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m3コンシェルジュ 米田 弘司

リスクマネジメント・ラボラトリー

米田 弘司

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの米田です。

開業して成功できるのか?

開業すれば必ずしも成功する時代ではない今、クリニックの新規開業を考えている多くの先生はこのような不安を抱えています。 開業するということは、新たに事業を興すということであり、事業を行う以上はできる限り安定した状態を維持しなければなりません。

そのため、まず開業後に目指すことは、損益分岐点をいかに早くクリアしていくかということではないでしょうか。

そこで今回は、『知って得する 開業前のお金の話(全3回)』シリーズ 最終回『いつ? 経営安定期への突入のセオリー』について、税理士法人森田事務所(神戸)の森田税理士にインタビューしてまいりました。

税理士法人森田事務所は、400件以上の医療機関の顧問税理士として日々活躍され、新規開業はもちろん、事業継承など多くの実績と経験があります。 実情を踏まえながら、わかりやすくお話を伺いました。

知って得する 開業前のお金の話 最終回
いつ? 経営安定期への突入のセオリー

知って得する 開業前のお金の話 最終回

いつ? 経営安定期への突入のセオリー

■ 損益分岐点とは?

【米田】
まず、損益分岐点について教えてください。

【森田税理士】
損益分岐点とは、「医業収益 = 費用 (固定費 + 変動費)」の状況を言います。(下表をご覧ください。)

図1

【米田】
つまり、損益分岐点とは、「利益がゼロ」となる点であり、医業収益が損益分岐点よりも左側であれば「損失」、損益分岐点よりも右側であれば「利益」ということですね。

【森田税理士】
その通りです。 また、費用は固定費と変動費の2つに分類できます。
固定費とは、医業収益があってもなくても事業を行っている以上、固定的に発生する費用です。 例えば、人件費や減価償却費、賃借料のほか通常の支払経費などがこれにあたります。
他方で、変動費とは、医業収益に伴い発生する費用で、診療材料などがこれにあたります。

 

■ 損益分岐点を早く越えるためには?

【米田】
それでは、この「損益分岐点をいかに早くクリアするか」ということに関して考えると、
・ 医業収益を増やす
・ 費用(固定費+変動費)を減らす
のどちらか、もしくは同時に実行することになると思いますが、どのようにすれば良いでしょうか?

【森田税理士】
一番簡単かつ効率的なのは、固定費を減らすことです。 理由は2つあります。
1つ目は、開業当初からすぐに医業収益を増やすことは難しいということ。
2つ目は、クリニックの経営は「固定費が大きく、変動費が小さい」という特徴を持っており、変動費を削減できたとしても大きな効果は得られませんが、固定費は金額が大きいだけでなく削減可能な項目が多く大きな効果を得ることができ、結果的に損益分岐点を低くすることができるからです。(下表をご覧ください。)

図2

【米田】
固定費を減らすことができれば、損益分岐点を低くすることができるということがわかりますね。 開業当初の固定費は、開業前に計画した費用になると思います。 開業前であれば、損益分岐点を低く設定した事業計画も重要ということでしょうか。

【森田税理士】
その通りです。
ただし、損益分岐点や事業計画は、診療科目だけでなく、「新規開業なのか事業継承なのか」、「戸建開業なのかテナント開業、モール開業なのか」など、さまざまなケースによって変わります。
だからこそ、開業前には開業後の成功まで考えた準備や計画が大切になります。

m3コンシェルジュ 米田 弘司

いかがでしたでしょうか?

開業後の成功まで考えた計画と準備が重要であり、情報を事前に知っておくことにより、余計なコストやリスクを排除することができるということですね。

開業前のお金のことに関しては、上記以外にもさまざまなことを考え、一つ一つ決断していかなければいけません。

決断するのは先生方ご自身ですが、それを先生方ご自身で正確に判断するための物差しを、中立な立場かつ必要なタイミングで的確なアドバイスをしてくれる、森田税理士のような医業に詳しい税理士などの専門家選びも重要ではないでしょうか。

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