何年生きられるかによってどちらが得になるか変わるので、計算をして比較してみます。 30万円 × 12か月 ×n年 > 1億円 n > 27.7年 となるので、28年(65歳 + 28年 = 93歳)以上生きるのであればBの方が得だという計算です。 男性の平均寿命が80歳、女性の平均寿命が87歳ということを加味すれば、多くの人にとっては統計学上の確率論からいえば1億円をもらった方が有利ということになります。 図1 ※ 図1と図2の色はリンクしています。
■ 底がみえてくると不安が出てくる
ところが毎月30万円ずつ使っていくと仮定し、時間の経過とともに資産の変化をみていくと、少し違った考え方が出てきます。 【10年経過した場合】 A: 残り 6,400万円 [3,600万円使用済(=30万円× 12箇月 × 10年)] B: 毎月 30万円 【15年経過した場合】 A: 残り 4,600万円 [5,400万円使用済(=30万円× 12箇月 × 15年)] B: 毎月 30万円 図2 ※ 図1と図2の色はリンクしています。 15年経過して80歳になり、まだまだ元気で暮らしていこうというときにどのような気持ちになるでしょうか? 「65歳の頃と比較するともう半分以上お金を使ってしまった。 これまでと同じペースでお金を使っていてよいのだろうか・・・?」 このようにお考えになるかも知れません。 もちろんまだ4,600万円もの資金を持っていれば普通に暮らしていくには十分な金額だと考えられます。 しかし残りの資金が減ってくるにつれて、段々とお金を使いづらくなってしまうのも事実ではないかと思われます。
■ 退職後はインカムゲイン
人間は現在いくら資産を持っていようとも、将来お金が入ってこない場合や支出増が想定される場合にはお金を使いにくいものです。 逆に現在の保有資産がそれほど多くなかったとしても、将来お金が入ってくる見込みがあるのであれば今あるお金は使っても問題ない、と考えるようにできているようです。 (後者の極端な例はバブル期、前者の例は現在の日本の姿だと考えられます。) 資産運用によってもたらされる定期的な収入(株式の配当金、債券の利金、不動産の賃料収入等)をインカムゲインと呼びますが、将来「気持ちよく使えるお金」を確保するためには、退職後の資産運用はインカムゲインを目的とした内容にするとよいでしょう。 しかし多くのインカムゲインを受け取るためには、当然多くの元手が必要です。 現在のTOPIX※の配当利回りが1.69%、米国10年国債の利回りが2.9%程ですので間を取って2.5%の利回りを期待した場合、毎月受け取れる金額と必要元本は下図の金額が必要です。 ※ TOPIX ・・・ 東証1部上場企業全体の株式を対象とした株価指数 年2.5%の利回りから得られるインカムゲイン 表1 ※ 表1と表2の背景色はリンクしています。
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