生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」によると、日本の生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は88.7%と依然先進国の中では高水準の加入率を保っています。
調査対象の世帯平均年収604万円に対し、死亡保険金平均2,255万円、年間保険料平均38.2万円とのデータが公表されています。 併せて世帯主が死亡した際の必要生活資金は5,560万円とあります。 なぜ必要生活資金と死亡保険金の乖離が起きるのでしょうか。
※ 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」
https://www.jili.or.jp/research/report/zenkokujittai.html
■ 必要保障額の求め方
自動車を購入するとほとんどのドライバーは自動車保険(任意保険)に加入します。 それは万が一交通災害の加害者になった場合、自賠責保険(強制保険)では補償が不足しているとの認識が既にできているためです。 また、事故が起きてから賠償額が決定するので、いまでは多くの方が賠償に対する補償額は「無制限」を選択されています。
では生命保険はどうでしょうか。 世帯主の死亡の際、現在の生活水準が維持できれば良いとの認識があります。 これからのライフイベントに関しても予測可能な部分も多いため、生命保険の必要保障額は計算にて求めることができるといわれています。
支出見込み額 - 収入見込み額 = 必要保障額
(残される家族に必要な支出) (あてにできる収入) (不足額)
【支出見込み額】
- 末子独立までの遺族の生活費
現在の年間生活費 × 70% × (末子独立時年齢 - 末子現在の年齢)
- 末子独立後の配偶者の生活費
現在の年間生活費 × 50% × 末子独立時の配偶者の平均余命
- 別途必要資金
・教育費 ・住居費 ・葬儀費 ・相続費用 ・その他予備費など
【収入見込み額】
- 社会保障(遺族年金など)
- 病院からの退職金や弔慰金など
- 自己資産(預貯金、有価証券、売却可能資産など)
- その他収入(配偶者の勤労収入など)
このような計算式から導かれるため、必要生活資金と生命保険にて備えておくべき保障額の乖離が起きるわけです。
注意点は、遺族年金は「厚生年金」と「国民年金」で支給額と支給期間が異なります。 「協会けんぽ」と「医師国保」では傷病手当金に差があり、勤務医から開業医へ転身した場合、労働保険には加入できないため休業補償がまったく担保されていない事態もおこるため、死亡保険と併せて完備されている社会保障に併せて医療保障の補完も考えておく方が良いといわれています。
■ 生命保険見直しポイント
ドクターは所得の高い場合が多く一般的にお子様への教育も熱心だといわれます。 上記計算で導き出された必要保障額が1億円、先生の退職年齢(保険料支払い可能年齢)は65歳とし、非喫煙者で健康と想定して考えます。
(家族構成)先生35歳 配偶者30歳 長男5歳 長女2歳 の4人家族
- 【終身保険】 保険料: 207,200円 総払込保険料: 74,592,000円
払込終了直後の解約返戻金: 85,910,000円(115.1%)
- 【定期保険】 保険料: 17,200円 総払込保険料: 4,128,000円
払込終了直後の解約返戻金: 0円(0%)
- 【養老保険】 保険料: 287,000円 総払込保険料: 10,320,000円
払込終了直後の満期金: 100,000,000円(96.9%)
上記3つの保険の共通点は、死亡保険金は1億円、支払期間は65歳迄の2つです。 この中では皆さん掛け捨ての保険を支払うことに抵抗感があり、貯蓄の要素もある終身保険が人気です。
しかし月々のコストについては無理をして加入されているケースも少なくありません。 前出の生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」によると解約失効までの継続期間は13年0か月、50歳での解約失効経験率は11.7%との結果です。
終身保険は途中解約することなく長期で継続できれば良いのでしょうが、ライフイベントの変化で収入と支出割合が変わり保険料支払いが困難となるケースを散見します。
終身保険と定期保険の差額190,000円を住宅ローンに充て無駄な利息の削減や、iDeCoに加入して所得税住民税の節約に努めるなど、生命保険に頼りすぎず身軽にし、他の金融商品を考慮するなどで資産形成を考えることも重要です。
しかも必要保障額は一般的に毎年減少します。 保障額が1億円一定であり続ける必要がなければ、保障が逓減していく商品もお勧めとなります。
【収入保障保険】
保険料: 5,923円 総払込保険料: 2,132,280円
払込終了直後の解約返戻金: 0円(0%)
例えばこの保険を選択することで、より一層コスト削減が可能となりますので、余裕資金を教育資金や老後資金へシフトする方が、なによりも大きな資金効率改善が図れます。 |