m3QOL君m3.com QOL君 メルマガ

コンシェルジュ 塩田 麻希子

リスクマネジメント・ラボラトリー

塩田 麻希子

皆さま、こんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている塩田 麻希子です。

はじめての資産運用」シリーズでは、証券の部署で働くことになった私が投資について勉強するにあたり抱いた疑問を、m3メールマガジンを連載している「先輩社員の高橋」との対話の中で解消していく様子をお伝えしていきます。 (前回の内容はこちら

私と同じように投資や資産運用についてこれから知識を深めたいと思っている先生方の一助になれば幸いです。

まずは登場人物の紹介をします。

高橋高橋
資産運用アドバイザー。 2歳の娘を持つ。 1番の悩みは娘のイヤイヤ期。

塩田塩田
昨年、証券部署に入ってきた。 何事も疑ってかかる性格。 天津飯が好き。


それでは、どうぞ。
【はじめての資産運用 2】
財政検証

【はじめての資産運用 2】

財政検証

■ 悪いシナリオと良いシナリオ

塩田高橋さん、前回話題に上がった財政検証について、詳しく教えてください。

高橋分かりました。

塩田将来の資産形成を考えるにあたって公的年金財政について予測するのならば、最も悪いシナリオ「ケースVI」を基準に考えて備えていくべきだと思うのですが、経済成長と労働参加が進む最も良いシナリオ「ケースI」のデータも考慮する必要があるのでしょうか?

高橋それに関しては、公的年金財政に限らず将来のビジョンは良いシナリオも悪いシナリオも両方描いておかないといけませんし、それがどっちかに偏っていても良くないと思います。

塩田そうなんですね。 悪い状況に備えることが大事だと思っていました。

高橋はい。 悪いシナリオに沿って進んでしまっても私たちは生きていかないといけませんので、もちろん悪い状況を想定するということはすごく重要です。

塩田はい。

高橋政府が検討する悪いシナリオというのは、公的年金財政が足りないということを意味しますので、税金を上げないといけないという話に繋がりかねません。

塩田確かにそうですね。 そうすると、納付ができない人も出てくるんじゃないでしょうか。

高橋そのようなことも考えられます。 国としては、想定される平均値から考えられる範囲で上振れを考えておくというのが生産的な考え方であると思いますし、個人にとっては悪いことが起こっても対応できるように想定しておくべきだという話になると思います。


塩田 なるほど、理解しました。

 

■ 財政検証結果の見方

塩田では、ケースIで経済が進んでいくということは現実的なことなのでしょうか?

ケースIからVIのシミュレーションの元となっているデータに、過去10年間のそれぞれの平均値を重ね合わせてみました。



クリックにより拡大!


※ 運用利回りの「スプレッド〈対賃金〉」は、A - Bのこと。

厚生労働省: 2019(令和元)年財政検証結果-[PDF形式:1,379KB]を元に筆者が過去10年間の平均値の枠を加筆
過去10年間の各平均値の出展と推移のグラフ

これを見ると、運用利回りに関してはケースIに近い様ですが、それ以外のデータはケースVIに近いように思えます。 ケースVIは、今から33年後に国民年金の積立金が枯渇してしまうという最も悪いシナリオだと書かれていました。

高橋その通りです。 でもデータや数字上だけでは見えてこないこともあって、例えば上記の経済前提の1つに物価上昇率が組み込まれていますが、物価の上がる要因は1つではないんです

塩田そうなんですか?

高橋はい。 まずはディマンドプルインフレーションと言って、供給よりも需要が大きいことで起こるインフレーションです。 需要が大きくなるということは、みんながお金を持っている状態を表しますから、良いインフレーションだとされています。

塩田景気が好調して消費の需要が高まるということですね。

高橋例えば、2014年のプチ贅沢ブームがその例です。 少し良いもの・高級なものが売れるという、購買動向に関するワンランク上のニーズがありました。

塩田経済的な余裕が出てきていたということですね。

高橋その通りです。 アベノミクス等の影響で株価が上がって、少しくらいはボーナスも増えたかなといった雰囲気がありました。 社会全体の一部ではありましたが。

塩田はい。

高橋そしてもう1つが、コストプッシュインフレーションというもので、原材料の高騰や販売費及び一般管理費の上昇によって引き起こされるインフレーションです。

塩田なるほど。

高橋原価の上昇に伴って物価は上がりますが、企業に入る収益は変わらないため企業は儲かっていないというわけです。

塩田確かにそうですね。

高橋ディマンドプルインフレーションの方だと、社員の給料等に還元されて経済は良い状態になるかもしれませんが、今起こっているのはコストプッシュインフレーションの方です。

塩田収入が増えても、支出がかさんでしまっているという状況ですね。

高橋はい。 話がそれてしまいましたが、日本銀行は物価上昇率2%を目標に政策に取り組んでおり、今後コストプッシュインフレーションによって物価上昇率は達成してしまうかもしれません。 それ以外では、ケースIの通りに進むことは厳しいのではないかなというのが、主観です。

塩田 なるほど。 将来の予測を立てた財政検証を検証するには、考慮すべき事項が多く内容を読み取るのは難しいですが、過去のデータと比較をすることで今までの数値から今後どんな値になっていくのか検討することができました。

コンシェルジュ 塩田 麻希子

いかがでしたでしょうか?

自分にあった資産運用方法を考える際は、自分の収入や支出の変化などの内的要素だけでなく、世の中の経済情勢といった外的要素も過去のデータ等を参考に加味していく必要があります。

ですが、現状から推測される将来の収入や支出・ライフプランを実現するために必要な収入や支出・万が一のことが起きてしまった際の収入や支出について経済情勢を踏まえて考えるということは大変難しいことです。

株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーでは資産形成におけるコンサルティングを数多く行っております。

資産運用をこれから始めていきたいと考えていらっしゃる先生や現在の資産運用を見直したいと感じておられる先生はぜひ当社コンシェルジュ高橋もしくは塩田をご活用いただければと思います。

お気軽にご相談ください。

   ⇒ ご質問・ご相談はこちら