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m3コンシェルジュ 高橋 睦

リスクマネジメント・ラボラトリー

高橋 睦

スタッフの中には、「年間103万円以内」などの年間給与の枠を決めて働いている方も多いと思われますが、金銭で支給された給与以外にも「現物で支給された給与」として取り扱われる場合があります。

「こんなときどうすればよいですか?」税務編
-第1回
現物支給の給与

「こんなときどうすればよいですか?」税務編
-第1回

現物支給の給与

皆さま、こんにちは。 岡本雄三税理士事務所の税務担当、瀬谷亮太です。 思わぬところで給与と判定され、扶養から外れ、繁忙期に働けなくならないように、税務編-第1回は「現物支給の給与」についてお伝えいたします。

 

■ 事例1 スタッフに食事を提供すると給与になりますか?


当院では、福利厚生の一環として昼食や残業食をスタッフに提供しています。 使用者がスタッフに食事を無償提供した場合には、給与として課税されると聞きましたが、課税されないためには、どのようにすればよいでしょうか?

所得税法では、食事代は個人が獲得した所得の中から支出するべきものと考えられており、使用者から無償または低い価格で食事の提供を受けた場合には、その食事のために支出すべき金銭を支出しないで済んだという経済的利益を受けたことになるため、給与として課税されるべきという考え方があります。

しかし、所得税基本通達では次のいずれにも該当する場合には、給与として課税しなくてもよいことになっています。

  1. 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
  2. 役員や使用人に支給した食事について、使用者が負担した金額が1か月当たり3,500円(税抜)以下であること

ただし、通常の勤務時間外における勤務を行った者に対して支給する残業食は、無償で提供しても給与として課税されません。

また、食事に代えて1回200円などの現金を支給する場合は上記の条件に当てはまったとしても、深夜勤務者に対して支給するなど一定の場合を除き課税されます。

 

■ 事例2 スタッフの慰安旅行は給与になりますか?


当院は、毎年スタッフを連れて慰安旅行に行っております。 今年は10周年を記念して、ハワイ旅行を企画しています。 旅行先が海外の場合は給与として課税されると聞きましたが本当でしょうか?

所得税基本通達では、使用者がスタッフのための慰安旅行の費用を負担した場合には、下記の条件を満たすことで、給与として課税しなくてもよいことになっています。

昨今の海外旅行の実態からみて、海外旅行も一般的になってきており、慰安旅行の目的地が国内であるか国外であるかは問われません。

具体的には、次のいずれの要件も満たすときです。

  1. 旅行の期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること)
  2. 旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること

なお、参加しなかったスタッフに対して、旅行参加に代えて金銭を支払う場合には、その支給を受けた不参加者に対して支給した分は給与として課税されます。

 

■ 事例3 看護師等の資格を取得するための費用を負担した場合は給与になりますか?


当院は、昨今の看護師不足もあり、診療補助のスタッフに准看護師の資格をとらせるため、看護学校に通学させ、授業料を負担すると考えていますが、この費用の負担は、給与として課税されるのでしょうか。

所得税基本通達では、使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、スタッフに職務に直接必要な技術もしくは知識を習得させ、または免許もしくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用、または大学等における聴講費用に充てるものとして支給する費用は、適正なものに限り、給与として課税しなくてよいとされています。

また、通常の給与に加算して学資金として支給した場合は、次に該当するものを除いて、給与として課税されません。

<法人の場合>

  1. 役員の学資に充てるため支給する費用
  2. 役員や使用人と特別の関係がある者(注)の学資に充てるため支給する費用

<個人事業者の場合>

  1. 事業に従事する個人事業者の親族(個人事業者と生計を一にする親族を除きます。)の学資に充てるため支給する費用
  2. 使用人(事業に従事する個人事業者の親族を含みます)と特別の関係がある者
    (注)(個人事業者と生計を一にする親族を除きます)の学資に充てるため支給する費用

 (注) 「特別の関係がある者」とは、次に掲げる者をいいます。

  1. 使用人(法人の役員を含みます。以下同様)の親族
  2. 使用人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の直系血族
  3. 使用人の直系血族と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
  4. 1から3に掲げる者以外の者で、使用人から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者及びその者の直系血族
  5. 1から4に掲げる者以外の者で、使用人の直系血族から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者
m3コンシェルジュ 高橋 睦

いかがでしたでしょうか?

2017年の税制改正で配偶者控除が変わり、2018年より適用される制度が変わります。

150万円までは扶養範囲内となりましたが、夫の会社で配偶者手当のような支給がある 場合、その要件として妻の年収が103万円以内とある場合もありますので、注意が必要 です。

「うっかり・・」が「しまった!」にならないようにしたいものですね。

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