■ スタッフ教育
クリニックの経営にとって、スタッフの教育はとても重要な課題です。 患者さんから評判の良いクリニックの多くは、スタッフ教育を徹底して行っています。 以前にもお話ししましたが、患者さんの来院動機、又は、来院したくない理由は、高い割合で受付スタッフの接遇態度です。
スタッフ教育の行き届いた航空会社やホテル、百貨店、テーマパークなどの良い対応に心地よさを感じ「次回もここを利用しよう!」と思う経験をされた方も多くいらっしゃることでしょう。
逆にその会社のスタッフの対応の悪さに、「もう、ここを利用しない」と思われた経験をされた方もいらっしゃると思います。 実際、私もあるレストランで、料理は美味しいけれども、ホールの給仕スタッフの対応の悪さに利用するのをやめたお店があります。
クリニックに置き換えると院長先生が良い診療をされていても(シェフがどんなに美味しい料理を作っていても)、受付などのスタッフ(ホールの給仕スタッフ)の対応の悪さに行くのをやめてしまう患者さん(お客さん)も多いということです。
残念ながら、クリニックのスタッフに応募してくる方は、接遇マナー研修を受講していない方が多いのが現状です。 スタッフの態度、言動で、クレームに発展し、クリニックの評判を落とし、来院患者数を減らしてしまう場合もあります。
多くの場合、院長先生は診察されていらっしゃるので、スタッフの状況を見ることが出来ませんので、たとえ悪い部分があったとしても、注意することが出来ません。 院長先生が、悪い部分を注意できなければ、悪い状態がそのままクリニックの習慣、常識になってしまいます。
患者さんにとって悪い習慣や患者さんに不都合な常識が横行しているクリニックに通いたい患者さんはいません。 東京、大阪、名古屋などの都市部では、クリニックが乱立している場所も多くあり、患者さんがそのクリニックを離れ、ライバルのクリニックへ行きやすい状況になっています。
今後スタッフ教育は、ますます重要になっていきます。
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■ 接遇マナー研修
スタッフ教育をしようと思うと、最初に思い浮かぶのが接遇マナー研修業者です。
接遇マナー研修業者は様々で、航空会社関連、ホテル関連、百貨店関連、テーマパーク関連、人材採用会社関連、派遣会社関連などの会社を利用される場合や、その企業に勤めていた方が独立起業した業者さんを利用されることも多い様です。
その形態や内容も様々で、各企業の教室で行う通学研修型、クリニックへ講師派遣型などがあり、その中にも座学研修、体験研修、OJT研修、覆面調査があります。 覆面調査とは、研修前や研修後に患者を装って接遇状況を調べるものです。
研修を検討されている院長先生から「どこが良いのか?」とよく質問されますが、それぞれ良い部分が異なりますので、ご自身のクリニックの実態に合っている業者さんを選ぶのが良いでしょう。
「クリニックでの接遇マナー研修を得意としているところに依頼しよう」と思われ、ホームページで「医療機関での研修実績多数」と書かれている業者さんに面会してその業者さんに「医療機関の研修と一般企業の研修はどんな違いがありますか?」と質問すると明確に答えられない場合もあります。
ホームページで「医療機関での研修実績多数」などと書かれていても「病院での研修実績が多数」の場合や「過去に1~2回」で実績多数ということもあります。
接遇マナー研修を検討する場合の問題として、研修する時間の問題があります。 多くのクリニックでは、子育て中のパートスタッフが多く、勤務時間以外は、研修を受講するのが難しいという場合もあります。
研修を実施している多くのクリニックでは、やむを得ず全員が参加できる一日又は、半日を休診にして、研修を行っています。 日程は、クリニックを臨時休診として行う場合もありますが、夏休みと繋げるたり、ゴールデンウイーク、秋のシルバーウイークの合間を休診にして研修を行う場合もあります。
あるクリニックの院長先生から「自分は、勤務医時代の研修費は自腹で払った、給与も貰えなかった。 スタッフ教育のためにクリニックを休診にして、接遇マナー研修費用をクリニックで負担し、その上、給与まで支払うのは、なんとなく納得できない。 スタッフに無給で受講させられないか?」と言われたことがあります。
確かにこの先生がおっしゃる通り、接遇マナー研修でスタッフさんも個人的に得られるものがたくさんあると思います。 もし、同じ様にお考えの先生がいらっしゃったらお考えいただきたいのですが、「接遇マナー研修は誰のため?」ということです。
それは「クリニックに来院される患者さんにクリニックの印象を良くし、クリニックの評判を高めるため」です。 「クリニックの評判が高まる」ことで、一番の利益を得られるのは院長先生ということになります。
つまり、「接遇マナー研修は院長先生のため」ということになります。 「院長先生の利益のためにスタッフさんたちに接遇マナー研修を受講してもらう」とお考えを変えていただければと思います。
話は、戻りますが、業者の接遇マナー研修をたとえ1日スタッフに受けてもらったとしても、残念ながら、その1日でスタッフが大きく変わることはありません。
スタッフさんに業者の接遇マナー研修を受けてもらうだけに終わらず、クリニックとしての接遇マナーを身に付けてもらうためには、以前お話しさせていただいたMissionやVisionも併せて、クリニック内でスタッフ教育を反復する必要があります。
出来れば、院長先生や配偶者の方もスタッフと接遇マナー研修を受講し、朝礼、昼礼、夕礼などの際に一緒に確認するのがお勧めです。
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参考: (過去のメールマガジン)
■ まとめ
- 院長先生がどんなに良い診療をされていても、スタッフの接遇態度で、患者さんが来院しなくなってしまう場合もあります。
- スタッフの接遇態度が問題で、クレームやクリニックの評判を悪くすることになる場合もあります。
- スタッフ接遇マナー研修業者は様々です。 業者選びは慎重にします。
- スタッフ接遇マナー研修だけでは効果は限定的です。 接遇マナー研修効果を出すためには、院長先生や配偶者の方もご一緒に接遇マナー研修を受け、日々クリニック内の朝礼、昼礼、夕礼でも研修の復習と一緒にMissionやVisionの確認をします。
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