。
ご加入の社会保険や加入状況で異なりますが、1級・2級の障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)ではおおよそ月10~20万円のため、決して十分とは言えません。
「就業不能保険」・「長期所得補償保険」は、傷病手当金の給付が終わった後の就労不能時の収入や生活費をカバーする代表的な商品です。
内容は保険会社や各商品で異なります。 例えば就業不能保険は「公的社会保障制度に連動する商品」と「保険会社が独自に設定した給付要件の商品」の2種類があります。
- 公的社会保障制度に連動する商品
障害年金の障害等級や身体障害者手帳、要介護認定等を基準としています。
- 保険会社が給付要件を独自に設定している商品
例えば「60日の入院や在宅療養状態の超過」など各保険会社が設定する給付要件を満たすと給付金を受け取れます。
いずれも支払要件を拡大した商品が出てきつつありますが、公的社会保障制度の連動のみの商品では給付に時間がかかる場合があります。
さらに、介護認定が給付要件の場合、65歳未満では16種類の特定疾病のみが対象になるため、事故による脊髄損傷などの介護状態では介護認定されず、当該商品では対象外になってしまいます。
このように同じ「就業不能保険」でも、給付要件が独自の設定なのか、公的社会保障制度に連動するのか、またはその両方なのか注意が必要です。 |