■ クリニック内装設計の費用に差が出る大きな要因
「入居する物件によって内装工事費用が大きく変わる」ことをご存じでしょうか。 テナントには大きく分けて「スケルトン」と「事務所仕様」の2通りがあります。 「スケルトン」とは、床・壁・天井がなく、コンクリートや鉄骨などがむき出しになっている状況を指し、当然エアコンなど付いていないケースが多いです。 「事務所仕様」とは、床(塩ビタイルもしくはタイルカーペット)・壁(クロス貼りもしくは塗装仕上げ)・天井等が仕上がっている状態であり、エアコン・換気扇・流し台・トイレなど付いている場合が多いです。 単純に比較をしただけでは、「スケルトン」より「事務所仕様」の方が、内装費用軽減のイメージが強いと思います。 しかし、「事務所仕様」の場合でも、クリニックとして使うにはエアコンや換気設備、排水設備の仕様を大きく変える可能性もあり、施工金額が想定外にかかる場合があります。 また、金額として考慮に入れなければならないものに、下記があります。
- 自動ドアの有無(新規で約80万円)。 風除室を設ける場合は倍額以上。
- 床上げの有無(トイレや流し台のレイアウトの自由度は格段に良くなるが、1平米あたり、約7,000円かかる)。
- 外部や内部にスロープを設ける(手摺りやノンスリップタイルも必要)。
- 重量物(医療機器)設置に伴う床や天井などの補強。
■ 「時期」・「概算見積書」の注意点
物件の契約時期や賃料発生時期、保証金の額などについても当初の予算に組み込んでおかないと想定外に費用がかかります。 賃料発生の時期(契約時、内装工事開始日、開業日)によっては、賃料の3カ月分くらいの差が出ます。 保証金の額や賃料も時期により変動しますので、改めて不動産関係者に金額交渉する価値があると思います。 内装のポイントは、いかに効率よく先生・スタッフ・患者さんの動線を導き出すかです。 医療機器のサイズ・電気容量・LAN配線についても考慮した設計が必要です。 これらを考慮せずに見積もりをすれば当然、安い金額が提示されますが、最初の段階で提示される「概算見積書」の金額を鵜呑みにするのは危険です。 初めに安く金額を提示して、打ち合わせが進み引き返せない段階になってから、何割も金額がアップした正式見積書を提示されたケースをよく耳にします。 そのため、「概算見積書」の段階から、見積書に含まれない対象があるかどうかの確認が重要です。
■ 既製品の活用
コストダウンを図るポイントとして、既製品の活用が効果的です。 特に什器備品を特注すると高くなります。 こだわりがある場合でも待合室はオーダーで作成するが、その他の部屋は既製品の「書庫やラック、棚」を選ぶことで、大幅なコストダウンが実現できます。 什器備品は開業後に経営が安定してから製作を依頼できますし、ドアや流し台なども既製品の活用により、全体のコストを下げられます。
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