医院経営セミナー2019「幸せな老後を迎えるためのクリニックの作り方」でお話をさせていただくことになりました近藤です。 5月にお届けしたメール(メールの内容はこちら)では今、なぜ医業承継を検討することが重要なのかということをお伝えしました。 もし、承継せずに閉院するクリニックが増えてしまえば、地域の住民にとっての社会的な損失、閉院される先生ご自身も経済的、機会的損失などが起きてしまいます。 最近はこのようなことや、医業経営を取り巻く環境が厳しくなっていることに気づかれたからか、被承継者・承継者を問わず、承継を真剣に検討される方が増えているように感じています。 ところが、実際に承継がうまくいった、という話を聞くことは多くありません。
■ 医業承継の現状
「2019年1月8日 日医総研ワーキングペーパー 医業承継の現状と課題」によると、ある民間調査の結果、承継者をすでに決めているクリニックでは承継者の内訳は以下のようになっているとのことです。
- 配偶者
19.6%
- 子供
52.9%
- 親族
15.1%
- 第三者
12.4%
また、自身のリタイアメントプランを検討する医師のうち「後継者がいない、未確定」の医師の約8割が第三者承継を選択肢に入れているとの民間調査結果があり、さらにある仲介事業者によると、20年前に「8.6%」だった第三者承継の割合が、直近では「45.9%」に急伸しているデータも存在するとのことです。 参考資料: 「2019年1月8日 日医総研ワーキングペーパー 医業承継の現状と課題」 http://www.jmari.med.or.jp/download/WP422.pdf
■ 医業承継の課題
医業承継の全体像は明らかになっておらず、これは一部のデータでしかありません。 また仲介業者などの積極的な働きかけによって第三者承継が増えている可能性もあります。 現実に私のクライアント先からも第三者承継についてのご相談は増えています。 相談理由の多くは親子承継の失敗事例を耳にし、親子承継は難しそうだと考えはじめてのことのようです。 たしかに親子承継では親子間のコミュニケーションが取れていないまま、親が自分の考えで勝手に話を進めたり、親子双方が自分の希望のみを主張したり、子の承継の意思をいつまでも確認しなかったりなど、様々な原因で失敗しているケースが山積みです。 では、第三者承継がうまくいっているのかというとそうでもありません。 患者数が減少してから承継の意思を表明しても買い手が現れなかったり、業者のいうまま売買価格を高く設定しすぎたため契約に至らなかったり、承継後の経営方針に多くの口出しをしたため断られたり、承継後の行政への手続がうまくいかなかったり、こちらも様々な原因で失敗しているケースがたくさんあります。 このように承継がうまくいかないことの最大の原因は、被承継者も承継者も正しい情報が不足しているため医業承継についてよく理解できていないということです。 これまで経験したことがなく、学ぶ場もないので理解できないのは当たり前です。 そのため、いつ行動すれば良いのか、何をすれば良いのか、何をしてはいけないのかなどがわからず承継のタイミングを逃したり、失敗したりするケースが続出しています。 事業承継についての基本的な知識や情報を早くから集めていただき、早いうちに未来の承継の準備をしていただくことをお勧めします。
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