■ 「良い場所」とは
開業を思い立った時には、誰もが「失敗したくない!」、「成功したい!」と考えます。 開業を成功に導く要因はいくつもあります。 良い場所であるかどうか、良い先生とスタッフであるかどうか、居住人口が多いかどうか、競合が少ないかどうか等々です。 その中でも、「良い場所」の定義はさまざまです。 人によっては都市部の駅から近い場所を良い場所と言い、人によっては郊外で駐車場を多く取れる場所を良い場所と言います。 しかしながら、ただ「良い場所」で開業をすれば成功を収めることができるという訳ではありません。 都市部が良いか郊外が良いかが問題なのではなく、それぞれのエリアにおいて、その場所で過ごしている人達の求めている医療が提供できているかどうかが大切なポイントになります。 厚生労働省が行った平成29年受療行動調査において、外来患者さんがその病院を選んだ理由として、第1位は「医師による紹介」でした。 これは病院とクリニックの機能分化を考えれば当然の結果です。 次いで「交通の便が良い」でした。 このことからも、患者さんは行きやすい医療機関を選ぶ傾向にあることが見て取れます。 「交通の便が良い」ということは、
- 生活の動線上にある
- 家から近い
- 駅やバス停から近い
- 駐車場が多い
というような要素を揃えているということです。 この交通の便が良いということと、各々の診療科目における対象患者さんを掛け合わせて考えてみると、自ずとどのような場所が良い場所と言えるのか、イメージがついてきます。
■ 診療科目ごとの「良い場所」
例えば、開業するクリニックが一般内科であれば、対象となる患者さんは高齢者の方が多くなります。 高齢者の方は移動範囲もそれほど広くなく、近くて便利なクリニックを選ぶ傾向があります。 したがって、駅前にこだわらず高齢者の方が多く住んでいる郊外で良いと考えます。 精神科として開業されるのであれば、対象となる患者さんは割とアクティブであり、普通に日常生活を送っている方が対象となることが多くなります。 したがって、通勤通学等で利用若しくは乗り換える駅から近い場所が良い場所と言えます。 白内障手術を行う眼科であれば、その対象は高齢者の方となり、手術後は付き添いの方と一緒に車で帰ることが多くなります。 したがって、車で行きやすく、駐車場がしっかりと取れる場所が良い場所となります。 下肢静脈瘤の専門クリニックであれば、周辺に住んでいる方だけではなく、より広域に患者さんを求めることになりますので、交通アクセスの良い場所(駅前)が適しています。
■ まとめ
開業準備の始まりは物件探しからです。 良い場所を選ぶためには、ご自身の専門性・強みをしっかりと把握し、どのような医療を提供するのかを定めること。 対象となる患者さんの年齢層を割り出し、その患者さんが行きやすい場所がどのような場所なのか理解することが非常に大切になります。 クリニックが行う医療が「地域のニーズに合致すること」、これが開業を成功に導く秘訣となります。
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